
ETFには資金流入、投資家心理に下支えも
23日の暗号資産市場は反発の兆しを見せながら取引が続いている。
CoinMarketCapによると、午後9時40分時点でビットコイン(+3.29%)とイーサリアム(+4.30%)は前日比で小幅に上昇し、それぞれ8万6,506ドル、2,833ドル前後で推移している。前週比では依然9〜10%ほどの下落幅が残るものの、急落局面からは一旦持ち直した格好だ。主要アルトコインも概ね同様の動きを見せている。XRP(+7.44%)、BNB(+3.25%)、ソラナ(+4.26%)、ドージコイン(+5.63%)、カルダノ(+3.94%)など時価総額上位銘柄はそろって反発した。
米Bitwiseのスポット型暗号資産ETFを運用するハンター・ホスリーCEOはX(旧Twitter)で「今は暗号資産を買い増す好機だ」との見解を示した。同氏によれば、Bitwiseの3種類のETFに約4,000万ドルの資金が純流入したという。「一部の投資家は売りに回っているが、ETF投資家は引き続き買いを入れている。多くの投資家が市場の完全な底を当てるのは難しい。魅力的な価格帯に見える時に買うのが最善であり、今の水準は多くの投資家にとって十分に“割安”と映っているはずだ」と述べ、現在の局面が長期的には好機になる可能性を示唆した。
一方で下落リスクは残る—オプション市場は弱気傾向に傾斜
しかし、市場では追加の下落シナリオにも警戒が残る。
ビットコインが9万4,000ドルを割り込んだ後、デリビットでは行使価格7万5,000ドルの短期BTCプットオプションの買いが急増。Glassnodeは「オプション市場は明確な底打ちシグナルを示しておらず、リスクは依然として下方を指している」と指摘した。実際、先週のオプション取引ではプットが全体の65%以上を占めたとされる。
BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏も「ビットコインは底値に近づいているのは確かだが、まだ焦って参入すべき局面ではない」と述べ、米株市場の調整余地にも言及した。「私たちが狙うのは次の“マネー・プリンティング(追加緩和)”であり、そのためにはまずAI関連銘柄が崩れる必要がある」とも語った。
実際、米ウォール街やシリコンバレーではAI投資過熱を懸念する“バブル論”が広がりつつある。NVIDIAのジェンセン・フアンCEOは最近の社内会議で、「業績が悪ければAIバブルの証拠になり、良ければバブルに火をつけることになる」と述べたとされ、市場の過度な期待を意識している様子もうかがえる。
市場調整は「健全なプロセス」との見方も
一方、Binanceのリチャード・テンCEOは、今回の下落について「伝統金融と同程度のボラティリティ水準にあり、リスクオフ環境下で発生する自然なデレバレッジの過程」と説明した。同氏は「この1年半、市場は高いパフォーマンスを続けてきた。一定の利益確定は当然であり、今回の調整は市場が呼吸を整え基盤を固める“健全なステップ”」だと強調した。
CryptoQuantのキ・ヨンジュCEOはオンチェーン指標の重要性を挙げつつ、現在は「ドル流動性が絞られ、リスク資産への売り圧力が続くフェーズ」であり、この状況は来年の流動性拡大まで続く可能性が高いと分析した。同氏は「短期的にはビットコインが10万ドルまで反発する可能性はあるが、その価格帯を突破できなければ再び低いレンジを形成する」と指摘。そのうえで、「来年、流動性が本格的に戻れば、金やビットコインなどの希少資産は上昇局面に入るだろう。真の強気相場は流動性が回復するタイミングから始まる」と展望した。

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