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Visa、VisaNetデータをオンチェーン融資に活用 ステーブルコインカードの資金繰りを支援

センチメンタルな岩狸

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サムネ


急増するカード決済を資金面から支援

Visaは2026年9月8日、VisaNetの決済データをオンチェーン融資基盤と組み合わせ、ステーブルコイン連動型カードの運営企業やフィンテック企業による運転資金の調達を支援する枠組みを発表しました。

Visaの2026年度第2四半期時点の集計では、同社ネットワーク上で160件を超えるステーブルコイン連動型カードプログラムが稼働し、決済額は前年同期比で約200%増加しました。ステーブルコインによるVisaへの決済額も年率換算で200億ドルを超え、前年同期の15倍以上に拡大しています。カードの発行と利用が急速に広がるなか、事業者が日々の取引を止めずに決済資金を確保できる体制の重要性も増しています。


24時間動く事業と従来融資のずれ

カード事業者は、取引に伴うVisaへの決済義務を履行するため、利用者から対応する資金を回収するまでの時間差を埋めなければなりません。取引量が増えるほど必要な運転資金も膨らみますが、成長初期の企業は事業規模や運営実績が限られ、銀行融資を利用しにくい場合があります。

Visaの説明では、銀行の信用枠は契約までに時間がかかるほか、企業資産全体への担保設定や、営業時間に合わせた資金移動を求められることがあります。カード債権の証券化も一定以上の事業規模と法務費用を必要とするため、小規模なカードプログラムには適しにくい仕組みです。こうした従来の融資実務と、24時間稼働するステーブルコイン事業の間にある時間や規模のずれが、事業拡大の制約となっていました。

オンチェーン融資自体はすでに大きな市場を形成しており、2020年以降に関連プロトコルを通じて移転されたステーブルコイン建て融資は累計6,940億ドルを超えています。その多くが暗号資産市場内の取引に使われてきたなか、Visaはオンチェーン上の流動性をカード決済から生じる債権と結び付け、実際の事業活動を支える資金として活用しようとしています。


決済債権から返済までを自動管理

オンチェーン信用プラットフォームのCredit Coopは、カード事業者が将来受け取る決済債権を担保に、ステーブルコイン建てのリボルビング融資枠を提供します。参加事業者の承認を受けてVisaの日次決済データを取得し、ブロックチェーン上の取引記録と照合することで、貸し手が事業の稼働状況に応じて融資規模や信用リスクを評価できるようにします。Visaはこのデータ連携を担い、融資の実行と信用リスクは参加する貸し手が引き受けます。

カード利用に伴う入金は、Credit Coopの「Spigot」と呼ばれるスマートコントラクトを経由します。元本と利息の返済に必要な金額を自動的に振り分けてから残額をカード事業者へ送り、返済した分の融資枠を次の決済に利用できる状態へ戻す仕組みです。従来の債権担保融資で使われる入金管理をプログラム上で執行するため、手作業や金融機関の営業時間による制約を抑えられます。

Visaが次の段階に据えるのが、日次決済ファイルから同社への純支払額を読み取り、必要な資金を当日中に自動供給する「ジャスト・イン・タイム型」の運用です。実用化されれば、事業者は決済に備えて余剰資金を長期間抱える必要が減り、貸し手側も実際の決済額に合わせて資金供給を調整しやすくなります。


Rainで累計約20億ドルの決済に対応

この融資モデルは、ステーブルコイン連動型カードの発行基盤を提供するRainで2023年8月から運用されています。VisaのプリンシパルメンバーでもあるRainは、Credit Coopから借り入れた資金をVisaへの日次決済に充て、カード利用に伴う入金から元本と利息を返済してきました。

Visaによると、Credit Coopの基盤は2023年以降、複数のカードプログラムで累計25億ドルを超える決済額への資金供給を支え、参加融資枠では債務不履行が発生していません。オンチェーンでは3,000件以上の借り入れと9,000件以上の返済が処理され、このうちRainに関連する決済額は約20億ドルに上ります。25億ドルは回転型の信用枠を通じて過去に処理した決済額の累計であり、現在残っている融資額とは異なります。

米国発行の旅行者向けVisaカードを手がけるKartaも、事業初期にCredit Coopの融資基盤を利用しました。同社は34回の借り入れと95回の返済を重ねた後、2026年6月にシリーズAの1,500万ドルとCommunity Investment Managementによる1億2,500万ドルの信用枠を合わせ、総額1億4,000万ドルを調達しました。小規模なオンチェーン融資から返済実績を蓄積し、事業の成長に伴って機関向けの大規模な信用枠へ移行した事例といえます。


Visaの支援領域が資金管理へ拡大

Visaは2026年4月、ステーブルコイン決済で対応するブロックチェーンを9種類へ広げ、当時の決済額が年率換算で70億ドルに達したと発表しました。7月には、金融機関やフィンテック企業がステーブルコインの発行、移動、保管、償還を一つの環境で扱える「Visa Stablecoin Platform」のベータ提供も始めています。

これまでVisaは、ステーブルコインを既存のカード網や金融機関へ接続する基盤を整えてきました。決済データをオンチェーン融資に活用する枠組みが加わったことで、支援領域はカードの発行や決済から、取引を継続するための資金管理へ広がります。VisaNetの決済実績とオンチェーン上の返済履歴を組み合わせる仕組みは、十分な財務履歴を持たない新興事業者と機関資金をつなぐ新たな融資経路になる可能性があります。

今後は、Rain以外の事業者や異なる市場環境でも安定した返済実績を積み上げられるかが焦点となります。参加する貸し手と対象地域の拡大に加え、ジャスト・イン・タイム型融資の実用化、各地域の融資規制やデータ管理、本人確認を含む既存のコンプライアンス体制との接続が、オンチェーン信用をステーブルコインカード市場の継続的な資金基盤へ育てるうえで重要になります。


公式発表:Visa

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