7日、暗号資産(仮想通貨)市場は前日比で強含みの展開となっている。
暗号資産データサイト「コインマーケットキャップ」によると、ビットコイン(BTC/+0.03%)とイーサリアム(ETH/+2.44%)はそれぞれ12万3,602ドル、4,657ドル付近で推移している。前週比ではそれぞれ8.70%、11.45%と大幅に上昇しており、力強い値動きを見せている。このほか、時価総額上位銘柄のBNB(+4.03%)、ドージコイン(+1.31%)、トロン(+0.37%)、カルダノ(+1.07%)、チェーンリンク(+3.62%)なども前日比で上昇。一方、XRP(−0.43%)、ソラナ(−1.05%)、ハイパーリクイッド(−5.94%)はわずかに下落した。
Ledn(レンド)の最高投資責任者(CIO)であるJohn Glober氏は、ビットコインの主要なレジスタンスを12万5,000ドル付近と指摘し、「この水準を明確に突破できなければ弱気転換のシグナルとなり得る」と分析した。
さらに「エリオット波動の観点からも、12万5,000ドルを明確に上抜けすれば追加上昇の余地があるが、逆に抑えられる場合は調整局面に入る可能性がある」と述べた。最近のビットコイン上昇は、米政府のシャットダウン(政府機能停止)下でも現物ETF(上場投資信託)への需要が増加していること、および日本の次期総理候補による景気刺激策への支持表明が要因とみられている。
米議会の対立が長期化 不確実性の中でビットコインに資金流入
米連邦議会では、政府機能が停止してから1週間が経過する中、民主党と共和党がそれぞれ短期予算案を提出して毎日採決を行っているが、いずれの案も可決に必要な60票に届いていない。最大の争点はオバマケア補助金をめぐる低所得者医療支援予算であり、民主党は「政府再開前に追加延長の合意が必要」と主張する一方、共和党は「シャットダウン下では交渉できない」と対立している。
ドナルド・トランプ大統領は今回の事態について「政策優先順位に合わない連邦政府機能を縮小する前例のない機会だ」と発言しており、こうした政治的な不確実性が長引く中で、投資家のビットコインシフトが加速しているとの見方もある。
日本では高市早苗氏が自民党総裁に 親成長・親暗号資産スタンスに期待感
一方、日本では自民党総裁選で高市早苗・前経済安全保障担当相が勝利し、市場心理を押し上げる要因となっている。
高市氏が次期首相に就任すれば、財政拡大や景気刺激策を重視する経済政策が打ち出されるとの見方が強く、日本株市場全体に追い風が吹くとの期待が高まっている。また、暗号資産を含むリスク資産市場にも新たな政治的モメンタムをもたらす可能性が指摘されている。高市氏は低金利・減税・大規模財政出動を支持する代表的な親成長派として知られ、2019年には「暗号資産による政治献金の合法化」を支持する発言を行ったことでも知られる。
一方で、市場の一部では「高市氏の党内基盤やインフレ対策の実効性を考慮すると、期待感は短期的に留まる可能性がある」との慎重な見方もある。野村證券は「政策の方向性よりも、どこまで具体化できるかが焦点になる」とコメントした。
ビットコイン最高値更新でアルトコインへの資金循環に注目
ビットコインが史上最高値を更新する中、アルトコイン・シーズン(Altcoin Season)への期待も高まりつつある。
一般的に、ビットコインの上昇が一服すると資金がアルトコインへ流れ、短期間で急騰する傾向がある。
Vtrader(Vトレーダー)創設者のSteven Gregory氏は「先週、ステーブルコインの時価総額が急増し、ビットコインが上昇した背景には、破綻したFTX取引所で凍結されていた約10億ドルの資金が市場に戻った可能性がある」と述べ、「ビットコインからアルトコインへの資金循環が加速する可能性がある」と指摘した。
また、Bitget(ビットゲット)の最高経営責任者(CEO)であるGracy Chen氏は「本格的なアルトシーズン到来までには、あと数週間かかる可能性がある」とし、「現在59%のビットコイン・ドミナンスが55%程度まで低下すれば、アルトコイン主導の相場が始まるだろう」との見通しを示した。
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