
電子決済手段等取引業への参入を一貫支援
ブロックチェーンを活用した金融・決済インフラを手がけるDatachainは7月10日、Web3金融分野のコンサルティングを展開するfinojectと、ステーブルコイン事業への参入支援に関する業務提携の基本合意を締結したと発表しました。両社は、電子決済手段等取引業への参入を目指す事業者に対し、事業構想の策定から登録申請、システム開発、事業開始後の運営までを一貫して支援する体制を整えます。
役割分担として、finojectは金融ライセンスの登録要件整理や申請書類の作成、規制当局との協議、AML/CFTを含む内部管理態勢の構築を担当し、Datachainは制度上の要件をシステム仕様へ反映したうえで、ステーブルコインやウォレット、決済システムの設計・開発、既存システムとブロックチェーンを接続する基盤構築を担います。制度対応と技術開発を同じ工程で進めることで、参入準備から運営開始後まで継続して支援する方針です。
規制対応をシステム設計へ反映
日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、法定通貨と価値が連動する一定のステーブルコインが「電子決済手段」として位置付けられました。企業間決済やクロスボーダー送金、Web3サービスとの接続など幅広い用途が想定される一方、関連事業へ参入するには、事業者登録やマネーロンダリング対策、利用者保護、取引記録の保存といった複数の要件に対応する必要があります。
こうした制度上の要件は申請書類や社内規程を整える作業にとどまらず、ウォレットや決済基盤の仕様にも反映しなければなりません。取引の監視方法や操作権限、監査ログの保存基準を開発途中で変更すると、システム全体の設計を見直す可能性が生じるため、事業構想の段階から制度担当者と開発担当者が共通の要件を定めることが重要になります。両社の提携は、登録準備と技術実装を並行して進めることで、こうした手戻りを抑える狙いがあります。
両社の金融分野での知見を組み合わせ
Datachainはこれまで、Progmatとステーブルコイン関連事業を進めたほか、Swiftの既存決済網とブロックチェーンを組み合わせたクロスボーダー送金にも取り組んできました。一方、finojectは電子決済手段等取引業や暗号資産交換業、資金移動業、金融商品取引業などを対象に、ライセンス取得やAML/CFT態勢の構築を支援しており、両社はそれぞれの専門領域を組み合わせて参入企業を支える考えです。
国内では、ステーブルコインの発行や送金、決済利用を想定した取り組みが広がっていますが、技術検証を実際の事業運営へ移すには、規制対応とシステム構築を継続して進める必要があります。両社の支援体制が実際の案件でどのように活用されるかに加え、対象となる事業者や提供範囲がどこまで具体化するかが、今後の展開を捉えるうえで注目されます。

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