
商品マニュアルをAIと連携、担当者間で専門知識を共有
音響機器や楽器、照明機器を扱うサウンドハウスが、Salesforceを活用したマーケティングや顧客対応の強化を進めている。エンミッシュは2026年8月28日、同社に対し「Agentforce Marketing」「Agentforce Service」「Data 360(旧Data Cloud)」の活用支援を行ったと発表した。すでに導入していたSalesforce製品について、実際の業務に合わせて利用範囲を広げた取り組みとなる。
商品知識の共有にはData 360とAIを組み合わせた。サウンドハウスが扱う音響機器や楽器は、製品ごとに仕様や使用方法が異なるため、問い合わせへの回答にも専門知識が求められる。そこで商品マニュアルをData 360に集約し、AIが内容を参照して製品の使い方などに関する質問へ回答できる環境を構築した。特定の担当者に蓄積していた知識を共有し、より多くの担当者が商品に関する問い合わせへ対応できる体制づくりにつなげる。
導入済みSalesforceを実務へ、マーケティングでは売上効果も
サウンドハウスは以前からSalesforce製品を導入していたものの、社内リソースやITスキルの制約から、Agentforce Marketingではレコメンド、Agentforce Serviceでは顧客管理など、利用する機能が限られていた。エンミッシュは業務に合わせた活用方法の設計から設定、運用定着までを支援し、マーケティングや問い合わせ対応で使える範囲を広げた。
Agentforce Marketingでは、顧客の行動データをもとに、クーポン付きの誕生日メールや休眠顧客への再アプローチなどを行うシナリオメールを整備した。エンミッシュによると、基本的な施策を実施した段階で、Agentforce Marketingの利用料の約1.5倍に相当する売上を創出したという。
Agentforce Serviceでは、電話による問い合わせ内容と顧客情報をひも付けて管理できる環境を整えた。通話内容を自動でテキスト化して蓄積する仕組みの構築も進めており、過去の対応内容を把握しやすくするとともに、問い合わせ業務を担う営業社員の負担を抑え、本来の営業活動に充てる時間を確保する狙いがある。
Web通販の高度化を続け、商品知識の活用にもAI
サウンドハウスは1993年に音響機器の通信販売を始め、1999年にはホームページを開設してWeb通販へ進出した。その後も物流システムや検索機能などを拡充し、インターネット通販を事業の基盤としてきた。現在は業務用音響機器や楽器、照明機器の輸入・販売を手掛け、AIを含むデジタル技術によるWebサイトの利便性向上や、顧客に合わせた提案の仕組みづくりも掲げている。
こうした流れの中で、今回の取り組みはWebサイト上の機能改善から、社内に蓄積された商品知識の活用へデジタル化の対象を広げるものと位置付けられる。担当者が個別に参照してきたマニュアルや製品情報をAIが利用できる形に整えることで、専門知識を問い合わせ対応に生かす方法そのものを変えようとしている。
ECのAI活用、商品探索から購入後支援へ
EC分野では、AIの用途がレコメンドや分析から、対話を通じた商品探索や問い合わせ対応へ広がっている。Salesforceも2026年のAgentforce Commerceで、商品ページ上の質問に回答するQ&A機能や、会話を通じて商品の発見から購入後まで利用者を支援するAIエージェントを展開しており、AIを顧客と直接やり取りする接点へ組み込む動きが進んでいる。
サウンドハウスも、商品マニュアルを参照するAIを今後は顧客向けのセルフサポートとして公開し、利用者が製品の使い方などを自ら確認できる環境へ広げる計画だ。その先には、利用者の質問や目的に応じて情報を提示し、商品選びから購入後の利用まで支援する「AIコンシェルジュ」への発展も想定している。
専門性の高い商材を扱うECでは、豊富な商品情報をAIに与えるだけで十分とは限らず、仕様変更やマニュアル更新を反映しながら回答の正確性を保つ運用が欠かせない。サウンドハウスが社内向けに整えた商品知識の活用基盤を顧客接点まで広げ、専門的な商品案内をどこまで実用化できるかが今後の焦点となる。
公式発表:エンミッシュ PR TIMES

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