米共和党のシンシア・ルミス上院議員(ワイオミング州)は2、同州で開かれたブロックチェーン・シンポジウムで「CLARITY法案は11月末までにトランプ大統領に提出される見通しだ」と述べた。法案は暗号資産を「証券」と「商品」に分類する基準を明確化し、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の監督権限を整理する内容を盛り込む。
ルミス氏によると、夏季休会明けの9月から上院銀行委員会が修正作業を開始し、9月末に委員会を通過。その後10月に農業委員会でCFTC関連条項の審議を経て、上院本会議で採決に付される可能性がある。上院を通過すればトランプ大統領の署名を経て年内施行の公算が大きい。
同法案は7月17日に下院で超党派の賛成を得て可決済み。民主党議員78人が賛成に回った。ルミス氏は「上院では下院案を基本とし、合意形成を進める方針」と説明。「上院の手続きは複雑であり、下院案を尊重することが成立の可能性を高める」と述べた。
一方、民主党内には慎重論も根強い。上院銀行委員会の民主党筆頭理事、エリザベス・ウォーレン氏は同法案を「業界ロビーの影響を受けた緩い規制」と批判。「SEC規制の抜け道となり、資本市場の枠組みを揺るがすリスクがある」と指摘する。MSNBCのインタビューでも「暗号資産の規制は必要だが、業界主導の枠組みは腐敗と不公正を招く」と述べ、強力な規制を求めた。
CLARITY法案は、ステーブルコイン規制法案「GENIUS法」に続く米議会のデジタル資産規律整備の第二歩とされる。年内成立の可否は、民主党内の投資家保護を重視する声をどこまで取り込めるかが鍵となる。民主党は、投資家保護が不十分なままでは業界寄りの規制になると懸念を示してきた。
SECの権限縮小への警戒も反対理由の一つ。民主党は従来SEC中心の金融市場規制を重視してきたが、同法案はSECの権限を一部縮小し、暗号資産の監督業務をCFTCに移管する内容が含まれるとされる。ウォーレン氏は「SECの体制を揺るがしかねない」として繰り返し批判している。
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