
ステーブルコインの利回り禁止論議の中で、USDeなど合成ドル構造が浮上
CoinMarketCapによると、日本時間午後9時時点でビットコイン(BTC)は前日比1.14%安の8万8,437ドル、イーサリアム(ETH)は同0.81%安の2,932ドル付近で推移している。両銘柄ともに週次では下落基調にあり、ビットコインは前週比7.03%安、イーサリアムは同11.69%安となっている。
時価総額上位のアルトコインも概ね同様の動きを見せており、BNBは1.38%安、XRPは0.81%安、ソラナは0.36%安、ドージコインは1.12%安、カルダノは0.96%安で取引されている。一方、トロン(TRX)は0.72%高の0.29ドル付近で推移し、相対的に底堅い動きを示した。
こうした市場環境の中、米国ではステーブルコインを巡る法規制をめぐって議論が続いている。特に、ステーブルコインに対する利回り(利息)付与の是非が焦点となっている。メガ・マトリックスのマーケット責任者であるコリン・バトラー氏は、市場構造法(CLARITY Act)にステーブルコインの利回り提供を禁止する内容が盛り込まれた場合、資本が規制市場から離れ、海外の不透明な金融市場へ流出する可能性があると指摘した。
また、ファルコン・ファイナンスの共同創業者アンドレイ・グラチェフ氏も、規制強化によって資本が「合成ドル(シンセティック・ドル)」商品へ移行する可能性を示している。その代表例として挙げられたのが、エセナ(Ethena)が発行するUSDeである。USDeは、GENIUS法が定義する決済型ステーブルコインには該当せず、規制のグレーゾーンに位置するとされている。USDe自体は利息を自動的に支払う仕組みではないものの、構造的に利回りに相当するリターンが発生する点が特徴だ。
USDeをステーキングした場合、イーサリアム先物市場におけるショートポジションから得られるファンディングレート収益に加え、イーサリアムのステーキング報酬、さらには運用最適化による付随的な収益が、ステーキングトークンであるsUSDeの保有者に累積的に反映される。USDeは米ドル価格に連動する一方、sUSDeはUSDeをステーキングすることで収益を得る「利回り型の合成ドル・トークン」と位置付けられている。
このように、合成ドル商品はGENIUS法が想定する「決済型ステーブルコイン」とは異なる領域で機能しており、市場構造法が描く規制フレームとも必ずしも整合していない。業界関係者の間では、決済機能と収益機能を明確に区別しないまま利回り提供を一律に制限した場合、規制対象外の合成構造へ資本が移動する、いわゆる「規制の風船効果」が生じるとの見方が出ている。
一方、米民主党内では、ドナルド・トランプ大統領の利益相反問題を市場構造法に盛り込むべきだとの声も上がっている。上院農業委員会では、大統領や副大統領、議員らがデジタル資産を用いた金融取引を行うことを禁止する内容の提案が提出された。
トランプ大統領は、ステーブルコイン関連プロジェクトであるワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)などを通じ、暗号資産事業から約14億ドル(約2兆374億円)を得たと推計されており、今回の提案はこれを念頭に置いたものとみられる。ただし、ワールド・リバティ・ファイナンシャルと関係する金融主体が米通貨監督庁(OCC)に銀行免許を申請していることから、規制当局がどこまで踏み込むかは不透明な状況だ。
これに対し、通貨監督庁は「政治的な圧力とは無関係に、通常の手続きに基づいて判断する」との立場を示している。

コメント