
暗号資産取引の規制を金商法へ移管
暗号資産に関する規制を見直す「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」が7月15日、参議院本会議で可決され、成立しました。金融庁が4月10日に国会へ提出した法案で、暗号資産に関する制度に加え、サステナビリティ情報の開示・保証、スタートアップへの資金供給、有価証券の不公正取引規制などを一体的に整備します。
暗号資産取引に関する規制は、資金決済法から金融商品取引法へ移され、暗号資産は有価証券とは異なる金融商品として位置づけられます。金融庁は、暗号資産の投資対象化が進み、国内口座開設数が1,400万を超えている状況を背景に、適正な取引や情報提供、セキュリティ、公正な価格形成を確保するために制度を見直すとしています。
発行者と取引業者に情報公表を義務づけ
改正法では、暗号資産取引業者が暗号資産を取り扱う前に、その性質や機能、供給量、基盤技術などの情報を公表する制度が設けられます。さらに、発行者が資金調達を目的として「特定暗号資産」を募集・売り出す場合には、発行者の商号や経理、関連事業の状況を含む情報も公表する必要があります。
公表対象には、募集・売出し時の情報に加え、重要な事象が発生した際の臨時情報や、一定の場合における年1回の定期情報も含まれます。これにより、取扱開始時の情報だけで終わらず、発行後の状況変化についても継続的な情報提供を求める仕組みとなります。
取引業者と関連サービスの管理体制を強化
情報公表制度の整備に合わせ、暗号資産交換業者の名称は「暗号資産取引業者」に変更され、第一種金融商品取引業に相当する規制が適用されます。具体的には、利用者保護に必要な基準を満たさない暗号資産の取扱いを禁止するとともに、取扱銘柄の審査、顧客適合性の確認、売買審査を含む業務管理体制の整備を求めます。
また、暗号資産を管理する重要システムの提供事業者には事前届出や安全管理措置が義務づけられ、不正流出時の顧客補償に備える責任準備金の積み立ても導入されます。利用者から暗号資産を借り入れる業務も暗号資産取引業に加わるほか、暗号資産を対象とする投資運用や有償の投資助言には、それぞれ投資運用業と投資助言業の規制が適用されます。これに伴い、無登録営業に対する拘禁刑の上限は、資金決済法上の3年から金商法上の10年へ引き上げられます。
未公表の重要事実を利用した売買を禁止
暗号資産を巡っては、風説の流布や偽計、相場操縦などがすでに金商法で禁止されている一方、未公表情報を利用したインサイダー取引を直接規制する仕組みは整備されていませんでした。そこで改正法では、国内の暗号資産取引業者が取り扱う暗号資産を対象として、未公表の重要事実を利用した売買などを禁止します。
規制対象には、暗号資産の発行者や取引業者の関係者、大量売買を行う者の関係者に加え、これらの関係者から情報を受け取った者も含まれます。重要事実としては、発行者の解散、取引業者による銘柄の取扱開始・中止、大量売買などが想定されており、未公表情報の伝達や取引の推奨も禁止されます。違反した場合は、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
暗号資産に関する情報公表、業規制、インサイダー取引規制などは、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されます。取扱基準や情報公表の項目、責任準備金の積立率などの詳細は、今後整備される政令や内閣府令で定められます。
公式発表:参議院

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