子どもへのNISA適用を目指す新制度案の最終調整
政府・与党は12月9日、少額投資非課税制度(NISA)について、18歳未満の子どもにも「つみたて投資枠」の利用を認める新制度案「こどもNISA」の導入に向けて最終調整に入ったと報じられています。
この案は、年間60万円、累計600万円を上限とする非課税投資枠を設け、0歳からの口座開設を可能とすることが特徴です。非課税措置を活用し、教育資金や将来の生活資金に備えた長期的な資産形成を促す狙いがあります。
金融教育の強化と制度空白の解消を目的とした検討背景
こうした検討の背景には、若年層の金融リテラシー向上や早期からの資産形成を通じて家計の安定化を図る政策目的があります。また、旧「ジュニアNISA」終了後、未成年の対象とした資産形成支援制度が存在しなかった状況を補う意図もあるとみられます。
非課税枠の設定方針と懸念が交錯する制度化の議論
一方で制度化に対しては賛否が分かれています。与党側は年間60万円、総額600万円の非課税枠案を提示し、12歳以上で本人の同意があれば引き出し可能とする方向で調整を進めています。これに対し、所得格差の拡大や不適切な投資判断の発生につながる可能性を指摘する声もあります。
ジュニアNISAの課題を踏まえた制度設計の論点
旧ジュニアNISAについては、業界関係者から「18歳まで原則引き出しができず柔軟性に欠けたこと」や「制度の制約が多く手続きが煩雑だったこと」、「制度自体が分かりにくく利用が伸びなかったこと」などの課題が指摘されていました。今後は、こうした課題を踏まえつつ、使いやすさと安全性のバランスをどのように確保するかが制度の実効性を左右すると考えられます。
なお、NISA(少額投資非課税制度)は、一定の投資額に対する運用益が非課税になる仕組みであり、長期・積立・分散投資を促す目的で設けられています。現行制度では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に区分されていますが、今回の新制度は、この仕組みを若年層にも拡大する試みといえます。

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