
暗号資産の着金確認から円転までを検証
ビットトレードとSTANDAGEは2026年9月10日、貿易での利用を想定した暗号資産の共同実証結果を公表しました。実証では、送付された暗号資産の着金を受領側で確認し、売却・円転を経てビットトレード口座に日本円残高を反映するまでの工程を実施しました。その結果、着金確認後の処理を数時間以内に完了したとしています。
両社が「日本円として出金可能な状態」としているのは、ビットトレード口座に日本円残高が反映された時点です。銀行口座への出金はこの所要時間に含まれておらず、処理時間も取引条件や運用方法によって変わります。円転時のコストは、実証前に両社が設定した想定水準を下回りました。
暗号資産交換業者のビットトレードは、着金確認からスポット取引による売却、日本円残高への反映までを担当しました。デジタル貿易プラットフォームの開発や中小企業の輸出支援を手掛けるSTANDAGEは、法人が暗号資産を利用する際の業務と課題を貿易実務の観点から整理しています。この役割分担によって、暗号資産交換業者による処理と企業側の業務を一つの流れとして検証しました。
送付の可否から企業の運用フローへ
両社は8月6日に共同実証の開始を発表し、暗号資産の入庫から円転までの所要時間、入庫時と売却時の価格差、換金に伴う手間とコストを検証項目に挙げていました。法人利用を前提に、入出庫・入出金時の確認手続きや、法令・社内規程に沿った運用も検証対象に含めています。
約1カ月後に公表された結果では、暗号資産を移転できるかという技術面から、受領後に誰が着金を確認し、どの段階で売却して円資金として処理するかという企業実務へ検証が進みました。ブロックチェーン上の送付が完了しても、それだけで法人の決済業務が完結するわけではありません。受領から円転までの手順を実際に動かし、企業が暗号資産を扱う際に必要となる業務の流れを確認した点に、今回の実証の意味があります。
STANDAGEの貿易決済構想を実務面から補完
STANDAGEは2021年、東京海上日動、NTTデータ、トレードワルツと共同で、電子化した船荷証券(電子B/L)とデジタル通貨または暗号資産を同時に移転する実証を行いました。電子B/Lは貨物の引き渡しを受ける権利を表す書類で、代金と連動して移転できれば、売り手と買い手の間に生じる履行時期のずれを抑えられる可能性があります。
この構想をステーブルコインへ広げる取り組みとして、2024年には三菱UFJ信託銀行、Progmat、Gincoと、「Progmat Coin」基盤で発行される国産ステーブルコインの貿易決済活用に向けた検討を始めました。新興国向けの実貿易を手掛ける日系企業の協力を想定した送受金実証に加え、法人内の承認手続きに対応するウォレットの開発も計画しています。
これまでの取り組みが商品や貿易書類と決済を連動させる全体的な構想を扱ってきたのに対し、ビットトレードとの実証では、暗号資産を受け取った企業が円資金化するまでの工程に対象を絞りました。ビットトレードも2026年5月のJETRO加盟を機に、ステーブルコインやデジタル資産を使ったクロスボーダー決済、貿易DXに関する知見共有や事業連携を進める方針を示しており、今回の実証は両社の取り組みが実務面で接続したものと位置付けられます。
実用化への距離を測る取引規模と標準化
貿易関連の資金移動には銀行送金が広く利用されていますが、相手国や経由銀行、取引条件によって着金時間や手数料が変わります。暗号資産やステーブルコインには別の決済経路として活用される余地があるものの、法人で扱うには価格変動への対応、ウォレット管理、取引相手の確認、社内承認を含む運用設計が欠かせません。
今回の結果は、設定された条件の範囲で、暗号資産の受領から円資金化までの流れを動かせたことを示しています。実際の貿易取引に近づけるには、取引額を拡大した際の価格差やコストに加え、複数の関係者が加わる場合の確認時間や、社内手続きを含む全体の処理時間を検証する必要があります。
両社は今後、実取引に近い規模と条件で実証を進め、運用フローの標準化・自動化や、取引規模に応じたコスト構造の変化を調べる方針です。9月15日に開催する共同セミナーでは、実務上のポイントを含む詳しい検証結果を紹介します。暗号資産を貿易決済へ組み込む構想が実用段階に近づくかは、受領確認から円転、社内承認までの工程を、取引条件が変わっても再現できる仕組みに整えられるかによって見えてきそうです。
公式発表:ビットトレード PR TIMES

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