
約20億ドル規模でBVNK買収を協議
米暗号資産取引所大手のCoinbase Global(コインベース)が、ステーブルコイン事業の強化に向け、英国のフィンテック企業BVNK(ビーブイエヌケー)の買収を約20億ドル規模で協議している。Bloombergが2025年10月31日、関係者の話として報じた。
報道によると、協議はデューデリジェンスを条件とした後期段階にあり、コインベースは2025年末から2026年初めの取引完了を見込んでいるという。条件が変更される可能性や協議が成立しない可能性も残されている。
コインベースにとって、ステーブルコインはすでに主要な収益源の一つとなっている。2025年7〜9月期のステーブルコイン収益は3億5,500万ドルで、純収益約18億ドルの約2割に相当した。USDCの発行元Circle Internet Group(サークル)との事業関係に加え、企業向けステーブルコイン決済を手掛けるBVNKを傘下に収めれば、決済・送金分野で事業基盤を広げることになる。
法定通貨とステーブルコインをつなぐBVNK
BVNKは2021年に設立された企業向けフィンテック企業で、法定通貨とステーブルコインを接続する決済インフラを提供している。企業は同社のサービスを通じ、ステーブルコインと法定通貨の送金や受け取り、交換、保管などを行える。
英国ではFCAの認可を受けた電子マネー機関(EMI)をグループ内に持ち、米国ではMoney Services Business(MSB)として登録しているほか、複数州でMoney Transmitter Licenseなどを取得している。こうした規制対応と決済基盤を組み合わせ、企業の国際決済や資金管理を支えている。
同社は2024年12月のシリーズBで5,000万ドルを調達し、当時の企業価値は約7億5,000万ドルと評価された。シリーズBにはCoinbase Venturesが参加し、その後はVisa VenturesやCiti Venturesからも戦略投資を受けている。BVNKは2025年10月時点で年間200億ドル超の決済を処理していると説明しており、WorldpayやFlywire、dLocalなどを顧客に持つ。
Mastercardも買収に関心、決済大手がステーブルコインへ
BVNKを巡ってはMastercard(マスターカード)も買収に関心を示していた。Fortuneは2025年10月、両社がBVNKと買収協議を進め、想定される取引額は15億〜25億ドルの範囲にあると報道。当時はコインベースがより有利な位置にいるとの関係者の見方も伝えていた。
ステーブルコイン市場への関心が高まるなか、既存の決済企業も関連インフラへの投資を進めている。Visaは2025年5月にBVNKへ投資し、9月にはVisa Directでステーブルコインを使ったクロスボーダー送金の事前資金供給を試すパイロットを発表した。
米国では同年7月、決済用ステーブルコインの規制枠組みを定めるGENIUS Actが成立した。発行体や準備資産などに関する制度整備が進んだことで、ステーブルコインを決済・送金インフラへ組み込む企業の動きも広がっている。
コインベースがBVNKを取得すれば、暗号資産取引を中心としてきた事業に、企業向けのステーブルコイン決済・送金インフラを直接組み込むことになる。Coinbase Venturesが以前からBVNKへ出資してきた関係もあり、約20億ドル規模の買収協議は、コインベースがステーブルコインを取引所事業に続く事業基盤としてどこまで拡大するかを示す動きの一つとなる。

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