
USDTの安定性評価を最低段階の「5」へ引き下げ
ステーブルコインUSDTを発行するTetherを巡り、S&P Global Ratingsは11月26日、USDTが米ドルとのペッグを維持する能力について、安定性評価を「4(constrained/制約あり)」から最低段階となる「5(weak/弱い)」へ引き下げました。
S&Pは、USDTの準備資産に占める高リスク資産へのエクスポージャーが前回評価から増加したことに加え、情報開示に継続的な不足があると指摘しています。
高リスク資産の増加と情報開示を問題視
S&Pによると、USDTの準備資産にはビットコインや金、担保付融資、社債などが含まれており、これらは信用、市場、金利、為替変動などのリスクにさらされます。高リスク資産の比率が高まったことで、価格が大きく下落した場合には準備資産による裏付けが弱まる可能性があるとして、評価引き下げにつながりました。
情報開示についても、S&Pはカストディアンや取引相手、銀行口座提供者などに関する情報が限定的である点を挙げています。USDTの安定性を評価するうえでは、準備資産の構成に加え、資産の管理方法や換金性なども重要な要素となります。
一方、S&PはUSDTについて、近年および過去12カ月に比較的安定した価格を維持してきたとも評価しています。評価が最低段階になったことが、USDTのペッグが直ちに崩れるとの判断を示すものではなく、準備資産のリスクや情報開示を含めた将来のペッグ維持能力に対する評価です。
TetherはS&Pの評価に反論
TetherはS&Pの見方に強く反論しています。同社は、USDTがこれまで銀行危機や暗号資産取引所の破綻、市場の大幅な変動などを経験する中でも運用を続けてきたことを強調しました。
Tetherは準備資産について四半期ごとのアテステーションを公表しており、2025年第3四半期の報告では、米国債へのエクスポージャーが過去最高水準に達したと説明しています。一方、S&Pは米国債などの低リスク資産を保有している点を踏まえながらも、高リスク資産の増加や開示範囲を評価上の懸念として挙げました。
S&PのStablecoin Stability Assessmentは信用格付けとは異なり、ステーブルコインが法定通貨とのペッグを維持する能力を1から5までの尺度で評価するものです。USDTは2023年の初回評価では「4」とされていましたが、今回初めて最低段階の「5」に変更されました。
世界最大規模の流通量を持つUSDTだけに、今後の準備資産の構成や情報開示がどのように変化していくかは、ステーブルコインの安定性を考えるうえでも注目点となりそうです。
公式発表:S&P

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