
虎ノ門ヒルズで11月20日開催、無料参加の受付開始
デジタル資産専門メディア「NADA NEWS」を運営するN.Avenueと日本経済新聞社メディアビジネスは2026年8月17日、「NIKKEI・NADAデジタルアセットカンファレンス2026」の無料参加申し込みの受付を開始しました。イベントは11月20日に東京都港区の虎ノ門ヒルズで開催され、規制当局や金融機関、テクノロジー企業、機関投資家などが参加する予定です。
テーマは「資本市場の、次の常識。」で、日本のオンチェーン金融をめぐる制度、市場、技術の変化を横断的に取り上げます。基調講演に加え、トークン化資産やステーブルコインを扱うパネルディスカッション、暗号資産の金融商品取引法対応、RWA市場をテーマとする個別セッションなどが予定されています。
ST市場拡大で問われる金融インフラへの接続
N.Avenueと日本経済新聞社メディアビジネスは、過去5年間にわたり「デジタル証券フォーラム」を共同開催してきました。これまでセキュリティトークン(ST)を軸としてきた議論は、2026年にはステーブルコイン、トークン化預金、オンチェーン決済を含むデジタルアセット全体へと広がっています。
その背景の一つに、国内ST市場の拡大があります。BOOSTRYの集計によると、2025年度の公募ST発行額は約1,650億円、累積発行額は約3,333億円に達し、前年度末からほぼ倍増しました。100億円を超える大型案件も増え、不動産中心だった対象資産は社債やプライベートエクイティへ広がるなど、商品設計の幅も着実に広がっています。
発行市場が成長するにつれ、論点は商品を組成できるかという技術的な段階から、発行した資産をどのように流通させ、既存の決済基盤と結び付けるかという市場インフラの設計へ移ります。今回のカンファレンスがデジタル証券という個別領域からオンチェーン金融全体へ議論を広げた背景には、こうした市場構造の変化があります。
トークン化預金とステーブルコイン、決済実装を探る動き
市場インフラを巡る動きは、すでに実証段階で具体化しています。SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRYなど6社は2026年4月、トークン化預金「DCJPY」を用いたSTのDVP決済について、実際にSTを発行する形での検証を完了しました。証券の受け渡しと資金決済を連動させる仕組みをブロックチェーン上で検証したもので、デジタル証券とデジタルマネーを一体的に扱う試みと位置付けられます。
さらにBOOSTRYは7月、国内STのクロスボーダー流通を想定し、Ethereumとステーブルコインを活用した業者間取引の実証成果を公表しました。国内市場では発行商品の拡充に加え、二次流通や越境取引、デジタルマネーとの接続を見据えた検証が相次いでおり、実装を意識した取り組みが増えています。
一方、技術的にトークンを高速移転できても、裏付け資産や法定通貨の決済が既存システムに残れば、取引全体の即時性は限定されます。SBI金融経済研究所もこうした構造的な課題を指摘しており、オンチェーン化の成否はブロックチェーン単体の性能より、既存の金融インフラとどこまで円滑に接続できるかに左右されるとみられます。
暗号資産・ステーブルコイン制度も再設計の段階へ
実証の進展と並行して、制度面でもデジタル資産を取り巻く枠組みは見直されつつあります。2025年に成立した改正資金決済法の関連政令・内閣府令は2026年6月1日に施行され、電子決済手段・暗号資産サービス仲介業に関する制度や、ステーブルコインに関連する特定信託受益権の裏付け資産に関する規定などが整備されました。
暗号資産についても、金融庁は有価証券とは異なる金融商品として位置付けたうえで、規制の軸を資金決済法から金融商品取引法へ移す方向を示しています。2026年度税制改正の大綱にも、金融商品取引法などの改正を前提とした暗号資産課税の見直しが盛り込まれており、市場育成と投資家保護をどのように両立させるかが制度設計上の焦点になっています。
こうした動きを踏まえると、トークン化資産、ステーブルコイン、暗号資産をそれぞれ独立した制度として扱う従来の議論から、資本市場や決済インフラの中で相互にどう接続するかを考える段階へ移りつつあります。政策、金融市場、テクノロジーを一つの枠組みで扱う今回のカンファレンスも、その変化を映した構成といえます。
焦点は「発行可能性」から市場としての実用性へ
イベントには野村ホールディングス、BOOSTRY、大和証券グループ、Progmat、QUICKなどが協賛し、金融庁、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)、日本STO協会などが後援します。証券会社、金融インフラ企業、規制当局、業界団体が横断的に関わる構成からも、デジタル資産を単独の金融商品としてではなく、市場基盤の一部として捉える流れが強まっていることがうかがえます。
Progmatは2026年の国内ST市場について、トークン化対象の多様化やステーブルコインを使った決済の開始を方向性として示し、BOOSTRYもSTとデジタル通貨の連携や市場参加者の多様化を今後の論点に挙げています。複数の業界プレイヤーが同じ方向を示している点からも、市場の関心が発行件数や発行額だけでは測れない段階へ進んでいることが見えてきます。
国内のデジタル資産市場では、金融商品をブロックチェーン上で発行できること自体より、その資産が継続的に取引され、資金決済まで含めた市場機能として定着するかが次の評価軸になりつつあります。制度整備と実証、市場拡大が同時に進む中、11月のカンファレンスでは、オンチェーン金融が技術検証の領域から実際の金融インフラへどこまで移行できるのかが、より具体的に問われることになりそうです。
公式発表:N.Avenue PR TIMES

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