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JPモルガン、オンチェーン決済戦略を拡大か ステーブルコイン発行を検討

センチメンタルな岩狸

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サムネ


予備的な協議、顧客需要や規制動向を見極め

米金融大手JPモルガン・チェースが、独自ステーブルコインを発行する可能性について検討していたことが分かりました。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2026年8月26日、関係者の話として報じました。協議は予備的な段階で、同行の広報担当者は発行計画を持っていないと説明しつつ、顧客需要や規制環境の変化に応じて将来の選択肢を評価する考えを示しています。

今回の検討は、JPモルガンが以前から示してきたデジタルマネー戦略の延長線上にあります。ジェイミー・ダイモンCEOは2025年7月の決算説明会で、預金トークンとステーブルコインの双方に関与し、仕組みへの理解を深める方針を表明しました。ステーブルコインの必要性には疑問も示していましたが、フィンテック企業が決済や銀行口座に近いサービスへ進出する動きは競争上無視できないとの認識も示しており、今回の報道はその姿勢が具体的な検討につながった流れと捉えられます。

米国では同じ2025年7月、決済用ステーブルコインを対象とするGENIUS Actが成立し、発行体や準備資産、情報開示などを定める連邦規制の枠組みが整備されました。規制面の不確実性が徐々に整理されるなか、預金トークンを軸にブロックチェーン決済を進めてきた銀行にとっても、ステーブルコインを新たな決済手段として検討する余地が広がっています。


JPM CoinをBaseで展開、銀行預金をオンチェーン化

JPモルガンはすでに、銀行預金をブロックチェーン上で利用する仕組みを実用化しています。ブロックチェーン部門「Kinexys by J.P. Morgan」は2025年6月、米ドル建て預金トークン「JPMD」の実証をCoinbaseが開発するEthereumレイヤー2「Base」で開始し、同年11月12日には「JPM Coin」の米ドル預金トークンとして機関投資家向けの正式提供を始めました。

JPM CoinはJPモルガンに預けられた銀行預金をデジタル化し、機関顧客がBase上で24時間の送金や決済、担保移転などに利用できる仕組みです。実証にはCoinbase、Mastercard、暗号資産マーケットメーカーのB2C2も参加しました。同行はJPM Coinを規制された銀行預金を表す預金トークンと位置付け、ステーブルコインや暗号資産とは異なる仕組みとして運用しています。

こうした基盤をすでに持つJPモルガンがステーブルコインも選択肢に加える理由として、想定される利用範囲の違いがあります。預金トークンは銀行預金や既存の顧客基盤との結び付きが強く、銀行の規制体系を維持しながらオンチェーン決済を効率化しやすい仕組みです。ステーブルコインは設計次第で複数のウォレットやサービス、ブロックチェーンへ流通範囲を広げられるため、発行が実現すればJPM Coinと異なる取引領域を担う可能性があります。


大手銀行にもステーブルコイン検討が広がる

同様の動きは大手銀行全体にも広がっています。バンク・オブ・アメリカ、シティ、ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、三菱UFJ銀行、サンタンデールなど10行は2025年10月、G7通貨を対象に、準備資産で1対1に裏付けられたデジタルマネーをパブリックブロックチェーン上で発行する可能性を共同で検討すると発表しました。

WSJは今回、これとは別に、バンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴ、サンタンデールなど十数社の金融機関が、企業利用を想定したグローバルなステーブルコイン構想を進めているとも報じています。米ドルを起点にユーロやその他のG7通貨へ対象を広げる案が議論されており、銀行業界では自社預金をオンチェーン化する取り組みから、より広い決済ネットワークを視野に入れたデジタルマネー戦略へ検討範囲が広がっています。

市場では、銀行勢の参入が既存事業者との競争につながるとの見方も表れました。WSJの報道を受け、USDCを発行するCircle Internet Groupの株価は8月26日に一時約4%下落しました。TetherやCircleなど暗号資産業界の企業が先行してきた市場に大手銀行が本格参入すれば、発行主体の信用力に加え、既存の法人顧客網や決済インフラを含めた競争へ発展する可能性があります。


銀行主導のオンチェーン決済、次の焦点は接続範囲

銀行がステーブルコインへの関与を探る背景には、決済市場を取り巻く環境の変化があります。Visaや資産運用大手BlackRockなど金融・決済分野の企業もステーブルコインへの関与を広げ、24時間稼働するブロックチェーン決済網が銀行送金やカード決済と重なる領域を増やしています。こうした環境では、自社の預金をオンチェーン化するだけで完結するのか、外部のウォレットや金融サービスまで接続範囲を広げるのかが、銀行のデジタル決済戦略を左右します。

JPモルガンにとっても、発行を具体化する場合はJPM Coinとの役割分担に加え、自社で独自ステーブルコインを展開するのか、銀行間の共同基盤を活用するのかが焦点になります。機関顧客向けの預金トークンを軸にしながら、外部サービスとの接続が必要な領域を別のデジタルマネーで担う形も考えられますが、具体的な発行形態や用途は今後の検討に委ねられます。

発行主体や準備資産、償還方法に加え、どのブロックチェーンや決済サービスと接続するかによって、銀行発ステーブルコインが担う役割も変わります。JPモルガンを含む大手銀行がどのモデルを選ぶかは、ステーブルコインをめぐる競争が暗号資産業界中心の市場から、銀行や決済企業を含む金融インフラ全体へどこまで広がるかを見るうえで重要になりそうです。


報道:WSJ

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