
2025年の構想発表からメインネット稼働へ
Sui Foundationは2026年3月4日、レイヤー1ブロックチェーン「Sui」で、米ドル連動ステーブルコイン「Sui Dollar(USDsui)」がメインネットで稼働したと発表しました。Stripe傘下のBridgeが発行を担い、同社の「Open Issuance」を採用しています。2025年11月12日に公表された構想が、ウォレットや分散型金融(DeFi)サービスで利用する段階へ進みました。
ローンチ時の対応先には、ウォレットのSlushや、Cetus、Turbos、Suilend、Bluefinなどが含まれます。決済や送金を目指すデジタルドルを、まずSui上の既存サービスにつなげる形で利用経路を確保しました。取引、貸し借り、流動性提供といった用途への展開には、各サービスでの対応や取引条件が関わります。
Suiは、Metaの旧デジタル通貨計画Libra/Diemに携わった開発者らが開発したネットワークです。その主要開発企業であるMysten Labsの共同創業者アデニイ・アビオドゥン氏は、USDsuiの稼働をSuiの決済分野への取り組みの始まりと位置付けています。DeFiで利用できるドル資産を、実際の送金や金融サービスにも広げる狙いが読み取れます。
既存のUSDCに加わる、Sui独自のドル資産
Suiには、Circleが2024年10月8日に導入したネイティブUSDCがすでに存在します。ネイティブとは、そのチェーン上で発行される形態を指し、Sui上で扱うドル資産という点で両者には共通性があります。USDsuiの登場は、既存の米ドルステーブルコインに、発行基盤や収益の扱いが異なる選択肢を加える動きです。
このため、利用者にとって重要なのは、使いたいサービスでどの資産が扱えるか、十分な交換流動性があるかという点です。ドル連動の資産でも発行主体や利用経路は異なるため、同じ価値を目指すことと、同じ条件で使えることは分けて捉える必要があります。USDsuiの定着には、既存のドル資産との交換や、複数のアプリをまたぐ利用のしやすさが関わってきます。
準備資産の収益をエコシステムへ戻す設計
USDsuiをめぐる注目点は、準備資産から生じる収益の行き先です。2025年11月の公式発表は、Suiに入る収益を成長支援や投資プログラムを通じてエコシステムへ再投資する方針を示していました。流通するドル資産を支える仕組みと、Sui上のサービス開発を支援する仕組みを結び付けようとしています。
具体的な活用案について、CoinDeskは2026年3月4日、アビオドゥン氏への取材を基に、裏付けとなる債券などの収益をSUIの買い戻しやDeFiへの資金投入、交換を促すインセンティブに回せると報じました。ここで示されているのはネットワーク側への還元方針であり、USDsuiを保有する利用者への利息支払いとは区別する必要があります。貸出などで得られる運用収益も、利用するDeFiサービスの条件に左右されます。
この設計が機能すれば、ドル資産の利用拡大から生じる収益を、流動性や開発支援へ再投入する循環が期待できます。ただし、その効果は発行残高、準備資産の運用条件、資金の配分によって変わります。買い戻しという言葉だけでSUIの価格上昇を見込むよりも、還元された資金が継続的な利用につながるかを見ることが、仕組みを評価するうえで重要です。
Bridgeとの相互運用を、実際の利用へつなげられるか
発行を支えるOpen Issuanceは、Stripeが2025年9月30日に発表した企業向けのステーブルコイン発行基盤です。Bridgeが準備資産の管理や流動性、セキュリティ、規制対応を担い、導入側が自社サービスに合うドル資産を設計できます。発表時にはPhantomの「CASH」や、Hyperliquid向けの「USDH」も関連する取り組みとして紹介されており、USDsuiはサービスごとに独自のドル資産を組み込む流れに位置付きます。
Bridgeは、Open Issuance上のステーブルコインを1対1で交換できる相互運用の仕組みを説明しています。USDsuiのローンチ発表も、Bridge基盤を使う他のステーブルコインとの相互運用性を掲げました。個々のサービスが独自の資産を採用する際には流動性が分散しやすいため、交換経路を共有する設計は、その負担を軽くする方向に働くと考えられます。
今後の焦点は、DeFiへの接続を起点に、送金や決済で継続的に使われる経路を広げられるかです。利用者がドル資産を入手し、移動させ、必要に応じて換金するまでの流れが整えば、Suiの処理基盤とBridgeの発行基盤を組み合わせる意義が具体化します。収益還元による支援が利用環境の改善につながるかとともに、日常的な資金移動に組み込まれる事例が注目されます。
公式発表:Sui

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