
SBIと共同開発、株式・国債のトークン化やJPYSC決済を想定
Startale Group(スターテイル)の渡辺創太CEOは2026年8月26日、SBIホールディングスと共同開発する金融特化型レイヤー1ブロックチェーン「Strium(ストリウム)」について、2026年内のテストネット公開と2026年度内のメインネット稼働を目指す方針をXで示しました。
Striumは、暗号資産やトークン化株式、RWA(現実資産)連動型金融商品などを扱う24時間365日の現物・デリバティブ市場を想定したオンチェーン金融基盤です。2月の正式発表以降、PoCを通じてチェーン構成や決済効率、相互運用性などの検証が進められており、今回の発言によってテストネットからメインネットへ進む時期がより具体的になりました。
渡辺氏はあわせて、株式や国債のトークン化、日本円建てステーブルコイン「JPYSC」による決済にも言及しました。Striumが目指す金融市場の構成要素と開発時期が同時に示されたことで、実運用を見据えた検証段階へ移る道筋がより明確になっています。
証券のデジタル化、発行から流通・決済へ
Striumが実装段階へ向かう背景には、日本のデジタル証券市場でブロックチェーンの利用範囲が発行・管理から流通、資金決済へと広がっていることがあります。大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)のセキュリティトークン向けPTS「START」では、2026年3月にSBIホールディングス初のST社債「SBI START債」の売買が始まり、デジタル証券の二次流通が実運用に入りました。
取引後の資金移動についても、SBI証券やSBI新生銀行、大和証券、ODXなどが4月、トークン化預金「DCJPY」を利用してセキュリティトークンと資金を同時に受け渡すDVP決済の実発行検証を完了しています。日本銀行もDLT上で中央銀行マネーを利用した証券決済を検討しており、国内の議論は「証券をトークン化できるか」から、取引と決済をどのように効率化するかへ移りつつあります。
こうした市場環境の中で、Striumが目指すのは個別の金融商品をブロックチェーン上に載せる仕組みにとどまりません。トークン化された資産を継続的に売買できる市場と、その資金決済を支える円建てデジタル資産を同じ金融圏に組み込むことで、オンチェーン上に市場インフラそのものを構築しようとしています。
JPYSCと専用L1を組み合わせた市場基盤
その構想で資金決済を担うのが、SBIホールディングスとスターテイルが共同開発したJPYSCです。SBI新生信託銀行を発行者とする信託型の円建てステーブルコインで、2026年6月24日に発行され、現在はSBI VCトレードの口座内で先行提供されています。今後は関係法令や税務実務などの整理を踏まえ、パブリックブロックチェーン上での流通も計画されています。
Strium上でJPYSCによる決済が実装されれば、トークン化金融商品の売買と、その対価となる円建てデジタル資産の移転を同じオンチェーン環境で扱えるようになります。国内ではすでにSTとトークン化預金を組み合わせた決済検証が進んでいるため、今後は資産をトークン化できるかという段階から、流動性のある市場を形成し、取引と決済を継続的に処理できるかへと焦点が移っていくとみられます。
SBIとスターテイルは、その基盤として既存チェーンを利用するのではなく、金融取引に特化したStriumを開発し、JPYSCとの接続を目指しています。専用L1、トークン化金融商品、日本円の決済手段をどこまで一体的に運用できるかが、既存のデジタル証券基盤との差を示すポイントになります。
SBIとの協業を資本・開発の両面で深化
Striumに至る協業は、SBIホールディングスとスターテイルが2025年8月、トークン化株式やRWA向け取引プラットフォームの共同開発に向けて合弁会社の設立を発表したことから本格化しました。2026年2月にはStriumを正式発表し、独自のチェーンアーキテクチャや決済効率、高負荷環境での耐障害性、既存金融インフラや他のブロックチェーンとの相互運用性などをPoCで検証してきました。
協業は資本面にも広がり、SBIグループは3月、スターテイルに約5,000万ドルを出資し、同社をSBIホールディングスの持分法適用関連会社とする方針を発表しました。SBIが持つ証券・銀行などの金融事業基盤とスターテイルのブロックチェーン開発力を結び付けることで、StriumやJPYSCを個別のプロジェクトとして進めるよりも、オンチェーン金融事業全体を一体的に展開する体制が整いつつあります。
Striumでは、人間に加えてAIエージェントが市場取引に参加する将来像も想定されています。24時間稼働する市場やプログラムによる自動取引との親和性を高める構想ですが、実際の市場形成には金融機関や機関投資家が参加できる運用体制や、既存金融システムとの接続も欠かせません。
テストネットで問われる市場としての実効性
開発時期について、渡辺氏は4月の「TEAMZ WEB3/AI SUMMIT 2026」で、PoCを完了し、数カ月以内のテストネット公開と2026年内のメインネット稼働を目指すと説明していました。今回の計画は「年内テストネット、2026年度内メインネット」となり、4月時点と比べてメインネットの目標期間は後ろに広がっています。
そのため、次の焦点は公開時期そのものより、テストネットで金融市場としての機能をどこまで示せるかに移ります。株式や国債を想定したトークン化資産、JPYSCによる決済、現物・デリバティブ市場、既存金融システムとの接続がどのように組み合わされるのかが明らかになれば、Striumが目指す市場像も具体化していきます。
国内ではSTの二次流通やデジタルマネーを利用した決済がすでに実証・実運用へ進んでいます。Striumがその先のオンチェーン金融基盤として存在感を高めるには、2026年度内のメインネット稼働に向けて、技術性能とともに金融商品、参加企業、JPYSCの利用範囲をどこまで具体化できるかが鍵になります。
公式発表:渡辺創太氏 公式X

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