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【USDT特集 2】Tether、決済・RWA・実物資産へ事業拡大 USDTの活用と次の戦略

センチメンタルな岩狸

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取引所から日常の支払いへ広がるUSDT

前編では、USDTの誕生背景からステーブルコイン市場での位置付けまでを整理しました。後編では、USDTが実際にどのような場面で利用されているのかを確認しながら、Tetherが進める決済、RWA、金、エネルギー分野への事業展開を見ていきます。

USDTは暗号資産取引所での売買や資金移動に広く使われてきましたが、用途は国際的な報酬支払いや決済サービスにも広がっています。国際人材プラットフォームのDeelでは、対象となる契約者がUSDTなどのデジタル通貨を利用して報酬を外部ウォレットへ出金できる仕組みが用意されています。

こうしたサービスには本人確認や対象地域、手数料などの条件があります。それでも、ステーブルコインが暗号資産取引のための資産から、国境を越えた資金移動に利用される決済手段へ用途を広げていることが分かります。


LINEとTONで進むモバイル決済との接続

Tetherは2025年5月、Kaiaブロックチェーン上へUSDTをネイティブ展開しました。LINE NEXTとKaiaは、LINE Messengerから利用できるMini Dappやセルフカストディ型ウォレット基盤でUSDTをサポートし、アジアでのステーブルコイン利用を広げる方針を示しています。

TetherはTON Foundation、モバイル決済アプリOobitとも協業しています。TON上のUSDTをTelegram経由で送金し、OobitのTap & Payを通じて店舗決済へ利用する構想で、店舗側が法定通貨を受け取れる仕組みも発表されています。

ここで重要なのは、USDTの利用場所が暗号資産取引所の内部から、メッセージングアプリやモバイル決済へ広がっている点です。利用条件や地域差はありますが、普段使われるアプリとステーブルコインを接続しようとする動きは、USDTの用途を考えるうえで一つの変化といえます。


DeFiや国際送金でも流動性を支えるUSDT

USDTはDeFiでもレンディングや流動性プールなどに利用されています。ユーザーがUSDTを供給し、別の利用者が借り入れる仕組みや、DEXでのトークン交換に流動性を提供する仕組みを通じて、オンチェーン上の資金移動にも組み込まれています。

国際送金でもステーブルコインは選択肢の一つとなっています。ブロックチェーン上では国境を意識せず送金できますが、実際のコストや所要時間は利用するネットワーク、取引所、法定通貨との交換方法によって変わります。

そのため、ステーブルコインが常に銀行送金より安価で高速とは限りません。一方、従来の銀行インフラを経由せずデジタルドルを移転できる点は、国際的な報酬支払いや資金移動で利用が検討される理由の一つとなっています。


XAU₮とHadronでRWA領域へ拡大

Tetherはドル連動型のUSDTに加え、金を裏付けとするTether Gold(XAU₮)も展開しています。1 XAU₮は、LBMAのGood Delivery基準を満たす金地金に含まれる1ファイントロイオンスの金の所有権を表します。デジタルトークンの形で金へのエクスポージャーを提供する商品です。

RWA分野では、2024年11月に資産トークン化プラットフォーム「Hadron by Tether」を発表しました。株式、債券、商品、ファンド、ステーブルコインなどをトークン化し、発行から管理までを支援するための基盤として設計されています。

USDTの発行会社というイメージが強いTetherですが、XAU₮とHadronを見ると、ドル連動型ステーブルコインから実物資産をオンチェーンへ接続する技術基盤まで事業範囲を広げようとしていることが読み取れます。


金と再生可能エネルギーへの実物投資

ブロックチェーン上の資産に加え、Tetherは実物資産やインフラへの投資も進めています。2023年にはエルサルバドルのVolcano Energyへ出資し、太陽光と風力を活用した再生可能エネルギー発電とBitcoinマイニング施設の構築に参加しました。

2025年6月には、カナダの金ロイヤルティ企業Elemental Altusの株式約31.9%を取得しました。Tetherはこの投資について、金やBitcoinなどの資産を自社の長期戦略へ組み込む取り組みの一環と説明しています。

USDTから得られる事業基盤を活用しながら、トークン化技術、金、エネルギー、マイニングなどへ投資対象を広げている点は、現在のTetherを理解するうえで重要です。ステーブルコイン発行を中心としながら、その周辺に複数の事業を形成する動きが鮮明になっています。


大型資金調達の検討と5000億ドル評価報道

2025年9月には、Tetherの資本政策にも注目が集まりました。Paolo Ardoino CEOは、著名な投資家を対象とした資金調達を検討していることを明らかにし、ステーブルコイン、AI、商品取引、エネルギー、通信、メディアなど既存・新規事業の拡大を目的に挙げました。

Bloombergは関係者情報として、Tetherが約3%の株式と引き換えに150億~200億ドルの調達を検討し、条件次第では企業評価額が約5000億ドルに達する可能性があると報じました。ただし、交渉は初期段階とされ、調達額や評価額が確定したという意味ではありません。

資金調達が実現するかにかかわらず、Tether自身が外部資本を活用した事業拡大を検討していることは、USDT以外の領域へ投資を広げる同社の戦略と重なります。


USDT・USA₮・RWAで広がるTetherの事業領域

規制対応では、Tetherは2025年9月に米国市場向けのドル建てステーブルコイン「USA₮」の計画を発表しました。USDTを世界各地で展開する一方、米国向けには同国の制度に合わせた別のドル建てトークンを準備する方針です。

同時に、Hadronによる資産トークン化、XAU₮による金のデジタル化、LINEやTONを通じた決済利用など、Tetherの事業は複数の方向へ広がっています。これらを個別の新規事業として見るより、デジタル資産を保有・移転・決済・トークン化するためのインフラを広げる戦略として捉えると、各施策のつながりが見えやすくなります。

USDTの今後を考える際には発行量や時価総額に加え、実際にどのサービスへ組み込まれ、各地域の規制環境へどのように対応していくかも重要になります。TetherがUSDTで築いた利用基盤を決済やRWAなどへどこまで接続できるかが、次の事業展開を見るうえで注目点となりそうです。

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