
メルカリポイントでビットコイン・イーサリアムを自動購入
暗号資産・ブロックチェーン関連サービスを手掛けるメルコインは9月15日、メルカリポイントの付与に連動して暗号資産を自動購入する「ポイント運用」機能を開始しました。メルカリアプリの利用者を対象に段階的に提供し、利用には同社の暗号資産取引サービスを始めるための手続きが必要です。機能を設定すると、その後に無償ポイントが付与されるたび、1ポイント=1円として、その回に受け取った全ポイントが暗号資産の購入に使われます。
対象銘柄はビットコインとイーサリアムで、両方を選択した場合は均等に配分し、端数をビットコインに充てます。例えば11ポイントが付与されると、ビットコインを6円分、イーサリアムを5円分購入します。設定前から保有していた無償ポイントのほか、有償ポイント、dポイント、売上金を含むメルペイ残高、銀行口座の資金は使われません。機能の利用手数料は無料ですが、購入時の提示価格には取引コストに当たるスプレッドが含まれます。
定額の「つみたて」からポイント付与型へ
メルコインは2024年8月にビットコインつみたてを始め、同年10月には対象をイーサリアムへ広げました。その後、売上金を含むメルペイ残高から取引口座へ自動でチャージする機能や、購入頻度を「毎日」に設定できる仕組みを加え、利用者が決めた金額を継続的に投じやすい環境を整えてきました。
これに対してポイント運用では、購入金額や実行日を利用者が指定せず、付与されたポイント数と付与時期によって取引が決まります。計画的に一定額を購入するつみたてに、日常のサービス利用から生じる少額ポイントを随時取り込む経路が加わったことで、メルカリ内の価値を暗号資産へ移すまでの操作は一段と少なくなります。
ポイント投資サービスで際立つ現物購入型
国内では、共通ポイントを投資体験や暗号資産につなげるサービスがすでに広がっています。PayPayの「ポイント運用」は、口座開設なしでポイントを金融商品の値動きに連動させる疑似運用サービスで、ビットコインやイーサリアムに連動するコースでは自動追加も選択できます。楽天ウォレットも通常の楽天ポイントを暗号資産の現物へ交換できますが、利用者が銘柄と使用するポイント数を指定して注文する方式です。
メルコインは、暗号資産の現物購入とポイント付与を起点とする自動実行を組み合わせました。暗号資産取引口座が必要になるため、口座開設を伴わない疑似運用より利用開始までの手続きは増えますが、取得した暗号資産は保有・売却でき、売却代金をメルペイ残高へ移して買い物に使うことも可能です。
ポイント経済圏では、買い物で得たポイントを消費へ戻す仕組みから、金融商品や価格連動型サービスへ振り向ける仕組みへと用途が広がっています。メルコインはポイントの獲得から暗号資産の購入、保有、売却、メルペイでの再利用までを同じアプリ内でつなぐことで、日常の消費活動と暗号資産取引の距離を縮めようとしています。この一連の導線が、既存のポイント運用サービスとの主な違いです。
国内1400万口座時代、メルコインは400万口座へ
こうした購入経路の拡充が注目される背景には、国内の暗号資産市場が口座数の拡大から利用頻度を競う段階へ移りつつあることがあります。日本暗号資産等取引業協会の集計を基にすると、国内の暗号資産口座数は2026年7月時点で約1428万口座に達し、同月の現物取引高は6742億4000万円でした。暗号資産を取り扱う事業会員も30社に上っており、各社にとっては新規口座の獲得とともに、開設後の利用をいかに継続させるかが重要になっています。
なかでもメルコインは、メルカリの利用者基盤を暗号資産取引へつなぐことで口座数を伸ばしてきました。同社によると、2023年3月末から2024年3月末までに国内で増えた約310万口座のうち、メルコインの新規口座は約191万口座で61.5%を占めました。その後も口座数は増え、2026年3月末までの累計開設数は400万口座を超えています。
加えて、同時点の利用者アンケートでは、約9割が暗号資産取引の未経験者だったといいます。フリマの売上金やポイントを1円から暗号資産に替えられる仕組みと、普段使うアプリ内で手続きを完結できる導線が、専門の取引所に接点を持たなかった層の獲得につながったとみられます。だからこそ、ポイント運用には新規口座を増やす役割以上に、すでに開設された口座を実際の取引へ動かす役割が期待されます。
手軽さに伴う価格変動と税務
ただし、購入までの操作が減るほど、利用者が取引の性質を十分に理解することが重要になります。設定後に付与される無償ポイントは、機能を解除するまで継続して暗号資産の購入に使われます。購入時には1ポイントが1円分として扱われますが、取得後の評価額は相場に応じて変動するため、ポイントとして保有していた場合と同じ価値が維持されるとは限りません。
加えて、売買手数料が無料でも提示価格にはスプレッドが含まれます。そのため、購入後すぐに売却した場合は、相場が大きく動いていなくても損失が生じる可能性があります。「ポイント運用」という名称からポイント残高の疑似的な運用を想定する利用者も考えられますが、実際に取得するのは価格変動を伴うビットコインやイーサリアムの現物です。
現物を取得する以上、売却時には税務上の扱いも関係します。国税庁は、暗号資産を日本円に換金した場合、売却額と取得原価などとの差額が所得金額になると説明しています。商品購入に使用した場合や、ほかの暗号資産と交換した場合も譲渡として扱われるため、ポイントによる少額購入でも、取引を重ねれば履歴や取得価額の管理が必要になる可能性があります。
銘柄拡大と継続利用が次の焦点
メルコインは購入手段の拡充と並行して取扱銘柄も増やしており、2026年6月にはコインチェックとの連携口座を通じて12銘柄の取引を可能にし、8月31日にはソラナを追加しました。ポイント運用はビットコインとイーサリアムから始めているため、対象銘柄をどの範囲まで広げるかが今後の焦点となります。
事業面で重要になるのは、口座数の増加そのものより、付与ポイントから生まれる少額購入が継続的な保有や取引につながるかです。購入された暗号資産の保有期間や売却率、売却後にメルペイ残高へ戻る資金の動きが明らかになれば、ポイント運用が口座の利用を促す入口として機能するのか、メルカリ経済圏内の新たな資金循環として定着するのかが見えてきます。
公式発表:メルコイン

コメント