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日本の暗号資産に関する税金・規制 ② ― 初心者でもわかる確定申告の基本

センチメンタルな岩狸

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ビットコインやイーサリアム、NFTなど、いまや暗号資産は投資だけでなく、報酬や趣味の一部としても広く使われるようになっています。最近では、ステーキング報酬を受け取ったり、NFTを売買したりと、日常的にブロックチェーンと関わる人も増えてきました。

しかし、ここで意外と見落とされがちなのが「税金」です。どんな取引が課税の対象になるのか、どう申告すればいいのか意外と知らないことも多いですよね。

この記事では、日本における暗号資産の課税ルールの基本から、確定申告の方法、そして初心者が陥りやすいミスまでを分かりやすく解説します!


1.どんな取引が課税対象? - 売買からNFTまで、意外と広い“課税の範囲”

日本では、暗号資産の取引で得た利益は原則として「雑所得」に分類されます。そのため、給与や事業などの収入と合算して「総合課税」の対象となり、所得税・住民税がかかります。

具体的には、次のようなケースが課税対象になります。


売買で得た利益

ビットコインなどを「円に換金したとき」や「他の暗号資産に交換したとき」に、取得時の価格との差額(=利益)に税金がかかります。暗号資産同士の交換も課税対象になる点は見落としがちです。

例:1BTC=400万円のときに購入 → 600万円のときに売却 → 200万円の利益が「雑所得」として課税

参考:Japan Crypto Tax Guide 2025


ステーキング・マイニング・エアドロップの報酬

ステーキング報酬やマイニング報酬、エアドロップでもらったトークンも課税対象です。これらは「受け取った時点の時価(円換算)」で所得として扱われます。報酬トークンをすぐ売らなくても、その時点の価値に税金がかかる点に注意しましょう。


NFTの売買益

NFTを販売して得た利益も課税対象になります。また、NFTを購入した際に使った暗号資産の価格変動による利益・損失も考慮しなければなりません。NFTの税務処理は少し複雑なので、記録を正確に残すことが大切です。

国税庁は2023年にNFTに関するFAQを発表し、課税の考え方を明確にしています。

参考: Recent trends of Web 3.0 related taxation in Japan


消費税の扱い

暗号資産そのものの売買は、消費税の対象外です。ただし、NFTの販売や譲渡は「資産の移転」とみなされ、消費税が発生する場合があるため注意が必要です。

参考:

ビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)に係る税金について

Legal regulation of cryptocurrency and NFTs


2.いつ・どうやって申告する? - 翌年の1ヶ月間が勝負!確定申告の基本をチェック

日本では、毎年1月1日から12月31日までの所得をまとめて、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告を行います。(期限日が土日や祝日の場合は翌営業日まで延長されます)

暗号資産で得た利益(雑所得)が年間20万円を超える場合は申告が必要です。ただし、ほかの所得や控除の関係で、20万円以下でも申告が必要になることがあります。

参考:freee「暗号資産の税金」ガイド


また、国税庁では暗号資産の損益を計算するためのExcel用計算書を公開しています。取引所の年間報告書や、以下のような計算ツールを活用すると便利です。

・Gtax - 国内対応

・Koinly - 海外取引にも対応

・Cryptact/クリプタクト

・税理士による「暗号資産専門の確定申告サポート」

参考:国税庁「暗号資産の計算書」公式サイト


3.初心者がやりがちな税金のミスと注意点

暗号資産の確定申告では、「気づかないうちにミスをしていた」というケースがとても多いです。ここでは、初心者が特によくやる間違いと、その対策を紹介します。


① 取引記録を残していない

暗号資産の売買や送金、ステーキング報酬の受け取りなど、すべての取引履歴を記録しておかないと、あとで損益計算ができなくなってしまいます。取引所の履歴だけでなく、ウォレットや海外取引のデータも忘れずに保存しておきましょう。


② 暗号資産同士の交換を申告していない

「ビットコインをイーサリアムに交換しただけ」と思っても、その時点で利益が出ていれば課税対象になります。

暗号資産の“交換”も“売却”と同じ扱いになる点は要注意です。


③ ステーキング報酬やエアドロップを申告していない

ステーキングやエアドロップなどで受け取ったトークンは、受け取った瞬間の時価(円換算)が課税対象になります。「ボーナスみたいなものだから大丈夫」と思って放置すると、後で追徴課税のリスクも。


④ NFTの取得価格を誤って計算している

NFTを売却して利益が出た場合は、購入時に使った暗号資産の価格も考慮して損益を計算する必要があります。NFT取引では「取得価額の計算ミス」が非常に多いため、購入時点の価格を正確に記録しておきましょう。


⑤ 少額だからといって申告しない

「少額だから申告しなくてもいいだろう」と思っても、未申告が続くと後で税務調査の対象になることがあります。金額にかかわらず、取引がある場合は記録と確認を怠らないことが大切です。


⑥ 海外取引の扱いを誤解している

海外の取引所やNFTマーケットプレイスを利用した場合、日本で課税されるかどうかはケースによって異なります。「海外だから課税されない」と思い込まず、居住地や所得の扱いに応じて確認しましょう。


⑦ 制度改正の最新情報を追っていない

現在、日本では暗号資産の課税ルールを見直す動きが進んでいます。2025年以降は「分離課税の導入」や「損失の繰越控除」が実現する可能性も。税率やルールが変わる可能性があるため、常に最新情報をチェックしておきましょう。


正しく申告して安心して運用を!

暗号資産の税金はやや複雑ですが、基本を押さえれば怖くありません。特に重要なのはこの3点☟

・ 利益は「雑所得」に分類され、総合課税の対象になる
・ 売買・交換・ステーキング・NFTも課税対象になりうる
・ 取引記録をしっかり残し、確定申告を忘れない

今後、申告分離課税(20%)や損失繰越控除の導入が検討されており、制度が整えばより透明で健全な市場が期待できます。それまでは、現行ルールのもとで正確に申告して、安心して暗号資産を楽しみましょう!

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