WEB3ガイド

ブロックチェーンゲームの誕生と進化【後編】 ― 黎明期から現在地までを解説

センチメンタルな岩狸

センチメンタルな岩狸

0
0
サムネ

NFTブームやPlay-to-Earnの流行を経て、ブロックチェーンゲームはひとつの転換点を迎えています。かつては「稼げるゲーム」というイメージが強かったこの分野ですが、現在は少しずつ違った方向へと進み始めています。では、いま業界はどこへ向かっているのでしょうか。

前編では、ブロックチェーンゲームが生まれた背景や、世界的に注目されるようになった理由、日本市場ならではの特徴について整理しました。後編となる本記事では、ブロックチェーンゲームがこれまでどのように発展してきたのかを時代ごとに整理しながら、その変化と現在の立ち位置を見ていきます。


黎明期 ― CryptoKittiesとNFTの衝撃(2017年)

ブロックチェーンゲームの歴史は、2017年に登場したイーサリアムベースのゲーム「CryptoKitties」から本格的に始まったと言われています。CryptoKittiesは、猫のキャラクター一体一体がNFTとして発行され、繁殖・収集・売買が可能という、当時としては非常に革新的な仕組みを採用していました。

このゲームは短期間で爆発的な人気を獲得し、イーサリアムネットワークが混雑してガス代が高騰、取引遅延が頻発するほどの社会現象となりました。この出来事は一時期のブームに留まらず、「NFTはデジタル資産として市場価値を持ち得る」という事実を世界に示した点で非常に重要でした。

CryptoKittiesの成功により、デジタルアイテムに唯一性と所有権を付与できるという概念が一気に広まり、その後のブロックチェーンゲームやNFT市場の基盤が築かれていきました。


Play-to-Earn(P2E)ブームの到来(2020年前後)

2020年前後になると、ブロックチェーンゲームは新たなフェーズへと進みます。それが「Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)」という考え方です。中でもAxie Infinityは、ゲーム内で獲得したトークンやNFTを現実の通貨に換金できる仕組みによって世界的な注目を集めました。

特にフィリピンなどの新興国では、Axie Infinityによる収益が平均月収を上回るケースもあり、「ゲームが収入源になる」という現象が現実のものとなりました。こうした動きは、エンタメとしてのゲームを超え、ブロックチェーンゲームが社会的・経済的インフラとして機能し得ることを示しました。

このP2Eブームを支えた背景には、NFT標準規格(ERC-721・ERC-1155)の普及、OpenSeaに代表されるマーケットプレイスの成長、DeFiの拡大によるオンチェーン経済の成熟など、複数の技術的進展が重なっていました。

一方で、トークン価格の上昇に依存した経済設計や、新規参加者の流入を前提とするモデルには限界もあり、次第に持続性への課題が意識されるようになっていきました。


転換期 ― 投機からゲーム性重視へ(2022年以降)

P2Eブームが落ち着いた後、ブロックチェーンゲーム業界は大きな見直しのフェーズに入ります。「稼げるかどうか」よりも、「長く遊ばれるかどうか」が重視されるようになり、ゲーム性やUXを中心に再設計する動きが加速しました。

この時期から、NFTやトークンを前面に押し出さない「Web2.5」的な設計が増え、ウォレット作成やガス代といったWeb3特有のハードルをユーザーに意識させない工夫が進んでいます。また、処理速度やコストの問題を解決するため、レイヤー2やゲーム専用チェーンの活用も一般的になりました。

こうした流れの中で、Square Enix、Ubisoft、Nexonといった大手ゲーム企業が本格的にWeb3領域へ参入し始めたことも、大きな転換点と言えるでしょう。ブロックチェーンゲームは、実験的なプロジェクトの段階を越え、商業的に成立する産業へと段階的に移行しつつあります。


現在地と今後の展望 ― ゲーム産業の新しい形へ

現在のブロックチェーンゲームは、以前のような投機色の強い仕組みからは方向転換し、「所有」 「参加」 「貢献」をキーワードにした新しいゲーム体験が模索されるようになっています。NFTは金融商品ではなく、ゲーム内で使われ、育てられ、他者と共有される体験価値として再定義されつつあります。

こうした流れを象徴するタイトルとして、Suiネットワークを基盤に、プレイ体験を重視した設計を進めている「XOCIETY」や、NFTカードを軸に戦略性の高い対戦体験を提供する「Parallel」、既存の人気IPを活用しながらWeb3要素を段階的に取り入れている「MapleStory Universe」などが挙げられます。いずれもプレイヤーがゲームの世界やコミュニティに関わり続けることを前提とした設計が特徴です。今後は、ガスレス化やアカウント抽象化によるUX改善、コミュニティ主導の運営モデル、そして強力なIPを活用した一般ユーザー層への展開などがブロックチェーンゲームの成長における重要なテーマになっていくでしょう。


ブロックチェーンゲームはもはや一部の先進的ユーザー向けの特殊なジャンルではありません。従来のゲーム産業と融合しながら、「デジタル資産を持ち、世界に参加する」という新しい遊び方を提示する存在として、着実に定着しつつあります。一方で、ウォレットやトークン、NFTといった概念は、現時点でも一般的なゲームユーザーにとって分かりにくい部分が多いのも事実です。だからこそ今後は、技術を意識せずに普通のゲームとして楽しめる体験をいかに提供できるかが、より重要になっていくでしょう。

WEB3-ONでも、こうした課題意識をもとに、ブロックチェーンゲームをできるだけ身近に、そして気軽に楽しめるような情報発信やコミュニティ運営を行っています。ブロックチェーンゲームを誰もが自然に触れられるよう、これからもその変化を追い続けていく予定です。

Web3ブロックチェーンブロックチェーンゲームWeb3ゲームNFTNFTゲームPlayToEarnGameFi暗号資産仮想通貨XOCIETYMapleStory UniverseParallel
センチメンタルな岩狸

センチメンタルな岩狸

このニュースをシェア

コメント

0件のコメント
コメントがありません。