
香港のIzakaya Limitedに警告、スワップや購入機能も展開
金融庁は2026年9月1日、暗号資産レンディング・ウォレットサービス「IZAKA-YA」を運営する香港のIzakaya Limitedに対し、日本居住者を相手に無登録で暗号資産交換業を行っていたとして警告しました。
金融庁の公表資料では、同社の所在地を香港・九龍のモンコック、代表者を不明と記載しています。IZAKA-YAの公式サイトにも同じ所在地と運営会社名が掲載されており、暗号資産のレンディングを中心に、スワップ、購入、預け入れ、送金など複数の機能を提供しています。通常のレンディングでは、1年間の利用で最大年利12%を掲げていました。
現行制度では、事業者が利用者から暗号資産を借り入れる行為は、実質的な資産管理に当たる場合などを除き、原則として暗号資産交換業の登録対象外と整理されています。これに対し、暗号資産の売買・交換やその媒介、利用者のための管理などには登録が必要です。IZAKA-YAはレンディングに加えてスワップなど複数の暗号資産機能を展開しており、金融庁はIzakaya Limitedが日本居住者向けに登録が必要な暗号資産交換業を行っていたとして警告しました。
警告前には出金問題、高利回りキャンペーンも展開
IZAKA-YAを巡っては、金融庁の警告に先立つ8月下旬から出金や送金への懸念が表面化していました。運営会社は8月24日、不正資金の流入やマネー・ローンダリングが疑われる取引が一部で確認されたとして、対象アカウントの送金・出金を一時停止したと説明し、あわせて全利用者のKYC(本人確認)を必須化しました。
8月27日の告知では、すべてのアカウントを一律に停止している状況ではなく、25日には確認を終えた一部利用者への送金を実施したとしています。同時期にはX上で「出金できない」とする利用者の訴えが相次いだと複数の二次報道が伝え、JPYC代表取締役の岡部典孝氏が利用者から寄せられた相談内容を金融庁に伝えたことも報じられました。
出金への懸念が広がるなか、同社は高い利回りを掲げるキャンペーンも展開していました。「百五十祭り」では対象レンディングを年利100%とし、他社サービスから資産を移した利用者に年率50%相当を追加することで「実質年利150%」と案内し、実施期間を8月31日まで延長していました。こうした出金を巡る利用者の報告と金融庁の警告との因果関係は示されていませんが、サービスの運営状況への関心が高まるなかで、無登録営業への行政対応が公表された形です。
海外の無登録業者への対応を強める金融庁
Izakaya Limitedへの警告は、金融庁が近年進めてきた海外の無登録暗号資産事業者への対応の延長線上にあります。日本居住者を対象に暗号資産交換業を提供する場合、事業者の拠点が海外にあっても国内での登録が必要で、金融庁は日本語サイトなどを通じて国内利用者を勧誘する海外事業者への警告を繰り返してきました。
2024年11月にはBybit、MEXC、Bitget、KuCoin、bitcastleの5社に対し、日本居住者を相手に無登録で暗号資産交換業を行っていたとして一斉に警告しました。その後は公表や警告に加え、無登録事業者が提供するアプリについてアプリストア側に削除を要請するなど、日本の利用者との接点を抑える対応も進めています。
大手海外取引所とは事業形態が異なるIZAKA-YAも、レンディングを軸としながらスワップや購入、送金など複数の機能を組み合わせています。こうしたサービスでは、名称や主力商品だけで規制上の位置付けが決まるものではなく、実際にどの取引を誰に提供しているかが登録義務を判断するうえで重要になります。今回の警告は、複数の暗号資産機能を組み合わせる海外サービスについても、日本向けに提供する機能ごとに国内規制との整合性が問われることを示す事例となりました。
レンディングも規制対象へ、2026年改正法で制度転換
無登録業者への対応が強化される一方、日本では暗号資産レンディングそのものを対象とする制度も転換期を迎えています。これまで利用者から暗号資産を借り入れる取引には、交換業者に課される資産管理規制などが直接及ばないケースがあり、金融庁は再貸付先の貸倒れやステーキング委託先での損失、ハッキングなどによって返還原資が毀損するリスクを課題として挙げてきました。
こうした議論を受け、2026年7月15日に成立した金融商品取引法・資金決済法の改正では、暗号資産を巡る規制体系を見直すとともに、利用者から暗号資産を借り入れる業務を「暗号資産取引業」の対象に加えることが盛り込まれました。制度施行後は、レンディング事業者にも業務管理や利用者へのリスク説明、資産管理などを求める枠組みが整備される予定です。
Izakaya Limitedへの警告は、既存の暗号資産交換業規制に基づく海外無登録業者への対応と、レンディングを新たな業規制に組み込む制度改正が重なる時期に公表されました。今後はIZAKA-YAが日本居住者向けサービスや出金・送金にどう対応するかとともに、改正法の施行に向けてレンディング事業者が登録や資産管理、リスク説明の体制をどのように整えていくかが業界全体の動きとなります。
公式発表:金融庁

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