
CoinTradeがステーブルコイン取扱いへ
暗号資産販売所「CoinTrade」を運営するマーキュリーが、ステーブルコインの取扱いに向けて「電子決済手段等取引業者」の登録を目指しています。親会社のセレスは2026年8月13日に公表した決算説明資料で、国内におけるステーブルコインの普及を見据え、同登録に向けた準備を進めていることを示しました。
日本では一定のステーブルコインが資金決済法上の「電子決済手段」に位置付けられており、その売買や交換、仲介、管理などを事業として手掛けるには電子決済手段等取引業の登録が必要です。金融庁が2026年6月24日時点で公表している登録一覧では、該当事業者はSBI VCトレード1社に限られており、マーキュリーが登録を取得すれば国内2社目となります。
これまで流通を担う事業者が限られてきた国内市場に新たな事業者が加われば、単に取扱窓口が増える以上の変化が生じる可能性があります。取扱銘柄や手数料、運用機能などを巡る競争が本格化すれば、ステーブルコイン市場は制度整備の段階からサービス競争の段階へ移ることになります。
先行するSBIは運用分野まで拡大
先行するSBI VCトレードは2025年3月、国内初の電子決済手段等取引業者として登録し、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の一般向け取扱いを開始しました。その後も事業領域を広げ、2026年にはUSDCのレンディングに加え、RLUSDや円建てJPYSCの取扱いにも進出しています。
こうした先行事例を踏まえると、CoinTradeにとって登録取得は参入の入口にすぎません。すでにステーブルコインを保有・運用するサービスまで展開する事業者が存在する中では、取扱銘柄を増やすだけで差別化するのは難しく、既存サービスとの連携や利用環境を含めた設計が競争力を左右します。
とりわけ、国内市場が「ステーブルコインを取り扱えるか」を競う初期段階から、「どのように保有し、運用し、利用できるか」を競う段階へ移り始めている点は重要です。CoinTradeの参入は、SBI VCトレードが先行して築いてきた市場に新たな競争軸を持ち込む動きとして注目されます。
CoinTradeの運用基盤が強みになるか
CoinTradeは2021年3月のサービス開始以降、暗号資産の販売に加えてステーキングやレンディングなどの運用サービスを拡充してきました。セレスもCoinTradeを「暗号資産のトータル運用プラットフォーム」と位置付けており、売買を中心としたサービスから、保有資産の運用まで含む事業へと領域を広げています。
この事業基盤を考えると、ステーブルコインは新たな取扱銘柄という位置付けにとどまらず、既存の運用サービスを広げる起点となる可能性があります。セレスは2025年8月の決算説明資料ですでにUSDCの取扱い予定を示しており、今回の登録準備も、これまで進めてきたステーブルコイン戦略を具体化する流れの中にあります。
企業調査を手掛けるAstris Advisoryも、マーキュリーについて、ステーブルコインを含む新たな暗号資産関連サービスの追加が収益源の多様化につながるとの見方を示しています。暗号資産相場や取引量の変動を受けやすい交換業者にとって、売買以外の収益機会を広げられるかは事業安定性を高める上でも重要なテーマです。
競争の焦点は「2社目」の先へ
国内では2025年のUSDC本格流通を皮切りに、2026年にはRLUSDや円建てJPYSCも取り扱われるようになり、利用可能な電子決済手段は徐々に増えています。一方で、それらを利用者につなぐ登録事業者は依然として限られており、発行・流通インフラの拡大に比べてサービス提供側の競争はまだ初期段階にあります。
マーキュリーが登録を取得すれば、この構図にも変化が生まれます。事業者が複数になれば、取扱銘柄だけで競うのではなく、運用機能、使いやすさ、既存の暗号資産サービスとの連携など、利用者が実際に選択する際の差が問われるようになります。
CoinTradeにとって重要なのは、国内2社目という登録順位そのものより、登録後にどのような利用価値を示せるかです。既存のステーキングやレンディングを含む運用基盤を生かし、先行するSBI VCトレードとは異なる使い方を提示できるかが、国内ステーブルコイン市場での存在感を左右しそうです。
公式発表:セレス

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