
現物・証拠金を集約、Android版から提供
楽天ウォレットは10月15日、現物取引と証拠金取引に対応する新しいスマートフォンアプリ「楽天ウォレット」を、前日の14日から提供していると発表しました。Android版を先行配信し、iOS版は後日提供する予定です。従来の「暗号資産取引」アプリと「証拠金取引」アプリは、2027年初頭をめどに提供を終了する予定としています。
新アプリでは、二つの取引サービスを一つの操作環境にまとめるとともに、現金と楽天ポイントの併用購入、AIコンシェルジュ、パスキー認証を組み合わせました。取引の種類に応じたアプリの使い分けを解消し、購入方法から情報収集、本人認証までを見直す刷新です。
ポイント交換から、現金と組み合わせた購入へ
現物取引では、通常の楽天ポイントと現金を併用して暗号資産を購入できるようになりました。同社は従来から、通常ポイントを最低100ポイントから対象の暗号資産に交換するサービスを提供しており、今回はその利用方法を広げた形です。保有ポイントに現金を加えて購入額を調整できるため、ポイント残高に応じた交換から、予算に合わせた購入へと使い方が広がります。
こうした購入機能に加え、AIコンシェルジュが市場情報、アプリの操作方法、専門用語などを対話形式で案内します。公式発表では、同機能の役割を市場情報やサービス利用に関する情報提供と位置付け、投資判断の支援とは区別しています。
ポイントを活用した購入と、利用中の疑問を確認できる案内機能の組み合わせは、暗号資産に不慣れな利用者の負担を軽減する可能性があります。購入手続きに進みやすくするとともに、取引の仕組みを理解するための情報にもアクセスしやすくする設計と捉えられます。
サービス拡充を経て、操作性の改善に取り組む
同社は2019年8月に現物取引を開始し、2020年3月には専用アプリ「楽天ウォレットPro」で証拠金取引に参入しました。当初はビットコインやイーサリアムなど5種類の円建て通貨ペアを扱い、2022年11月には利用者間で売買する取引所形式の証拠金サービスを発表しています。この際には対象を9資産ペアに広げ、高機能チャートやAPIも導入しました。
商品や取引方式を段階的に増やしてきた経緯を踏まえると、今回の統合は、拡充してきたサービスへのアクセスを整理する取り組みと位置付けられます。現物と証拠金の両方を利用する人にとって、アプリを切り替える手間が減ることは、日常的な使い勝手に関わる変化です。
国内の他社でも操作環境を見直す動きがあり、GMOコインは2026年9月28日、アプリの現物・レバレッジ取引画面に選択式のレイアウトを追加しました。チャート、板、注文を一画面に表示する改善で、楽天ウォレットとは方法が異なるものの、必要な機能へ移動する負担を減らす点では共通しています。銘柄や注文機能の充実と並び、操作性もサービスを比較するポイントになっています。
パスキー認証を必須化、旧アプリからの移行へ
新アプリのログインはパスキー認証に限定され、生体認証などを使ってパスワード入力を省く方式となりました。同じ楽天グループの楽天証券も2026年6月以降、ログイン時のパスキー認証を段階的に必須化しており、今回の刷新は金融サービスで認証方式を見直す動きにも沿っています。
今後は、iOS版の提供と旧アプリ終了に向けた移行が焦点になります。現物と証拠金を共通のアプリで扱うため、それぞれの取引条件を理解しやすい案内も重要です。証拠金取引には預けた金額を上回る損失が生じる可能性があり、建玉の保有には管理料も伴います。画面の整理とAIによる情報提供が、操作のしやすさと取引への理解を支えることが期待されます。
公式発表:楽天ウォレット

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