
BitPalがJPYCを追加、Kaia・Polygonに対応
韓国KOSDAQ上場のサトシホールディングスは2026年8月20日、子会社が運営するステーブルコイン決済プラットフォーム「BitPal(ビットパル)」で、日本円建てステーブルコイン「JPYC」に対応したと発表しました。JPYCを保有する個人は相手のメールアドレスを使って送金や決済請求ができ、オンライン販売者やデジタルサービス事業者もJPYCによる支払いを受け付けられるようになります。
サトシホールディングスによると、BitPalはKaiaとPolygonをJPYCの優先対応チェーンとして両メインネットへの適用を完了しました。利用者自身のウォレットを接続する非カストディ型を採用し、BitPal側が資産を直接保管しない設計としています。個人間送金では長いウォレットアドレスを入力する代わりにメールアドレスを指定できるほか、支払いを求める際にもBitPal上から決済請求を送信できます。
事業者向けには、オンライン販売者、クリエイター、SaaS、ゲーム、プラットフォーム運営者などの利用を想定し、決済リンクの作成や既存サービスへの決済機能の連携に対応します。ウォレットアドレスやブロックチェーン特有の操作は利用時の負担になりやすいため、BitPalは送金と決済の手順を一般的なオンラインサービスに近づけることで、ステーブルコインを日常的な支払いへつなげる構成を取っています。
ドル建て中心のBitPal、日本円建て決済へ対象を拡大
BitPalは8月4日にオープンベータを公開し、Base、Arbitrum、BNB Chain、Solana、Tronの5つのメインネットでUSDCとUSDTを扱う決済基盤としてサービスを開始しました。メールアドレスを利用した個人間送金と事業者向けの決済リンクを組み合わせ、販売者のウォレットへ資産を直接送る非カストディ方式を採用しています。
これまでドル建てステーブルコインを軸としてきたBitPalにJPYCが加わることで、利用者は円建ての価値を維持したまま送金や決済に使える選択肢を持つことになります。サトシホールディングスは、日本で発行された円建てステーブルコインを海外のECやデジタルサービスで利用できる環境につなげる考えを示しており、今回の対応はBitPalの対応通貨を広げると同時に、JPYCにとっても海外サービスから利用できる経路を増やす動きとなります。
さらにBitPalは、特定の発行体やチェーンに依存しないマルチチェーン型の決済基盤を掲げています。韓国では銀行やカード会社、フィンテック企業を中心にウォン建てステーブルコインを見据えた取り組みが進んでおり、サトシホールディングスも将来的に韓国で発行されるウォン建てステーブルコインをBitPalへ接続する方針です。JPYC対応は、ドル建て中心だった決済基盤をアジア各国の法定通貨連動型ステーブルコインへ広げていく流れの一つとして位置付けられます。
JPYC、発行拡大と並行して利用環境の整備進む
JPYCは資金決済法上の「電子決済手段」に位置付けられる資金移動業型ステーブルコインで、1JPYCの価値が1円と連動するよう設計されています。2025年10月27日に正式発行を開始し、JPYC株式会社は2026年7月にオンチェーン流通額が20億円を突破したと発表しました。また、同年6月には発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」の累計口座開設数が1万9,000件、累計発行額が30億円を超えています。
こうした発行規模の拡大と並行して、JPYCを実際に利用できる環境の整備も進んでいます。2026年2月にはLINE NEXTのWeb3ウォレット「Unifi」でJPYCの採用が決まり、LINEアプリ上での保管・送金・決済に向けた連携と、Kaiaネットワーク上でのJPYC発行に向けた検討が始まりました。さらに7月には、ウォレットや外部サービスからJPYCの発行・償還機能へ接続できる「JPYC EX連携API」の提供も開始されています。
これらの動きからは、JPYCを巡る事業領域が発行や償還の基盤整備から、利用者が実際に触れるウォレットや決済サービスへ広がっていることが分かります。国内利用者との接点を持つUnifiに対し、BitPalは海外事業者が運営する決済基盤であり、異なる方向からJPYCの利用経路を広げる形となります。
海外サービスへの接続、次は実際の決済利用が焦点
日本では2023年6月施行の改正資金決済法により、法定通貨と連動するステーブルコインを「電子決済手段」として扱う制度が整備されました。その後、JPYCでは発行・償還の仕組みに加え、外部ウォレットや決済サービスとの連携が進み、2026年に入って利用者がJPYCへアクセスできる経路は徐々に増えています。
一方、海外サービスへの対応がそのまま継続的な決済利用につながるわけではありません。越境ECやデジタルコンテンツの支払いでJPYCが継続的に使われるには、メール送金などの操作性に加え、手数料や対応チェーン、事業者が受け取ったJPYCの管理、円への償還といった実務面も重要になります。BitPalがメールアドレスと決済リンクを前面に出しているのは、こうしたブロックチェーン特有の複雑さを利用者から遠ざけるための設計とみられます。
JPYCでは国内サービスとの接続が進む一方、BitPalへの対応によって海外側からJPYCへつながる新たな決済経路が加わりました。今後は、海外ECやデジタルサービスで具体的な利用事例と決済実績が積み上がるかどうかが、円建てステーブルコインの実需を測る上で一つの焦点となります。
参考資料:ソウル経済TV

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