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暗号資産の申告漏れ156億円 税金が発生する取引と確定申告の注意点

センチメンタルな岩狸

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サムネ


国税庁の調査で申告漏れ156億円、追徴税額は46億円

国税庁が公表した令和6事務年度の所得税・消費税の調査結果によると、暗号資産等の取引を行っている個人に対して613件の実地調査が行われ、申告漏れ所得金額は総額156億円に上りました。前事務年度の126億円から約24%増加し、追徴税額も35億円から46億円へ増えています。

1件当たりで見ると、申告漏れ所得金額は2,538万円、追徴税額は745万円でした。国税庁による所得税の実地調査全体では1件当たりの追徴税額が299万円だったため、暗号資産等取引の調査では約2.5倍に当たります。調査対象となった事案に限った数字であり、暗号資産利用者全体の申告状況を示すものではありませんが、取引履歴や損益を正確に把握する重要性が改めて浮かび上がっています。

国税庁は、暗号資産等の取引を行う個人について資料情報の収集や分析を進め、積極的に調査を実施していると説明しています。売買回数が増えたり、複数の取引所やウォレットを併用したりすると年間損益の確認も複雑になるため、確定申告の前に自分の取引を整理しておく必要があります。


円への売却以外にも税金が発生する取引がある

日本では、暗号資産を売却または使用して生じた利益は、事業所得などの各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得に分類されます。注意したいのは、日本円に換金したときだけ所得が発生するとは限らない点です。

たとえば、保有している暗号資産を別の暗号資産へ交換した場合、税務上は保有していた暗号資産を譲渡して別の暗号資産を取得したものとして、譲渡損益を計算する必要があります。ステーキングやレンディングなどによって暗号資産を取得した場合も、取得時の時価を基に所得を計算します。NFTについても、売買の方法や取引の性質によって所得税の課税対象となります。

そのため、確定申告を検討する際は、日本円への売却履歴だけを見るのでは十分ではありません。暗号資産同士の交換、決済への利用、ステーキングやレンディングによる報酬、NFTを含む関連取引などを年間を通して確認し、課税関係が生じている取引がないか整理することが重要です。DeFiなど取引構造が複雑なサービスでは税務上の判断が難しいケースもあるため、個別の取引内容に応じた確認が必要になります。


取引履歴をまとめ、年間の損益を確認する

暗号資産の所得を計算するには、1年間に行った取引をまとめ、取得価額と売却・交換時の価額などから損益を確認します。複数の取引所を利用している場合も、それぞれを別々に申告するのではなく、年間の取引をまとめて所得金額を計算します。

国内の暗号資産交換業者から交付される年間取引報告書を利用する場合、国税庁は「暗号資産の計算書(総平均法用)」を使った計算方法を案内しています。取引件数が少なければ自分で整理することもできますが、複数の取引所やウォレット、オンチェーン取引を利用している場合は、取引履歴を早めに集約しておく方が確認しやすくなります。

計算した所得は、必要に応じて確定申告書へ記載します。e-Taxを使えばオンラインで確定申告を行うことができ、国税庁も暗号資産の税務上の取扱いや損益計算方法をまとめた資料を公開しています。取引内容が複雑で自分だけでは判断できない場合は、暗号資産の損益計算に対応したサービスや税理士への相談も選択肢になります。


申告漏れでは加算税や延滞税が生じる場合も

申告が必要だったにもかかわらず期限までに申告しなかった場合、本来納付すべき税額に加えて無申告加算税や延滞税が課されることがあります。申告内容に誤りがあり、税務調査後の修正申告などで新たな税額が生じた場合には、過少申告加算税が課されるケースもあり、事実を隠蔽・仮装したと判断されれば重加算税の対象となる可能性があります。

国税庁は暗号資産等の取引について資料情報を収集・分析しながら調査を進めています。令和6事務年度には613件の実地調査のうち575件で申告漏れなどの非違が確認されており、申告漏れ所得156億円という総額と合わせても、調査対象となった事案では税務上の問題が大きくなっていたことが分かります。

暗号資産を利用する際には、利益が確定した時点だけを意識するのではなく、年間を通して取引履歴を残しておくことが重要です。取引の種類が増えるほど後から損益を復元する作業は複雑になるため、売買や交換、報酬の受け取りなどを定期的に確認しておくことが、確定申告時の負担を抑えることにもつながります。


暗号資産の税制は分離課税への見直しも進む

暗号資産の税制を巡っては、令和8年度税制改正大綱で、一定の暗号資産取引から生じる所得を他の所得と分離し、所得税15%、個人住民税5%の計20%で課税する方針が示されました。対象となる暗号資産や取引には条件が設けられ、損失について3年間の繰越控除を認める措置も盛り込まれています。

適用時期は金融商品取引法の改正法が施行された年の翌年1月1日とされており、大綱公表時には2028年からの適用が想定されていました。ただし、開始時期は関連法の施行時期によって決まるため、2028年という時期自体が確定していたわけではありません。

税制見直しが進んでいるとしても、それ以前の取引についてはその時点で適用される税制に基づいて申告する必要があります。国税庁が公表した156億円という申告漏れ所得は、暗号資産を保有すること自体よりも、売却や交換、報酬の受け取りによっていつ所得が生じたのかを把握し、取引記録を残しておくことの重要性を示す結果といえます。

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