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JBA、暗号資産会計の実務ガイダンスを公表 DeFi・ステーキングの論点も整理

サムネ


暗号資産取引で不明確だった会計上の論点を整理

一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は2026年3月25日、「暗号資産等の会計処理に関する実務ガイダンス」を公表しました。暗号資産や電子決済手段に特有の取引のうち、既存の会計基準では取扱いが明確に定められていないものについて、企業が会計処理を検討する際の考え方や具体的な仕訳例を整理したものです。

暗号資産の保有者に関する会計処理は、企業会計基準委員会(ASBJ)の実務対応報告第38号などで定められています。一方、暗号資産を使った決済やDeFi、ステーキングといった取引形態が広がる中、既存の基準だけでは具体的な処理を判断しにくいケースも生じています。

JBAは2025年3月にも「web3ビジネスにおける会計面での実務上の課題」を公表し、暗号資産やNFTを取り扱う企業にとって、会計処理の不確実性が迅速な財務処理や事業展開上の課題となっていると指摘していました。今回のガイダンスでは、こうした課題を踏まえ、より具体的な取引類型ごとに実務上の考え方を示しています。


決済・交換・ステーキングなど主要な取引を整理

ガイダンスでは、ステーブルコインや暗号資産を用いた決済、暗号資産同士の交換、暗号資産交換業者への預入れ・引出し、ステーキング、時価評価、ウォレット間の内部振替、ブリッジ取引などが取り上げられています。

ステーブルコインの会計処理では、資金決済法上の「電子決済手段」に該当するかどうかが重要な検討ポイントとなります。該当する場合には、暗号資産に関する実務対応報告第38号ではなく、特定の電子決済手段を対象とする実務対応報告第45号に基づいて処理する考え方が示されています。

暗号資産同士の交換については、交換する資産が異なる価格変動リスクを持つ場合、保有していた暗号資産への投資が一度清算されたものと捉え、交換損益を認識する処理が考えられるとしています。DEXでの取引に伴うガス代などについても、取引に直接付随する場合には取得原価に含める考え方が示されました。


リキッドステーキングでは取引実態によって処理が変わる可能性

ステーキングについては、報酬の認識に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の適用を検討する必要があるとしています。

一方、ETHを預けてstETHなどのリキッドステーキングトークンを受け取る取引については、具体的な会計基準が設けられていません。そのため、暗号資産同士の交換として処理するのか、担保資産の預入れとして扱うのかを、法的な解釈や取引の実態を踏まえて判断する必要があります。

ガイダンスではLidoを利用してETHをステーキングし、stETHを受け取るケースも例示されています。交換取引として捉える場合には、保有していた暗号資産の売却と新たな暗号資産の取得として処理し、取得価額と時価との差額を損益として認識する仕訳例が掲載されています。


時価評価では市場の流動性や価格情報も検討対象に

暗号資産の時価評価については、保有する暗号資産に「活発な市場」が存在するかどうかが重要になります。実務対応報告第38号では活発な市場に関する考え方が示されているものの、個別の暗号資産について判断する際には企業側での検討が必要です。

JBAは判断要素として、取引量や板の厚さなどの流動性、複数の取引所から価格を取得できるかといった価格ソースの多様性、価格データの連続性などを挙げています。活発な市場があると判断した場合には、どの価格を時価として採用するか方針を定め、継続的に適用する必要があります。

暗号資産は取引所や価格情報サービスによって価格が異なる場合があり、企業が保有資産を評価する際には、単に特定時点の価格を取得するだけでは判断できないケースがあります。こうした実務上の論点まで整理されている点は、暗号資産を保有する企業の経理・監査対応を考える上でも参考になりそうです。


会計基準を代替するものではなく、実務検討の参考に

JBAは、本ガイダンスがASBJの会計基準や適用指針を代替するものではなく、特定の取引について会計処理を決定するものでもないと説明しています。法的見解や税務上の助言を示すものでもなく、個別の会計処理については取引実態や内部統制などを踏まえ、監査法人などと協議して判断する必要があります。

一方、暗号資産決済やDEX、ステーキング、ブリッジなど、既存基準から具体的な処理を読み取りにくい取引について仕訳例まで示したことで、企業が会計処理を検討する際に参照できる情報は増えました。

暗号資産を利用する企業の取引形態が広がるにつれ、会計・監査の現場でも新たな論点が生じる可能性があります。JBAは今後の実務の進展などに応じてガイダンスの改訂を検討するとしており、企業や監査人の実務でどのように活用されていくかが注目されます。


公式発表:JBA

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