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「G-STAR2025」現地レポート:韓国、障害を持つユーザーが“自分のペースで遊べる”ゲーム環境を整備する最新事例を紹介

鬼の猫ちゃん

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「すべての人が楽しめるゲーム」をテーマに文化体育観光部とKOCCAがフォーラム開催

韓国最大のゲームショウ「G-STAR 2025」会場では、文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院(KOCCA)が主催するゲーム文化フォーラムが開催された。


今年のテーマは「すべての人が楽しめるゲーム」。ゲーム産業やeスポーツ分野の専門家たちが、ゲームアクセシビリティや文化的価値、コンテンツの可能性について議論を深めた。


このフォーラムでは、KOCCA研究員のキム・ヒョジン氏、KAISTのト・ヨンイム教授をはじめ、スマイルゲートのチェ・ハンナ氏、ハン・ジス氏、韓国eスポーツ産業学会のソン・ソンノク会長、そして視覚障害を持つ元プロゲーマーのイ・ミンソク氏など、多様なバックグラウンドを持つスピーカーが登壇。AIを活用したゲーム開発の方向性から、アクセシビリティがもたらす社会的・心理的な効果まで、幅広い視点から議論が行われた。


多くの発表の中でも、特に注目を集めたスピーチ

筆者が会場を取材した中で、来場者から最も大きな共感を呼んだのは、スマイルゲートのハン・ジス氏による発表だった。ここで一つブリッジとして触れておきたいのは、複数の専門가が次々とアクセシビリティの重要性を語った中でも、障害当事者であり“韓国初のゲームアクセシビリティ テスター”として登壇した彼女の話が、会場の空気を一段と変えたという点だ。


ハン氏は聴覚・言語障害をもつ当事者として、これまで実際のゲームプレイを通して感じてきた“アクセシビリティの現状と限界”を率直に語った。

メイプルストーリーやFPSタイトルで経験した「遊びづらさ」とその改善プロセス

彼はまず、『メイプルストーリー』で体験した具体的な困難を紹介した。


「あるマップでは、背景音を聞いて場所を当てるギミックがありました。私には、その区間を進める手段がありませんでした」


現在はテキストヒントが追加され、聴覚障害ユーザーでも進行できる仕様に改善されたという。また、聴覚障害プレイヤーにとってハードルの高かったFPSジャンルについても言及。『オーバーウォッチ2』でコミュニケーション支援機能「スマートピン(Smart Ping)」が強化されたことで、より公平にプレイを楽しめるようになったとして、具体的な変化を紹介した。

「アクセシビリティは選択ではなく、物語に参加するための鍵」

ハン氏は、自身の活動を次のように総括した。


「ゲームへの理解を基に、自分が貢献できる役割があると実感しています。改善が形になり、変化として現れる瞬間にやりがいを感じます。アクセシビリティは“特別な追加要素”ではなく、すべての人がゲームの物語に参加するための鍵です」


会場の観客からも強い反響があった。ある来場者は「障害があっても堂々と自分の能力を活かし、ゲーム業界で活躍する姿に感動しました。より多くの人が自分のスタイルでゲームを楽しめる未来を期待しています」

と話した。また別の来場者は、「今年のG-STARは単なる“新作発表の場”を超え、業界の未来を考える場所になっている」と語り、フォーラムの意義を評価した。

アクセシビリティ改善はビジネス面でも効果をもたらす

スマイルゲートの多様性・包摂(DEI)最高責任者であるペク・ミンジョンCDIOは、アクセシビリティ強化の価値を次のように述べた。


「アクセシビリティが高いインクルーシブなコンテンツは、より多くの利用者にゲーム本来の面白さと価値を届けます。その結果、新規ユーザー層の拡大や市場成長というビジネス成果にもつながります。当社は今後も企画から制作まで、アクセシビリティ改善の視点を積極的に取り入れていきます」


参考までに、日本でも過去に障害を持つプレイヤーがブロックチェーンゲームを通じて経済的収入を得たり、コミュニティへの貢献で注目を集めた事例が存在する。韓国同様、「誰もが参加できるゲーム文化」をどう実現するかは、日本でも引き続き重要なテーマとなっている。

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