
米国最大級の暗号資産取引所、 Coinbase(Coinbase)は、グローバル大手銀行 Citi(Citi)との提携を発表した。同時期に、Coinbaseが100%出資する資産運用会社 Coinbase Asset Management(CBAM)も、運用規模の大きい資産運用機関 Apollo Global Management(Apollo)と協業し、貸付分野におけるソリューション開発を進めると伝えられている。Coinbase と Citi は、法人顧客を対象に暗号資産決済機能を共同開発する。これは、事実上、従来型金融機関と共にステーブルコインを活用したエコシステム拡大を図る動きであり、初期段階では法定通貨を起点とした入出金を通じて決済プロセスの統合管理を推進する。
具体的な推進内容は今後改めて公開される予定だ。市場では、今回の協業が、Coinbase が株主となっている Circle Internet Financial(Circle)傘下の米ドル連動ステーブルコイン「USDC」を基盤に進められる可能性が高いとみられている。一方、Citi が昨7月に自社発行ステーブルコインの検討を言及していたことから、USDC での確定には慎重な見方もある。
従来の銀行の法定通貨とステーブルコインを連動させることで、既存の銀行顧客が「24時間365日」資金移動をスムーズに行える環境が整い、ステーブルコイン側は活用先拡大を通じて機能向上を実現できる構図となる。Coinbase の最高経営責任者(CEO)である Brian Armstrong(アームストロング氏)は、本提携について「ステーブルコインの実用性を高めれば機関投資家の暗号資産導入も進む」と述べ、次世代金融サービスインフラ構築の観点から期待感を示した。Citi 決済サービス部門責任者の Debopama Sen(セン氏)も「新たな決済の可能性を探るものだ」と説明している。
Citi はこれまでもステーブルコインの可能性を前向きに言及してきた。報告書では「2025年がブロックチェーンの ‘ChatGPT モーメント’になるだろう」として、金融システム転換の触媒役になるとの見方を示していた。また、Citi ベンチャーズ(Citi Ventures)は英国・米国拠点のステーブルコインインフラ企業 BVNK への出資を実行しており、同社はオン/オフランプおよび決済インフラ構築企業である。さらに、7月には自社ステーブルコイン発行検討とともにトークン化預金(tokenized deposits)分野に積極的であるとCEO自ら言及。8月にはステーブルコインおよびデジタル資産カストディ(保管)サービス提供領域にも関心を向けているという報道がなされており、伝統銀行として積極的な新事業姿勢を示していた。
一方、 CBAM は Apollo との提携を通じ、ステーブルコインを活用した担保ローン投資戦略を展開すると報じられている。ビットコイン等の暗号資産を過剰担保とした貸し出しや、トークン化された投資商品を担保とする融資が中心となる。対象は伝統金融、また新興金融関連企業で、Apollo が運用する信用戦略を基盤とした投資商品に Coinbase のトークン化技術を接続する方策なども言及された。商品発売自体は 2026 年を予定しており、米国の GENIUS 法を基盤として設計される。

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