
デジタル資産AUM減少下でも成長戦略を維持
世界最大級の資産運用会社BlackRockは7月15日、2026年第2四半期決算を発表し、暗号資産やステーブルコイン、トークン化ファンドを従来の資産運用商品と接続する構想を示しました。Martin Small最高財務責任者(CFO)は決算説明会で、デジタル資産関連事業を2030年までに年間5億ドル規模の収益事業へ成長させる方針を説明しており、同社が暗号資産ETFの運用残高拡大に加え、金融商品の流通や資金管理を含む事業領域へ対象を広げようとしていることが分かります。
同社の運用資産残高は6月末時点で15.3兆ドルに達し、第2四半期にはETFや債券、プライベート市場の商品を中心に1,920億ドルの純流入を記録しました。一方、デジタル資産カテゴリーの運用資産残高は488億3,900万ドルとなり、前年同期の約796億ドルから減少しています。暗号資産価格の変動が残高を押し下げる状況でも成長目標を維持していることから、BlackRockは相場上昇に伴うETF残高の増加に依存せず、トークン化商品やステーブルコイン準備資産の運用を組み合わせることで、デジタル資産事業の収益基盤を広げる方針とみられます。
ウォレットを金融商品の流通基盤に
Small氏は、投資家がデジタルウォレットから離れることなく、暗号資産やステーブルコインを保有しながら、株式や債券への長期的なエクスポージャーを取得できる環境を目指すと述べました。具体的には、米国債を運用するファンドやiShares ETFをトークン化し、将来的にはプライベート市場の商品にも対象を広げる考えを示しており、デジタルウォレットを暗号資産の保管手段から金融商品への入口へ拡張する構想が示されています。
BlackRockは、既存ファンドのトークン化シェアクラスと、デジタル資産市場向けのマネー・マーケット・ファンドについて、米証券取引委員会(SEC)へ登録届出書を提出したと説明しました。計画中の商品では複数のブロックチェーンに対応し、第三者サービスを通じてステーブルコインによる取得や償還を行う仕組みも想定されているため、実現すれば利用者はウォレット内の資金を銀行口座や証券口座へ移す手続きを減らしながら、暗号資産と従来型の投資商品を同じ環境から扱える可能性があります。
こうした仕組みは、単に既存ファンドをブロックチェーン上に移す取り組みにとどまらず、金融商品の販売経路そのものを見直す動きと捉えられます。従来の資産運用商品は証券会社や銀行の口座を通じて提供されてきましたが、ウォレットが新たな接点となれば、BlackRockは暗号資産利用者を自社ETFやファンドへ直接つなぐ経路を確保できる一方、利用者側も保有資産を複数の金融サービス間で移動させる負担を抑えられます。
ステーブルコインと証券市場の接続を拡大
BlackRockは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を発行するCircleの準備資産のうち、約600億ドルを運用しています。Small氏はステーブルコインの準備資産運用を成長分野に挙げ、発行事業者から選ばれる資産運用会社としての地位を拡大する考えを示しました。さらに、ステーブルコインがトークン化ファンドの取得や償還に利用されれば、準備資産の運用と金融商品の提供が同じデジタル金融基盤上でつながり、BlackRockは資産運用会社として商品の組成から資金管理まで関与できる範囲を広げることになります。
また、米国では証券保管振替機関DTCCがBlackRockやJPMorgan、Goldman Sachsなどと、株式や米国債をブロックチェーン上で扱う実証を進めています。資産運用会社が金融商品をトークン化する一方で、証券インフラ側も決済や保管の仕組みを整え始めているため、市場の焦点は商品を発行できるかという段階から、既存の金融市場と安全かつ継続的に接続できるかという段階へ移りつつあります。
ただし、一般投資家向けのサービスとして定着するには、SECの審査に加え、本人確認や資産管理、対応チェーン、申込・償還時の処理方法を具体化する必要があります。BlackRockが持つETFやファンド、ステーブルコイン関連の資産運用をウォレット上で一体化できれば、暗号資産と従来型金融の接続は実証段階を越え、既存の資産運用市場に組み込まれる可能性があります。
公式発表:BlackRock

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