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金融庁、3メガバンクのステーブルコイン共同発行を支援 ― 円建てデジタル決済インフラが本格始動へ

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2025年11月、日本の金融システムにおける新たな転換点が訪れた。

金融庁は、三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行の3メガバンクによる円建てステーブルコインの共同発行プロジェクトを正式に支援する方針を示した。これにより、日本発の“共通仕様型デジタル円”が現実味を帯びてきた。


■ 信頼性と相互運用性を重視した共同プロジェクト

3メガバンクが共同で検討しているのは、信託銀行を通じた「信託型ステーブルコイン」の発行モデルだ。これは2023年の資金決済法改正で定義された発行形態のひとつであり、預金および国債などの安全資産を裏付けとする仕組み。ユーザー資産は信託口座に100%以上の比率で保全されるため、法的にも極めて高い安全性を持つ。

技術基盤としては、三菱UFJ信託銀行が開発したProgmat(プログマット)プラットフォームの採用が有力視されている。複数の銀行・企業が同一規格上でステーブルコインを発行・利用できるため、相互運用性とスケーラビリティの確保が容易になるのが特徴だ。


■ 「銀行の壁」を越えるデジタル円エコシステム

本取り組みの目的は、単なる銀行発行コインの実験にとどまらない。金融庁は、銀行間の送金・清算・企業決済を含む国内決済ネットワーク全体のデジタル化を見据えている。三菱商事や大手通信企業なども関与を検討しており、企業間決済・国際送金・証券決済など多分野での導入が想定されている。

特に注目されるのは、銀行ごとに発行される円建てステーブルコインを共通インフラ上で相互に利用可能にする構想だ。これにより、異なる銀行間でもリアルタイム決済が実現し、国内外の法人取引コストを大幅に削減できると期待されている。


■ 規制と革新のバランス ― 日本型モデルの確立へ

今回の共同発行は、JPYCなど民間型ステーブルコインとは異なる「銀行発主導の公共性モデル」として位置づけられる。民間主導のWeb3型ステーブルコインが個人・商用領域で広がる一方、銀行主導の信託型ステーブルコインは、制度の枠内で安全性と透明性を担保した「金融インフラ」としての役割を担う。

金融庁は、デジタル通貨を単なる実験ではなく次世代の決済・清算ネットワークの基盤と捉えており、民間・銀行・政府が連携して日本型のステーブルコインエコシステムを構築していく方針を明確にしている。


■ 日本の金融デジタル化における歴史的節目

これまでステーブルコインの分野では、JPYCなどフィンテック企業による発行が先行してきたが、今回の3メガバンクによる共同発行は、日本の金融インフラそのものがブロックチェーンに接続される最初の大規模事例となる見込みだ。「銀行の信頼」「ブロックチェーンのスピード・透明性」を融合させた新しい決済ネットワーク――その実現が、ついに現実のものとなりつつある。

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