金融委会議で支払停止制度の活用案が言及
韓国メディア報道によると、韓国金融委員会の会議で、暗号資産取引における相場操縦対策として、資本市場法上の支払停止制度を暗号資産にも応用する案が言及されました。支払停止は、不公正取引に使われた疑いのある資産や口座について、出金や移転を一時的に制限する措置です。
暗号資産では、疑わしい取引によって得た利益が個人ウォレットや海外取引所へ移されると、その後の追跡や回収が難しくなります。現行制度では、資産移転を止めるには捜査や司法手続きが必要になるため、相場操縦などの疑いが出た段階で、早期に資産を保全できる仕組みが論点になっています。
韓国では2024年7月に「仮想資産利用者保護法」が施行され、暗号資産市場における相場操縦や不公正取引への調査・処罰の枠組みが整備されました。今回報じられた支払停止制度の議論は、こうした枠組みに加え、不正利益が市場外へ移る前に対応するための補完策として位置づけられます。
株式市場の制度を暗号資産に応用する案
韓国では2025年4月、資本市場の不公正取引や違法空売りに使われた疑いのある口座を対象に、支払停止を行える制度が導入されました。金融当局はその後、株価操作事件を巡って複数の口座に支払停止措置を実施しており、犯罪収益の流出を防ぐ手段として活用されています。
報道によると、金融委員会の会議では、暗号資産の相場操縦事件を審議する過程で、資本市場法上の支払停止制度を仮想資産利用者保護法にも導入する案を検討すべきとの意見が出ました。暗号資産は株式よりも移転速度が速く、取引所外へ移ると保全が難しくなるため、支払停止制度の必要性が議論されたとみられます。
一方で、疑いの段階で出金や移転を制限する制度には、利用者保護の観点から慎重な設計が必要になります。発動基準が不明確な場合、正当な取引を行う利用者にも影響が及ぶ可能性があるため、対象資産の範囲や異議申立て手続きの整備が課題になります。
発動基準と利用者保護が確認点に
制度化される場合は、どの段階で支払停止を発動できるのか、対象を取引所内の資産に限るのか、関連ウォレットや移転先まで含めるのかが確認点になります。暗号資産取引では、取引所内の売買だけでなく、外部ウォレットへの送金や海外取引所への移転も関係するため、対象範囲の定義が重要です。
韓国ではすでに、仮想資産利用者保護法を通じて、取引所の異常取引監視や不公正取引への調査・処罰の枠組みを整えています。支払停止制度が導入される場合は、相場操縦による不正利益の保全を強める一方、誤った制限や過度な凍結を避けるための手続き設計も問われることになります。

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