
分離課税導入に向けた方針が税制改正大綱で明示
日本の暗号資産税制を巡り、政府・与党は19日に公表した2026年度税制改正大綱の中で、分離課税導入に関する新たな方針を示しました。これまで検討段階にあった暗号資産課税について、制度の枠組みがより具体的に言及された点が、今回の主な更新事項となります。
損失繰越控除導入と対象取引限定案が浮上
今回の税制改正大綱では、分離課税と併せて暗号資産取引で生じた損失を3年間繰り越して控除できる制度についても言及されました。価格変動の大きい暗号資産取引において、リスク管理の観点から重要な論点の一つと受け止められています。
さらに、分離課税の適用対象を国内登録取引所で行われた取引に限定する案が浮上しています。金融規制の枠内にある取引を優遇することで、制度の透明性や実効性を確保する狙いがあるとみられます。
制度前進を評価する声と慎重論
業界関係者の一部では、価格変動の大きい暗号資産取引の特性を踏まえ、損失を繰り越せる控除制度の導入について、リスク管理の観点から前向きな評価が出ています。また、分離課税に向けた制度設計が前進した点を評価する声がある一方、対象範囲が限定される可能性には慎重な見方も見られます。海外取引所や分散型金融(DeFi)取引が対象外となった場合、投資行動への影響を懸念する声も上がっています。
2028年実施を見据えた制度設計が焦点に
分離課税の実施時期は2028年1月頃とされており、今後は国会審議を通じて詳細が詰められる見通しです。
今回の改正大綱で注目されるのは、分離課税導入の方向性に加え、対象取引の考え方が示された点です。制度の最終像は今後の議論次第となり、引き続き政策動向が注視されます。

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