
BSC高速化と新L1構想を提示
BNB Chainは7月8日、2026年下半期の技術ロードマップを公開し、次世代L1ブロックチェーンアーキテクチャを開発していると発表しました。既存のBNB Smart Chain(BSC)の性能改善を進めながら、高頻度取引やAI統合に対応する基盤を整える方針です。
BNB Chainは、EVM互換のBSC、L2ネットワークのopBNB、分散型データストレージのBNB Greenfieldなどを展開するブロックチェーンエコシステムです。今回のロードマップでは、BSCの処理性能を高める短期的な改善と、AIエージェントや機関向け取引、決済、RWAなどの利用拡大を見据えた新L1構想が並行して示されました。
発表によると、新L1は2026年末までにテストネットを公開し、2027年初めにメインネットをリリースする計画です。設計目標には、10万TPS超の処理性能、50ミリ秒未満の取引事前確認、1秒未満のブロックファイナリティが掲げられています。公開メンプールを使わずに取引をブロックリーダーへ直接送る「TxStream」や、オラクル、清算、ブリッジなど重要なトラフィックにブロック空間を確保する「PriorityLane」も構想に含まれます。
AIエージェント利用を見据えた性能改善
BNB Chainによると、2026年上半期にはBSCのブロック間隔を450ミリ秒、インメモリファイナリティを650ミリ秒まで短縮し、ベンチマーク上のスループットは約5,200TPSに達しました。下半期はメインネットの処理能力をさらに2倍に引き上げることを目標とし、長期的にはBNB Chain全体で10倍の性能改善を目指すとしています。
こうした性能改善の背景には、DeFi、RWA、ステーブルコインに加え、AIエージェントがオンチェーンで取引や支払いを行う利用シーンの広がりがあります。BNB ChainはすでにBNB Agent StudioやBNB Agent SDKを展開し、AIエージェントのデプロイ、ウォレットによる自動支払い、x402を使った決済などを進めています。人間が画面を操作する取引と比べ、エージェント同士の処理は実行回数が増えやすく、遅延、手数料、取引順序の扱いがより重要になります。
このため、今回の新L1構想は単純な処理速度の向上にとどまらず、オンチェーン取引を自動化するアプリケーションに向けた基盤整備としても位置付けられます。特に、短時間で多数の取引が発生するAI取引や清算処理では、ネットワークの混雑時でも安定して処理できる設計が重要になります。
TxStreamとPriorityLaneに注目
新L1の設計で注目されるのは、処理速度に加え、取引の流れや混雑時の安定性まで含めて設計している点です。TxStreamは公開メンプールを介さずに取引を送ることで遅延を抑え、フロントランニングのリスク低減を狙う仕組みです。PriorityLaneは、清算やブリッジのように遅延が損失や安全性に直結しやすい通信を、一般的な混雑の影響から守る仕組みとして説明されています。
また、プロトコルレベルの機密取引、コンプライアンス向けの選択的開示、ガススポンサー、取引バッチ処理、パスキー署名などを含むアカウント抽象化機能も計画されています。AIエージェントが自律的に資金を動かす環境では、速度と同じくらい、権限管理、支払い上限、取引の追跡可能性が重要になります。
2026年末に予定されるテストネット公開後は、10万TPS超や50ミリ秒未満の事前確認といった設計目標に加え、実際のアプリケーション負荷の中でTxStreamやPriorityLaneがどこまで機能するかが開発者の関心を集めそうです。
公式発表:BNB CHAIN

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