
52の司法長官と合意、裁判所も承認
米Metaは8月26日(米国時間)、青少年のSNS利用を巡る訴訟について、米国の州・地域やワシントンD.C.など52の司法長官と合意した。裁判所は翌27日に合意を承認しており、参加する州や地域ではInstagramとFacebookを利用する18歳未満のユーザーに、新たな保護措置が自動適用される。合意条件の大半は10年間維持され、利用時間と夜間アクセスの制限は当初5年間適用される。
InstagramとFacebookの利用時間は両サービスを合わせて1日2時間とし、複数アカウントが確認された場合も時間を合算する。青少年本人だけでは制限を解除できず、設定変更には保護者の許可が必要となる。午前0時から午前6時まではフィード、ストーリーズ、発見タブ、リールなどへのアクセスを標準で遮断し、午前8時から午後3時までは安全上必要なものなどを除いてプッシュ通知を停止する。利用が15分続くごとに休止を促し、1日の利用時間が60分と90分に達した段階でも通知する。
今回の和解は、2023年から続いてきた州政府との法廷闘争を大きく転換させる。ニューヨーク州などの司法長官は同年10月、推薦アルゴリズムや「いいね」、通知、画像フィルター、無限スクロールなどが青少年の利用を長時間化させるよう設計されていたと主張し、Metaを提訴した。2026年8月にはカリフォルニア州など4州による裁判も進んでいたが、約180億ドル規模の和解によって州政府との大規模な訴訟は収束へ向かう。
通知中心の対策から標準的な利用制限へ
Metaは以前から青少年向けの利用制限を進めてきた。2024年にInstagramで始めた「ティーンアカウント」では、1日の利用が60分を超えるとアプリを閉じるよう促し、午後10時から午前7時までは通知をミュートするスリープモードを自動適用した。その後はFacebookとMessengerにも対象を広げ、アカウントの非公開化や接触できる相手、表示するコンテンツなどを年齢に応じて制限している。
従来の60分通知は利用継続そのものを止める仕組みではなかったが、今回の合意では1日2時間の上限を設け、保護者の許可がなければ解除できない。投稿の「いいね」やリアクション数も初期状態で非表示とし、極端なメイクや美容整形に関連するフィルターへのアクセスも制限するなど、利用時間以外の設計にも対象を広げた。
動画の自動再生を停止する機能や、推薦アルゴリズムによる個別最適化を行わないフィードへの変更は、利用者や保護者が選択できる形で提供する。州政府が訴訟で問題視してきたサービス設計に具体的な制約が設けられたことで、Metaが自主的に提供してきた安全機能から、一定の利用環境を18歳未満の標準設定として定める段階へ踏み込んだ。
年齢確認の精度が実効性を左右
こうした制限を機能させるには、対象となる利用者の年齢を正確に判定する必要がある。Metaは13歳未満とみられるアカウントや、成人の生年月日を登録している13〜17歳の利用者を検出する技術を強化し、自社技術と第三者のツールを組み合わせて年齢を推定する。合意には精度を外部から継続的に検証する仕組みも盛り込まれ、独立監査の対象となる。
年齢確認はMetaが以前から対応を重ねてきた分野でもある。ティーンアカウントの導入後には、成人として登録された青少年を検出する仕組みを導入したものの、青少年と端末を共有する保護者まで誤って制限されるケースが生じたとして方式を見直した。その後は登録された生年月日に加え、利用状況などから10代と推定されるアカウントを特定し、青少年向け設定へ移行させる方法を進めている。
1日2時間の上限や夜間制限を設けても、年齢を偽って登録したり別のアカウントを利用したりすれば、制約を回避できる可能性は残る。保護機能をどこまで増やすかと同時に、対象となる青少年をどの程度正確に特定できるかが、今回の合意の実効性を左右することになる。
TikTokとYouTubeにも共通基準への参加を要請
Metaは和解を自社サービス内の対応にとどめず、TikTokとYouTubeにも同様の青少年保護基準への参加を求めている。青少年が複数のSNSや動画サービスを行き来しているため、特定のアプリだけに制限を設ければ利用先が別のサービスへ移る可能性があるとして、業界共通の仕組みが必要との立場を示した。
約180億ドルの支払いのうち、参加する州や地域には約127億ドルを10年間で支払う。残る約53億ドルは、TikTokとYouTubeが1日1時間の利用制限や夜間アクセスの遮断、年齢確認などの措置を導入し、それぞれ所定の支払いを行うことが条件となる。両社が参加した場合、MetaもInstagramとFacebookの上限をそれぞれ1日1時間へ強化し、夜間制限を午後10時から午前7時までに拡大する。利用時間と夜間制限の適用期間も5年から10年へ延びる。
外部からは規制の範囲を慎重に見る声も出ている。児童オンライン安全団体Fairplayは、自動再生の停止や推薦アルゴリズムを使わないフィードへの変更が任意に残る点を問題視している。Metaの元エンジニアリングディレクター、アルトゥーロ・ベハール氏も、時間制限だけで青少年が接するコンテンツの安全性まで解決できるわけではないとの見方を示した。
Metaを巡っては個人や学区が起こした訴訟も残っている。今後は、合意に基づく各機能の実装に加え、TikTokやYouTubeがMetaの求める共通基準にどのように対応するかも明らかになっていく。
公式発表:Meta

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