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申告漏れ156億円から考える、暗号資産の税金と正しい付き合い方

センチメンタルな岩狸

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サムネ


申告漏れ156億円が示す、暗号資産税務の現実

国税庁は、令和6事務年度に実施した税務調査の結果をまとめたレポートを公表し、暗号資産取引に関する申告漏れ所得が総額156億円に上ったことを明らかにしました。個人の暗号資産取引を中心に調査が行われ、追徴税額は約46億円に達したとされています。この数字は、暗号資産を使っている多くの人が、意図せず税務上のリスクを抱えている可能性を示しています。


多くの申告漏れは「知らなかった」ことから始まる

とはいえ、申告漏れの多くは悪意によるものではありません。暗号資産の税制は分かりにくく、株や投資信託のように自動で計算・申告してくれる仕組みも整っていないため、「気づいたら申告が必要だった」というケースが少なくないのです。だからこそ、このニュースをきっかけに、あらためて暗号資産と税金の基本を押さえておくことが重要になります。


暗号資産の利益は原則「雑所得として課税される」

まず知っておきたいのは、日本では暗号資産で得た利益が原則として「雑所得」に分類されるという点です。暗号資産を円に換えたときだけが課税対象だと思われがちですが、実際には暗号資産同士を交換した場合や、ステーキングやエアドロップで報酬を受け取った場合も、条件次第で課税されます。


申告が必要か、まずはチェックしてみよう

自分は申告が必要なのか分からないという人は、まずは次のチェックリストで確認してみてください。ひとつでも当てはまる場合、課税対象になる可能性があります。

✔暗号資産を日本円に換えて利益が出た
✔暗号資産同士(例:ETH → USDC など)を交換した
✔DeFiでスワップ・流動性提供・利回り運用を行った
✔ステーキングやレンディングで報酬を受け取った
✔エアドロップでトークンを受け取った
✔NFTの売買で利益が出た
✔複数の取引所やウォレットを使って取引している

少額だから、もしくは円に戻していないから大丈夫と思っていても、取引内容によっては申告が必要になるケースがあります。


チェックに当てはまったら、次にやること ― 1年分の取引を正確に管理する

チェック項目に心当たりがある場合は、次のステップを意識してみてください。

・過去1年分の取引履歴を、取引所・ウォレットごとに確認する
・いつ、いくらで取得し、どの取引で利益が出たのかを整理する
・不安があれば、計算ツールや税理士など専門家の力を借りる

実際の申告で基本となるのは、1年間の取引をすべて振り返り、利益を計算することです。複数の取引所やウォレットを使っている場合でも、最終的にはすべて合算して考える必要があります。この作業は手間がかかりますが、申告の土台となる非常に重要な工程です。


計算後は確定申告へ ― ツールや専門家を活用

利益が計算できたら、その金額を確定申告書に雑所得として記載します。現在は、e-Taxを利用すれば自宅からオンラインで申告を行うことも可能です。また、国税庁では暗号資産の税務上の取扱いや損益計算の考え方をまとめた資料を公開しており、申告内容を確認する際の参考になります。

暗号資産の取引量が多い場合や、複数の取引所・ウォレットを利用している場合は、計算や整理が複雑になりがちです。そのような場合は、暗号資産対応の計算ツールを活用したり、税理士など専門家に相談するのも一つの方法でしょう。正確な申告を心がけることが、後々のトラブルを防ぐことにもつながります。


申告しなかった場合は? ― ペナルティのリスクを知っておこう

もし申告をしなかった場合、どうなるのかも気になるところです。国税庁のレポートが示すように、申告漏れが発覚すると、後から税金を支払うだけでは済みません。本来の税額に加えて、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。さらに、意図的に隠していたと判断されれば、重加算税が適用され、負担は一気に大きくなります。「知らなかった」では済まされないのが、税金の世界の現実です。


正しく申告することが、安心して使い続けるための第一歩

最近では、税務当局も暗号資産取引の把握を強化しています。取引所から提供されるデータや、取引履歴の分析を通じて、個人の取引状況を把握できる環境が整いつつあります。以前は見つかりにくかった申告漏れも、今後は指摘される可能性が高まっていくと考えた方がよいでしょう。

なお、最近では2028年を目安に暗号資産を分離課税を導入するという報道も出ています。もし実現すれば、暗号資産の申告方法や税金の扱いは、今とは大きく変わる可能性があります。それまでは、現行の税制を正しく理解したうえで、現行のルールに従って暗号資産を楽しむことが大切だと言えるでしょう。

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