
Xのユーザー情報をTrust Wallet内で活用へ
暗号資産ウォレット「Trust Wallet(トラストウォレット)」のフェリックス・ファンCEOは2026年8月31日、Xアカウントとの連携を示す画面を公開し、「coming soon(近日公開)」と投稿しました。画面にはXアカウントを接続する項目が表示されており、Xのユーザー名やプロフィール画像をTrust Wallet上に反映するほか、友人を探す機能も用意されるとみられます。
暗号資産ウォレットでは、英数字で構成されたウォレットアドレスが送受信や資産管理の基盤となりますが、アドレスだけで相手を識別するのは一般の利用者にとって容易ではありません。Xのユーザー名やプロフィール情報をウォレット内の情報と結び付けることで、普段利用しているソーシャルアカウントを手がかりに他の利用者を探し、そのプロフィールへ移動する導線を構築できる可能性があります。
Trust Walletは、利用者自身が秘密鍵を管理するセルフカストディ型ウォレットです。100以上のブロックチェーンに対応し、暗号資産の購入や送受信、スワップ、ステーキング、NFT管理などを一つのアプリで提供しており、公式情報では世界の利用者数が2億2,000万人を超えています。
ソーシャルトレードで取引機会の発見を強化
ファンCEOは今回の予告に先立つ8月26日、Trust Walletでソーシャルトレーディング機能を開発していることを明らかにしていました。構想の中心にあるのは独自SNSの構築ではなく、他の利用者を通じて取引機会を見つけられる環境をウォレット内に整えることです。プロフィールや損益(PnL)、データ基盤の開発を進めており、MVP(実用最小限の製品)を近日公開する方針も示しています。
この構想は、Trust Walletが2026年に進めてきた取引機能の拡張ともつながっています。ファンCEOは6月のDeFiLlama Researchとのインタビューで、Hyperliquidを通じて200以上の無期限先物市場へアクセスできる機能や予測市場、利用者が設定したルールに基づいてAIエージェントが複数のブロックチェーンで取引を実行するAgentKitなどを紹介しました。資産管理を起点とするウォレットに、情報発見から取引までの機能を取り込む方向が鮮明になっています。
そこへプロフィールやPnL、Xのアカウント情報が加われば、利用者を見つけ、活動や取引情報を確認したうえで実際の取引へ移る流れをTrust Wallet内で構築しやすくなります。8月31日に公開されたX連携画面は、ファンCEOが掲げるソーシャルトレード構想が具体的な利用体験へ移り始めたことを示す動きとみられます。
Phantomなど主要ウォレットも機能を拡張
利用者同士のつながりをウォレットに組み込む動きは、Trust Walletに限られません。競合する暗号資産ウォレット「Phantom(ファントム)」では、ユーザー名やプロフィールの設定に加え、他の利用者をフォローしたり、公開されている取引活動を確認したりできる機能を提供しています。ユーザー名は暗号資産の送受信にも利用でき、トークンや無期限先物、予測市場に関するライブチャットも用意されています。
取引機能の強化も主要ウォレットで進んでいます。MetaMaskはHyperliquidを利用した無期限先物取引をモバイルアプリとブラウザ拡張機能に組み込み、ウォレットから市場を探してそのままポジションを開ける環境を整えました。こうした動きにより、暗号資産ウォレットの競争軸は、対応チェーン数や資産管理機能に加え、取引機能やユーザーの発見、交流へと広がっています。
その中でTrust Walletが活用しようとしているのが、すでに大規模な利用者基盤とコミュニティを持つXです。既存のユーザー名や人間関係をウォレット側へ取り込めれば、Trust Wallet内で新たに交流関係を一から形成する負担を抑えながら、取引相手や情報源を探す仕組みを構築できます。独自のソーシャルネットワーク構築を目的としないというファンCEOの方針とも一致する動きです。
Xも金融情報から取引への導線を拡大
連携先となるXでも、株式や暗号資産の情報を起点に取引サービスへ移る機能が広がっています。2026年4月には米国とカナダのiPhone利用者向けに「Cashtags」を展開し、株式や暗号資産のティッカー、コントラクトアドレスから価格チャートや関連投稿を確認できるようにしました。
カナダではオンライン金融サービスのWealthsimpleがSmart Cashtagsに対応しており、対象のティッカーから同社の取引画面へ移動できます。注文処理や口座管理はWealthsimple側で行われますが、SNS上で資産を知ってから取引サービスへ移るまでの操作は短縮されています。8月25日には、同月までXのプロダクト責任者を務めたニキータ・ビア氏も、暗号資産チャートへの取引ボタン追加に言及しました。
Xが金融情報から取引サービスへ利用者を導く機能を広げるのに対し、Trust WalletはX上のプロフィールや人間関係をウォレット側へ取り込もうとしています。今後は、近日公開が予定されているソーシャルトレーディングのMVPで、X由来のユーザー情報がプロフィールやPnL、取引機能とどのように結び付くかが注目点になります。主要ウォレットが資産管理から情報発見や取引へ役割を広げる中、Trust WalletがXのソーシャル基盤をどこまで活用できるかが差別化を左右しそうです。
公式発表:Felix氏 公式X

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