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韓国国会でK-ステーブルコイン政策議論 JPYC事例や「TIDE」戦略、発行主体も焦点

センチメンタルな岩狸

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サムネ


デジタル資産基本法を控え、実用化の議論が具体化

2026年8月21日、ソウルの国会議員会館でウォン建てステーブルコインの制度設計と実用化を議論する政策セミナー「金融秩序の大転換とK-ステーブルコイン発行成功方程式」が開かれました。韓国経済人協会傘下の韓国経済研究院が、共に民主党のミン・ビョンドク、イ・ガンイル、カン・ジュンヒョン、キム・ヒョンジョンの各議員室と共同開催し、政治家や金融当局、金融機関、暗号資産業界、研究者に加え、日本からJPYCの齊藤氏が参加しました。

背景には、ドル建てステーブルコインが国際的に存在感を強める中、韓国でもウォン建てステーブルコインを含むデジタル資産の第2段階法制をめぐる議論が進んでいることがあります。ミン議員は「デジタル資産基本法」を2026年下半期に成立させる考えを示した上で、ステーブルコインの競争力は「発行量ではなく決済現場から生まれる」と強調しました。

こうした制度整備の動きに伴い、議論の焦点も発行の可否から、継続的な需要を生み出せる用途の設計へと広がっています。会場では企業間決済や貿易、AI、トークン証券などが候補として挙げられた一方、発行主体を銀行中心とするのか、フィンテックを含む幅広い事業者に開くのかという制度上の論点も浮上し、実用性と金融安定を両立できる枠組みが求められています。


貿易・企業間精算・AIを軸に「TIDE」戦略

漢陽大学のカン・ヒョング教授は、韓国企業が競争力を持つ分野からウォン建てステーブルコインの利用を広げる「TIDE」戦略を提案しました。TIDEは、輸出入代金の決済を意味する「Trade」、企業グループや海外法人間の内部精算を指す「Internal」、ドル建てステーブルコインの韓国内拡大への対応を示す「Defense」、AIサービス間の精算を想定した「Emerging AI」の4分野で構成されます。

カン教授は、一般消費者向け決済を広く展開する前に、取引額が大きく反復性の高いB2B領域で利用実績を積み上げる考えを示しました。輸出代金や取引先への支払い、企業グループ内の精算に加え、AIエージェントによるデータ購入やコンピューティング費用の自動決済も想定しており、初期段階から一定の取引需要が見込める分野を確保することが普及の足掛かりになるとの見方です。

こうした実用化による経済効果について、韓国経済研究院のイ・スンソク責任研究委員は、B2B取引の50%がステーブルコイン決済へ移行するケースなどを前提に、決済遅延の解消による企業と小規模事業者のコスト削減効果を年間最大約1兆7,400億ウォンと試算しました。家計と企業が保有資金の10%をK-ステーブルコインに移した場合でも、銀行からの純流出は総預金の約2.5%にとどまるとの分析も示しており、決済効率化による効果と既存金融への影響を同時に検証しています。


JPYCの齊藤氏、日本の制度化と利用事例を紹介

韓国が制度と用途を並行して検討する中、日本から登壇したJPYCの齊藤氏は、日本におけるステーブルコインの制度整備とJPYCの発行経験を紹介しました。日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、JPYCは2025年8月に資金移動業者として登録された後、同年10月27日に日本円と1対1で連動する電子決済手段「JPYC」の正式発行を開始しています。

齊藤氏は、スタートアップ企業であるJPYCがステーブルコインの発行に至った背景について、4年以上にわたる事業経験に加え、AML・CFT体制の整備や金融当局との継続的なコミュニケーションを重ねてきたことが、正式発行につながったと説明しました。また、円建てステーブルコイン市場が5年以内に最大50兆円規模へ成長する可能性にも言及し、日本でのコンビニや配送業者大手などを通じた利用例を紹介しました。韓国での活用事例としては、LINE NEXTのWeb3サービス「Unify」を介してJPYCをオリーブヤング商品券に交換する仕組みも取り上げています。

韓国を訪れる日本人旅行者の決済需要や、将来的な円建て・ウォン建てステーブルコインの接続も議論されました。日本では法改正から事業者登録、発行、外部サービスとの連携へと段階的に環境整備が進んできたため、これから制度を具体化する韓国にとって、JPYCの経験は発行後の利用経路まで含めて検討する際の比較事例となります。


発行主体は銀行中心か、フィンテックにも開くか

利用分野が具体化する一方、韓国ではウォン建てステーブルコインの発行資格をどこまで認めるかについて意見が分かれています。ミン議員は同日のセミナーで、銀行が51%以上を保有するコンソーシアムを中心に発行を認める方式について、イノベーションを損なう可能性があるとして否定的な姿勢を示しました。

これに対し、国民の力のキム・サンフン議員は、導入初期には銀行中心のコンソーシアムで安定性を確保し、フィンテック企業が技術や商品開発、流通に参加した後、市場の定着に合わせて非銀行系へ発行主体を広げる案を示しています。銀行を軸に安全性を優先する考えと、参加企業を広げて競争を促す方向の間で、制度設計をめぐる調整が続いています。

総合討論では、韓国投資証券がトークン証券(STO)の決済への活用を提案し、金融監督院も立法後の発行手続きを見据えて市場との意見交換を続ける姿勢を示しました。こうした議論を踏まえると、K-ステーブルコインをめぐる政策課題は発行の枠組みを定める段階から、具体的な利用分野と既存金融との接続までを設計する段階へ移りつつあります。2026年下半期に予定されるデジタル資産基本法の審議では、金融安定を確保しながら、貿易や企業間精算、AI、越境決済といった用途を継続的な需要につなげられる制度を構築できるかが焦点となりそうです。


公式発表:韓国経済人協会

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