
資金決済法から金商法準拠へ、規制再編が示す市場成熟への一歩
12月11日、金融庁は暗号資産の取り扱いを見直し、これまで金融審議会などで継続的に行われてきた議論を踏まえ、金融商品取引法の枠組みで規律する方向性を示しました。これは、暗号資産を単なる決済手段ではなく、投資対象として正面から位置づけ直す動きとして受け止められています。
資金決済法中心の規制が限界を迎えていた背景
これまで日本では、暗号資産は主に資金決済法の下で規制されてきました。しかし、市場規模の拡大や取引の高度化が進む中で、従来の枠組みでは対応が難しい場面が増えていたのも事実です。特に、情報の非対称性や不公正取引への対応は、長年の課題として指摘されてきました。
金商法準拠による規律強化と業界の慎重な声
金融庁は今回、インサイダー取引規制や情報開示の考え方について、金融商品取引法を参考にして整理する必要性を明確にしています。一方で、業界側からは、過度な規制がイノベーションを阻害する可能性があるとして、慎重な意見も出ています。
短期的な戸惑いと中長期的な市場整備への期待
市場関係者の間では、短期的には事業環境の変化に戸惑いが生じる可能性があるものの、制度が明確になることで中長期的には参入障壁が下がるとの見方もあります。特に、機関投資家の参加を後押しする契機になる可能性が指摘されています。
日本の暗号資産市場成熟に向けた次のステップ
今後は金融審議会での詳細な議論を経て、法改正の是非や対象範囲が具体的に検討されていく見通しです。実行時期については、2026年の通常国会への法改正案提出が想定されており、実際の制度施行や運用開始は、それ以降になると見られています。
金融商品取引法は、投資家保護や市場の公正性確保を目的とした法律であり、その考え方を暗号資産に適用する今回の動きは、日本市場の成熟度を示すと同時に、市場の透明性向上を目指す流れとも言えるでしょう。

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