WEB3ガイド

【前編】AIとWeb3はどこまで融合しているのか ― 実際のプロジェクトの事例から見える現状

センチメンタルな岩狸

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サムネ


「AI × Web3」という言葉は、ここ1〜2年で急速に広まりました。 SNSやメディアでは、AIエージェント、分散型AI、Web3ネイティブAIといった表現が並び、次の大きなトレンドであるかのように語られています。

しかし、初心者の立場から見ると、「実際にどこでAIが使われているのか」 「従来のWeb3と何が違うのか」など、非常に分かりにくいものでもあります。

本記事では、AIとWeb3の関係を実在するプロジェクトの事例をもとに、現在どこまで融合が進んでいるのかを整理します。前編では、実際にAIを取り入れているWeb3プロジェクトと、あえてAIを使っていないWeb3プロジェクトの両方を紹介し、その違いを明らかにします。


なぜ今「AI × Web3」が語られるのか

このテーマが注目される背景には、生成AIの進化と、Web3が抱えてきた構造的な課題にあります。Web3は、信頼をコードで置き換える技術として発展してきました。仲介者を排しルールをスマートコントラクトで定義することで透明性や検閲耐性を実現してきた一方で、DAOの運営、DeFiにおけるリスク管理、複雑なプロトコルの利用など、実際の運用では多くの判断や管理を人が担う必要がありました。

仕組みは分散化されていても、使いこなすためには高い理解力と手間が求められるため、この人の負担をどう減らすかという課題に対して、AIが補助役として期待されるようになったのです。


実際にAIを取り入れているWeb3プロジェクト

現在、AIを取り入れているWeb3プロジェクトはいくつか存在しますが、共通して言えるのは、一般ユーザー向けの完成されたサービスというより、基盤技術に近い位置づけであるという点です。


① SingularityNET(AIマーケットプレイス型)

SingularityNETは、AIモデルやAIサービスを分散型ネットワーク上で提供・共有することを目指すプロジェクトです。

ここではAIそのものが価値の中心にあり、開発者は自分のAIを公開し、利用に応じて報酬を得る仕組みになっています。ここでは、ブロックチェーンはAIの利用履歴や報酬分配といった経済圏の管理を担い、AIは実際に価値を生み出す主体として機能します。AIとWeb3の役割分担が比較的明確な例と言えるでしょう。


② Ocean Protocol(データ共有型)

Ocean Protocolは、AIの学習に必要なデータを安全に共有・取引するための代表的データマーケットプレイスプロジェクトです。

AIモデルはデータがなければ性能を発揮できませんが、データを安全に流通させるインフラは伝統的に整っていませんでした。Ocean Protocolでは、データをトークン化して取引可能にすることで、データ提供者が報酬を得られる仕組みを構築しています。

データの所有権を保ちながらAI学習に利用できる点が評価され、AIとWeb3が関わるプロジェクトの中で代表的なデータレイヤーとして取り上げられています。


③ Bittensor(分散型機械学習ネットワーク型)

Bittensorは、分散型の機械学習ネットワークを構築するプロジェクトです。参加者はAIモデルや計算リソースを提供し、その貢献度に応じて報酬を受け取ります。

従来の中央集権型AIは大企業が計算リソースとデータを独占していましたが、Bittensorはこのモデルを破り、AIの学習過程そのものを分散型インフラとして構築しようとしています。AIモデルの共有・評価・進化がネットワーク全体で行われる点が、新しいAI×Web3の象徴的な例です。


④ Render Network など(分散AIインフラ)

Render Networkは、分散型GPUレンダリングとコンピューティングを提供するプロジェクトです。AI生成コンテンツ(画像・動画・3Dレンダリング)は大量のGPUリソースを必要としますが、中央集権クラウドではコストと独占性が課題です。

Render Networkは、世界中の未使用GPUを集めて分散コンピューティング基盤を提供し、AI処理や3Dレンダリングの分散実行を可能にします。


⑤ The Graph(Web3索引・AI連携インフラ)

The Graphは、ブロックチェーンデータのインデックスおよびクエリプロトコルで、Web3のデータ層として広く使われています。このプロトコル自体はAI専用ではありませんが、多くのAIエージェントやAI型アプリケーションがブロックチェーンデータをAIで分析・活用する際の基盤インフラとして機能します。

実際、複数のWeb3プロジェクトやAI型サービスがThe Graphを基盤として利用しているため、AI × Web3の重要なインフラレイヤーの代表例とされています。

AIを前提にしていないWeb3プロジェクト

一方で、AIを使わずに成立しているWeb3プロジェクトも数多く存在します。


Unstoppable Domains

Unstoppable Domainsは、ブロックチェーン上でデジタルIDやドメインを提供するサービスで、AIは使われていません。焦点はあくまで「所有権」や「検閲耐性」といったWeb3の基本価値にあります。

また、多くの従来型DeFiプロトコルは、あらかじめ定義されたルールに基づいて動作します。 金利計算や清算条件はスマートコントラクトで固定されており、AIによる判断は行われません。

NFTマーケットプレイスも同様で、取引と所有記録の管理が主目的です。価値判断は人間にゆだねられています。これらの例から分かるのは、AIはWeb3の必須要素ではないという事実です。


融合は始まっているが、限定的である

本編で見てきたように、AIとWeb3はすでに接点を持ち始めています。ただしそれは、すべてのWeb3に共通する動きではなく、特定の課題を補うための限定的な融合です。

AIはWeb3を置き換える存在ではなく、あくまで補助役として使われています。では、この組み合わせにはどんなメリットがあり、なぜ難しいのか。

後編では、AI × Web3の仕組みをもう一段掘り下げ、メリットと課題、そして初心者がどう向き合うべきかを整理します。

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