
E2E型AIを2028年から量販車へ
トヨタ自動車が、人工知能(AI)を使って周囲の認識から運転判断、車両操作までを一連のモデルで処理する「エンド・ツー・エンド(E2E)」型の技術を、2028年から一部の量販車に導入する。トヨタは8月27日の説明会で自動運転・運転支援の開発方針を示しており、日経クロステックは9月1日、乗用車向けの「レベル2++」と商用車向けレベル4で中核となるAIモデルを共通化すると報じた。
2028年に投入するレベル2++では、高速道路や一般道での車線変更、追い越し、分岐・合流、交差点の通過、駐車など、現在の運転支援より幅広い場面をAIが支える。トヨタは2030年以降に搭載車種を広げる計画で、車線維持や追従走行を中心としてきた運転支援を、目的地までのより広い区間へ拡張していく。
レベル2++は高度な運転支援を示す業界上の呼称で、運転の主体は引き続きドライバーにある。利用できる機能や道路が増えても、運転者には継続的な監視と必要時の操作が求められ、一定条件下でシステムが運転主体となるレベル3や、限定された領域で運転者を必要としないレベル4とは責任の構造が異なる。
運転支援からレベル4まで共通基盤で開発
トヨタがE2E型AIの量産化に踏み込む背景には、車載ソフトウェアとAIを共通基盤として育てる開発体制の整備がある。自動運転技術を担うWoven by Toyotaは、運転支援から高度な自動運転まで複数の自動化レベルで学習や検証、システム部品を共有する「スケーラブルなドライビングスタック」を掲げている。
車両から得られた走行データをAIの継続的な学習につなげる「Active Learning Loop」も、その開発を支える仕組みの一つだ。実際の道路で発生した複雑な状況を開発環境へ戻し、学習と検証を繰り返すことで、個別の機能を積み上げる従来型の開発とは異なる形でシステム全体の性能を高めていく。
日経クロステックが報じたレベル2++とレベル4のモデル共通化は、この開発方針を量産車と商用車の双方へ広げるものとみられる。乗用車と商用車で基盤を共有できれば、用途ごとにAIを個別開発する負担を抑えながら、幅広い走行環境で得られた知見を双方の開発へ反映しやすくなる。
E2Eの判断に安全機構を重ねる
E2E型AIは、カメラなどから得た情報を基に認識や予測、車両操作までを一体的に学習でき、複雑な交通環境への対応力を高めやすい。その半面、学習型AIが量産車で予測しにくい挙動を示した場合にどう介入し、安全性を継続して検証するかが実用化の課題となる。
トヨタはこの点に対応するため、E2E型AIにルールベースの安全機構「ガードレール」を組み合わせる。AIが周囲の状況から運転を判断する一方、交通ルールや安全上の制約を別の層から適用し、許容範囲を外れる動きを抑える構成だ。AIの柔軟な判断能力を活用しながら、安全に関わる制御を学習モデルだけに委ねない設計となる。
国内メーカーも同じ時期にAIを使った運転支援の量産化を進めている。日産自動車は英WayveのAI技術を組み込んだ次世代「ProPILOT」を2027年度中に国内の市販車へ搭載する予定で、Hondaも2028年から次世代ADAS搭載車を展開する計画だ。競争の軸はE2E技術そのものの開発から、市街地を含めてどこまで利用範囲を広げ、安全性と使いやすさを両立できるかへ移りつつある。
量販車の技術を商用レベル4へ
商用分野では、トヨタは地方交通などでの利用を念頭に2030年までにレベル4の技術開発を進める。これとは別に、多目的モビリティ「e-Palette」では2027年度にレベル4準拠の自動運転システム搭載車を市場導入する目標を掲げている。e-Paletteは外部企業が開発した自動運転システムも搭載できる構造を採用しており、自社E2E技術の開発と複数の経路からレベル4の実用化を進めている。
トヨタは米Waymoとも、自動運転車両プラットフォームの共同開発や個人所有車への技術活用を検討している。外部企業との連携を続けながら、自社では量販車から商用車まで共通利用できるE2E基盤を育てることで、運転支援と完全自動運転の双方に対応できる開発体制を構築する考えだ。
2027~2028年には国内各社の次世代運転支援が相次いで市販車へ入る。トヨタについても、最初にE2E型AIを搭載する車種や対応道路、利用地域、安全機構が介入する条件など、実際の仕様が今後明らかになる見通しだ。量販車で蓄積する技術や走行データをレベル4へどこまで共通して活用できるかは、トヨタのE2E戦略が実用段階へ進むうえで重要なポイントになる。
公式サイト:Woven by Toyota

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