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くら寿司、約4年ぶりに110円価格帯を再設定 値上げ局面で低価格商品を拡充

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最低価格を115円から110円へ

回転寿司チェーンを展開するくら寿司は、2026年9月4日から全国の店舗で一部商品の価格を改定する。現在115円を最低価格とする店舗では110円に引き下げるほか、120円店舗は115円、130円店舗は125円、150円店舗は145円となり、各価格区分で最低価格を5円下げる。

値下げ対象には「熟成びんちょうまぐろ」「ねぎまぐろ」「たまご焼き」「ハンバーグ」「コーン」などが含まれる。さらに、2種類のネタを1皿で楽しめる「相盛り」を新たに投入し、110円の商品は計37品目まで拡充する。

外食各社が原材料費や人件費、エネルギーコストの上昇を受けて価格改定を続ける中、最低価格そのものを引き下げる動きは目を引く。ただ、くら寿司の改定は全面的な値下げではなく、低価格帯を広げる一方で、一部の商品では価格を引き上げる再編となっている。


サーモンなど33品目は120円へ

これまで115円で提供していた「サーモン」「ゆず塩かつおたたき」「生えび」「大葉松いか」「赤貝」など33品目は、115円店舗で120円へ改定される。一部店舗では価格が異なり、看板商品の「熟成まぐろ」は120円を維持する。

価格見直しの背景には、原材料価格の高騰に加え、円安による仕入れ価格やエネルギーコストの上昇がある。くら寿司はシステム化やAIの活用を通じて店舗運営の効率化を進めてきたが、価格と品質を従来水準で維持する負担が大きくなっていると説明している。

こうした環境下で、同社はすべての商品を一律に値上げするのではなく、集客力につながりやすい低価格帯を残しながら、コスト負担の大きい商品では価格を調整する方式を選んだ。価格の分かりやすさと採算性を商品ごとに両立させる方向へ、価格体系を細分化した形だ。


2022年に姿を消した110円が復活

くら寿司は2022年10月、それまで110円と220円だった基本価格帯を115円と165円へ変更した。当時も水産物を中心とした原材料費や物流費、エネルギー費、円安の影響が強まり、創業以来維持してきた110円の価格帯を見直している。

今回、約4年ぶりに110円が通常価格帯へ戻るものの、コスト環境が当時より改善したことを意味するわけではない。むしろ一部商品を値上げしながら110円商品を増やしている点からは、価格帯を一律に引き上げる手法から、商品ごとに価格を細かく設定する方向へ戦略が変化していることがうかがえる。

競合でも価格戦略の見直しが続く。スシローは2026年7月に「厳選まぐろ赤身」を120円から150円へ引き上げるなど一部商品を改定した一方、はま寿司では110円の商品群を維持している。回転寿司市場では、原価上昇をどこまで販売価格へ転嫁するかに加え、100円台前半の商品をどの程度残せるかも競争力を左右する要素となっている。


問われる「110円」の実効性

くら寿司が110円に設定する商品には、「たまご焼き」「ハンバーグ」「コーン」などファミリー層から選ばれやすいメニューが含まれる。最低価格を引き下げることで価格面の訴求力を高めつつ、人気の高い一部の魚介では値上げを実施するため、利用者が感じる負担は注文内容によって大きく変わる。

その意味で、今回の価格改定を単純な「値下げ」と捉えるのは適切ではない。110円という分かりやすい価格帯を再び前面に出しながら、商品別では値上げも組み合わせることで、集客力と収益性の両立を図る価格設計となっている。

原材料高と消費者の節約志向が同時に進む中、回転寿司各社には値上げによる収益確保と、低価格イメージの維持という相反する課題がある。くら寿司が110円商品を再び増やす動きは、こうした市場環境の中で価格競争力をどう残すかという、回転寿司業界全体の課題を映す動きといえる。


公式発表:くら寿司

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