米国最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であり、ナスダック上場企業のコインベースは15日、自社が推進するレイヤー2(L2)ネットワーク「Base(ベース)」において、独自のネットワークトークン発行を検討し始めたと正式に発表した。
発表は公式ブログやX(旧ツイッター)、さらにイベント「BaseCamp 2025」を通じて行われた。これまでベース側は「独自トークンを発行する予定はない」としてきただけに、市場関係者の注目を集めている。従来は「安全で低コスト、開発者に優しいブロックチェーン環境の整備を最優先」と強調し、ガバナンストークン発行は後回しとする姿勢を示していた。
しかし近年は、エコシステム拡大やコミュニティ参加の活性化の観点から方針を再考。分散化の推進や開発者・クリエイター支援において、トークン発行の有用性が高いと判断したとみられる。
今回の決定は、コインベースが7月に公表した「Base App」構想とも関連する。同アプリは従来の「コインベース・ウォレット」をリブランドしたもので、同社独自のメインネット「Base」上で稼働する。利用者はSNS型プロトコル「Farcaster」を通じて投稿を共有し、NFTプラットフォーム「Zora」を介してコンテンツをトークン化、直接販売することも可能となる。さらにUSDCによる決済や暗号化メッセージ送信、AIエージェントを用いた送金機能なども実装予定で、すでにShopify加盟店での決済対応やキャッシュバックサービス導入が進んでいる。
仮に「Base」トークンが発行されれば、USDCと互換性を持つエコシステム内通貨としての機能が期待される。ただしベース側は「発行時期、設計、ガバナンスの枠組みは未定」とし、検討はまだ初期段階と強調。一方で「イーサリアムとの連携維持、規制当局や議会との協調、コミュニティ主導の開発」という三つの原則を掲げ、トークンが発行される場合は「革新・創造・自由を促すグローバル経済の構築」という長期的使命に沿うものと説明した。
なお、USDCはコインベースと米サークル社が共同開発するドル連動型ステーブルコインで、両社は収益分配契約を結んでいる。コインベースは自社プラットフォーム内のUSDC保有分について生じる利息収益の全額と、自社保有分利息の50%を受け取っている。
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