
楽天市場とは別の直販ストアとして開始
楽天グループは2026年8月25日、ファッションや雑貨などの低価格帯商品を扱う新オンラインストア「楽天ラクヨコ」を開設した。「楽天市場」とは独立した直販チャネルとして展開し、ウェブブラウザとiOS・Androidアプリから利用できる。開設時点で約6万点を取り扱い、数百円からのファッションアイテム、スマートフォンアクセサリー、インテリア・キッチン雑貨などをそろえる。
楽天は同サービスを、若年層が「楽天エコシステム(経済圏)」へ入る新たなエントリーポイントと位置付けている。大規模なオンラインモールである楽天市場とは販売チャネルを分け、低価格帯やトレンドを意識した商品を集めた専用ストアを設けることで、若年層との接点を広げる。サービス名も、楽天ならではの買い物の楽しさと、人々のにぎわいや出会いを想起させる「横丁」を掛け合わせ、多様な商品が集まる売り場を表現した。
縦スクロールで「検索前」の商品発見を促す
若年層との接点を作る上で、楽天ラクヨコが重視したのが商品を探すまでの導線だ。検索して商品を比較するECの利用方法に加え、スマートフォンの縦スクロールを中心とした画面設計を採用し、閲覧履歴や購買行動に応じてホーム画面や商品詳細ページ下部におすすめ商品をパーソナライズ表示する。商品名やブランドをあらかじめ決めて検索する購買行動とは異なり、SNSを閲覧するように画面をスクロールしながら関心に合う商品と接触する「発見型」の買い物を意識した設計となっている。
こうした購買導線の背景には、若い世代の商品選びにSNSが浸透している状況がある。楽天ラクマが2026年に公表したファッション調査では、10~20代女性が「最もファッションの参考にしている国」として韓国を選んだ割合が10回連続で首位となり、韓国ファッションの情報源ではInstagramやTikTokが上位に入った。SBペイメントサービスの2025年調査でも、20代の15.2%が前年と比べて「SNS経由でECサイトを利用するようになった」と回答しており、SNS上で情報を得てECへ移る消費行動が一定の広がりを見せている。
楽天ラクヨコでは、この商品発見の仕組みに楽天の既存サービスを接続する。注文は1回あたり2,100円以上16,666円までで、沖縄・離島・一部地域を除いて送料無料となるほか、購入金額100円(税抜)につき楽天ポイント1ポイントが進呈され、保有ポイントも支払いに利用できる。会員登録を行ったユーザー全員を対象に、500円オフクーポンを配布するキャンペーンも実施する。
Temuなど低価格EC、日本市場で存在感
楽天が若年層向けの直販ストアを立ち上げた時期には、日本のEC市場で海外発の低価格サービスが利用者を増やしている。ニールセン デジタルによると、2023年7月に日本へ参入したTemuは2024年5月時点で月間利用者数3,106万人に達し、オンラインモールジャンルで4位に入った。その後も利用を伸ばし、2025年の日本におけるインターネットサービス利用者数は5,721万人となり、全サービスを対象としたランキングでも8位に入っている。
低価格帯の商品を幅広くそろえ、スマートフォン上で次々と商品を提示する販売手法が広がるなか、楽天ラクヨコも約6万点の商品と縦スクロール型UIを組み合わせた。ただし、楽天がTemuなど特定サービスへの対抗策としてラクヨコを位置付けたわけではなく、同社が公式に掲げるのは若年層の楽天経済圏への新たな入口という役割だ。低価格ECの選択肢が広がる市場環境のなかで、楽天が既存のモールとは異なる売り場を新設したことは、同社のEC展開を考える上で注目される動きといえる。
「Rセレクト」で商品選定、楽天経済圏とも接続
海外発の低価格ECが存在感を高めるなか、楽天ラクヨコでは商品管理にも独自の仕組みを設けた。一部商品を楽天が独自基準に基づいて検品・選定し、「Rセレクト」として販売するもので、対象商品は発送日から30日以内であればユーザー都合による返品にも対応する。
さらに、楽天ラクヨコで楽天ポイントを貯めたり支払いに使ったりできるため、新たな売り場での購買体験は既存の楽天経済圏にもつながる。低価格やトレンド性、縦スクロールによる商品発見を入口としながら、商品選定や返品対応、ポイントといった既存の仕組みを組み合わせた構成は、楽天が持つ会員・サービス基盤を生かした展開とみられる。
楽天市場とは異なる直販チャネルを設けたことで、楽天のEC事業には若年層向けの新たな入口が加わった。海外発の低価格ECが日本で利用を広げるなか、約6万点から始まる品ぞろえとSNSに近い商品発見の仕組みが若年層の利用につながるか、今後の展開が注目される。
公式発表:楽天グループ PR TIMES、楽天ラクヨコ

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