
Xboxがパブリッシングを担当、新たな制作体制へ
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のPlayStation Studiosは2026年9月10日、コジマプロダクションが開発する新作「PHYSINT」への協力を終了すると発表した。同日にはコジマプロダクションとXboxも新たなパートナーシップを公表しており、今後はXboxが本作のパブリッシングを担い、新体制のもとで開発を継続する。
PlayStation Studiosは公式Xで、慎重な検討を経てプロジェクトへの協力から退くことを決めたと説明した。小島秀夫氏が掲げる作品の構想には引き続き敬意を示し、約30年にわたる小島氏との関係を踏まえて、今後も緊密な協力を続けたいとしている。今回の決定を「PHYSINT」に限った協業の見直しと位置付け、コジマプロダクションとの関係は維持する姿勢だ。
新たな協力先となるXboxは、すでにコジマプロダクションとホラー作品「OD」を共同で進めている。「PHYSINT」が加わることで両社の協業は複数の大型プロジェクトへ広がり、映画やテレビの分野でも連携する方針となった。Xbox CEOのアーシャ・シャルマ氏は、既成概念に挑む小島氏の創造性を評価し、その構想の実現を支援する考えを示している。
6月の中止通告から約3カ月、Xboxと新体制を構築
今回の協業終了は、公表の約3カ月前から動き始めていた。小島氏によると、コジマプロダクションは2026年6月中旬、PlayStation Studiosから「PHYSINT」プロジェクトをキャンセルするとの通知を受けた。スタジオは作品を存続させる方針を固め、各分野の関係者への相談や交渉を重ねながら、新たなパートナーを探していたという。
その過程で、将来のビジョンを共有できる相手として合意したのがXboxだった。「OD」ではXbox Game Studiosの技術やクラウド基盤を取り入れた開発を進めており、両社はすでに制作面での協力関係を築いている。こうした実績がある中で、「PHYSINT」もXboxとのパートナーシップに加わった形だ。
PlayStation側が「協力から退く」と表現したのに対し、小島氏はプロジェクトのキャンセルを通告されたと説明しており、両者の発表には温度差がある。それでも、企画そのものは打ち切られず、パブリッシャーを替えて存続することになった。大手プラットフォーマーの全面協力を受けて発表された新規IPが、制作途中で別のプラットフォーマーと再始動する点でも注目度の高い事例といえる。
SIEとの長期的な関係を象徴していた新規IP
「PHYSINT」は2024年2月、PlayStationの情報番組「State of Play」で完全新規IPとして発表された。小島氏が長年培ってきた諜報アクションの経験を生かす「新世代のアクション・エスピオナージゲーム」と位置付けられ、「DEATH STRANDING 2」の完成後に本格的な制作へ入る計画が示されていた。
当初はSIEの全面協力を受け、最先端技術や世界各国の人材を取り入れながら、映画とゲームの境界を越えるインタラクティブ作品を目指すとしていた。発表時に小島氏がSIEとの約30年にわたる関係に言及したことからも、本作は両者の長期的な協力を象徴する大型企画として始動したことが分かる。
2025年9月にはビジュアルアートとともに、チャーリー・フレイザー氏、マ・ドンソク氏、浜辺美波氏の出演が発表され、制作準備が具体化していた。SIEとの関係を前面に出して始まった作品がXboxのパブリッシング作品へ移ったことで、「PHYSINT」の事業上の位置付けは大きく変わる。一方、コジマプロダクションにとっては、特定の企業との関係に左右されず、自社の新規IPを存続させた対応として捉えられる。
複数のプラットフォームと組む制作戦略が鮮明に
コジマプロダクションは独立系スタジオとして、作品ごとに異なる企業やプラットフォーマーと協業してきた。「DEATH STRANDING」シリーズではSIEと関係を築き、「OD」ではXbox Game Studiosと組んでいる。2019年にPlayStation 4向けとして発売された初代「DEATH STRANDING」も、その後はPCやApple製品へ展開し、2024年にはXbox Series X|SとAmazon Lunaまで提供範囲を広げた。
Xboxも、コンソールとWindows PCを横断して遊べる環境の整備を進めている。2026年3月には「Xbox Play Anywhere」の対象が1,500作品を超えたと発表し、次世代機「Project Helix」とWindowsを含む複数の画面で、一貫したXbox体験を提供する方針を示した。「PHYSINT」のパブリッシング獲得は、有力クリエイターによる新規IPをこうした事業展開へ加える動きとしても位置付けられる。
対応機種の公表後は、XboxコンソールとPCを軸にどこまで提供範囲を広げるのか、SIEとの協業を前提としていた従来の計画をどのように再編するのかが明確になる。発売時期や新体制での制作方針に加え、発表済みキャストを含む開発の進捗、映画・テレビ分野へ広がる両社の提携が「PHYSINT」にどう反映されるのかが今後の注目点となる。
公式発表:KOJIMA PRODUCTIONS

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