
11月18日に新キャラクター決定
JR東日本は2026年9月8日、交通系ICサービス「Suica」の新たなイメージキャラクター候補3案を公開し、一般投票を始めた。2001年のサービス開始時からSuicaの顔を務めてきた「Suicaのペンギン」は2026年度末に卒業し、新キャラクターが2027年4月にデビューする予定だ。
投票期間は9月23日午後11時59分まで。年齢や性別、職業、国籍を問わず1人1回参加でき、最多得票を獲得した候補が新キャラクターに選ばれる。結果は、Suicaのサービス開始から25周年を迎える11月18日のお披露目式で発表される。

利用範囲の広がりを表現した3候補
候補Aは、頭から尻尾の先まで続く一本の模様で鉄道を表現したオレンジ色のリスだ。日本各地や人々の生活をつなぐJR東日本の事業から着想を得ており、柔らかな曲線によって親しみやすさを持たせた。候補Bには、周囲の声に耳を傾けながら未来へ跳び進む紫色のうさぎを採用。安心を象徴する青と、感動や期待を表す赤を組み合わせた紫色に、利用者の新たな挑戦を後押しする役割を込めた。
候補Cは、動物の種類をあえて定めていないオレンジ色のキャラクターが、ポシェットに小さなモグラを入れて連れ歩くデザインだ。土の中しか知らないモグラに外の世界を見せるという物語を通じ、移動や外出の楽しさと、Suicaの利用範囲が広がっていく姿を描いている。
3案は、JR東日本グループ社員から集めた新キャラクターへの期待を基に、選考委員会が指名した若手クリエイターが制作した。委員会が8月に候補を絞り込み、最終選考には利用者投票を採用した。座長は放送作家・脚本家の小山薫堂氏が務め、モデルの市川紗椰氏、デザイナーの篠原ともえ氏、声優・俳優の津田健次郎氏らも選考に参加している。

発行枚数1億2,435万枚、広く定着したブランドの転換
坂崎千春氏が手掛けた「Suicaのペンギン」は、カード券面や広告、関連商品などを通じて25年にわたりSuicaの認知を支えてきた。JR東日本も、同キャラクターがサービスの認知度向上と利用促進に大きく貢献したと説明している。
JR東日本の「FACT BOOK 2026」によると、2026年3月末時点のSuica発行枚数は1億2,435万枚に達し、このうちモバイルSuicaは4,214万枚を占める。Suicaを含む交通系電子マネー全体では、月間利用件数が3億2,300万件、対応店舗数が228万4,000店に上る。幅広い生活場面に浸透したサービスだけに、キャラクター交代はデザインの変更に収まらず、25年かけて築いたブランドイメージを更新する節目となる。

エリア統合と決済拡張、Suica自体も転換期に
キャラクター候補が公開された9月8日、JR東日本は現在6つに分かれているSuica利用エリアを2026年度末に統合する計画も発表した。首都圏、仙台、新潟、青森、盛岡、秋田の各エリアをまたぐ乗車を可能にしたうえで、タブレット端末などを使う「どこでも改札(仮称)」を2030年度から順次導入し、2030年代初めにはJR東日本管内の全駅でSuicaを利用できる状態を目指す。
決済分野では、2026年秋にモバイルSuicaへコード決済機能を搭載する計画が進む。従来のSuica残高とは別にサーバー上で残高を管理し、最大30万円のチャージやバリューの送受信、クーポンなどに対応するほか、ビューカードとの連携によって事前チャージなしで利用できる仕組みも想定している。
こうした機能と利用地域の拡張は、Suicaを鉄道利用と少額決済を中心とするサービスから、地域や日常生活の幅広い場面を支える「生活のデバイス」へ発展させる「Suica Renaissance」の一環だ。新キャラクターには、サービスの変化を利用者へ伝え、鉄道や決済にとどまらない新たなブランド像を担う役割が求められる。
ペンギンを惜しむ声、新旧キャラクターの移行へ
JR東日本はペンギンの卒業を前に、2026年度を「Penguin Years」と位置付けている。デジタルスタンプラリーや上野駅でのファンイベント、山手線の特別ラッピングトレインなどを展開し、長年親しまれたキャラクターとの接点を設けながら交代に向けた機運を高めている。
ペンギンが描かれた現行のSuicaカードは、各発売場所の在庫がなくなり次第販売を終了し、その後はキャラクターを使用しない無地のカードへ切り替わる。候補公開後には、ねとらぼが「ペンギンを返して」「ペンギン……」といった惜別の声を紹介しており、利用者の関心は候補案の人気に加え、Suicaが築いてきた親しみやすさをどう受け継ぐかにも向けられている。
新キャラクターの決定後は愛称を一般から募集し、2027年1月の審査を経て、同年3月に愛称発表とバトンタッチ式を予定する。Suicaの機能と利用地域が大きく広がるなか、新たな「顔」がペンギンに代わる存在として受け入れられ、変化するサービスと利用者をつなぐ役割を果たせるかが注目される。
公式サイト:JR東日本

コメント