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メタバース霊園「風の霊」がNFT区画販売 10万円で“受け継ぐ墓”をデジタル化

センチメンタルな岩狸

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サムネ


「風の霊」で10万円のNFT区画を販売

メタバース事業を手掛ける株式会社HIKKYは2026年8月13日、アルファクラブ武蔵野と共同開発するメタバース霊園「風の霊」で、NFT化した霊園区画の販売を開始したと発表しました。価格は1区画10万円(税込)で、購入者はメタバース空間に専用の墓石を設置し、家族や親族と継続的に供養できる場所として利用できます。

NFT区画には4種類から選べる墓石が無料で用意され、文字や墓誌を設定できるほか、500円(税込)のプレミアム墓石や花、線香などの供物も販売されます。家族がメッセージを残したり、参拝や供物に応じて墓石が変化したりする機能も備え、単に故人の情報を保存するデジタル記録から、繰り返し訪れることを前提とした供養空間へと設計を広げています。

さらに、生前に継承者を指定し、保有するNFT区画を家族へ引き継げる仕組みも導入されました。写真や動画を共有するオンライン追悼サービスが各地で広がる中、「風の霊」は墓所を所有し、家族へ受け継ぐという現実の墓に近い考え方をデジタル空間へ取り込んだ形です。


墓の維持と承継、負担感が鮮明に

背景にあるのは、墓を誰が守り、どのように次世代へ残すかという課題です。東京都が2025年に実施した「お墓と都立霊園」に関する調査では、墓について心配していることとして「維持管理の経費と手間」を挙げた人が55.2%、「お墓の承継者」が47.8%に上りました。

集合墓地を希望する理由でも、「墓所を承継する必要がないため」が52.9%で最も多く、子や孫が代々墓を管理する従来型の仕組みに負担を感じる層が一定数いることがうかがえます。墓じまいや散骨、樹木葬などが広がっている状況も、家族構成の変化や維持管理の負担と無関係ではありません。

こうした流れの中で「風の霊」が提示するのは、墓を手放すこととは異なる方向性です。物理的な墓石や土地の管理負担を抑えながら、家族が集まる場所そのものは残し、その場所を次世代へ引き継げるようにすることで、「墓は残したいが管理を続けるのは難しい」という需要との接点を探っています。


追悼サービスから「所有する墓」へ

「風の霊」は2024年9月にサービスを開始し、パソコンやスマートフォンのブラウザから利用できる供養空間として展開してきました。故人の写真や動画を配置できる「マイルーム」では家族や友人がチャットや音声で交流でき、遠方に暮らす人や移動が難しい人でも、自宅から故人を偲べる環境を整えています。

その後、2026年2月には実際の葬儀会館とリアルタイムで接続するイベントスペース「風ノ間」を追加し、メタバース側から葬儀の映像を見ながら参列や焼香ができる仕組みへとサービス領域を拡張しました。NFTを使った霊園区画についても2025年から構想が示されており、8月13日の販売開始によって、これまで段階的に整備してきたデジタル供養が、有料の区画所有サービスへ進んだことになります。

ここで注目されるのが、1区画10万円という価格設定です。無料で故人を偲ぶ場から、墓石を設置し、供物を供え、区画を家族へ引き継ぐ有料サービスへ移行することで、「風の霊」はオンライン追悼の利便性を提供する段階を越え、現実の墓が担ってきた役割の一部をデジタル空間で代替する事業へ踏み込みつつあります。


デジタル墓に問われる継続性と価格

ただ、墓は一般的なオンラインサービスと比べて利用期間が長く、家族や世代をまたいで維持される性質があります。そのため、NFTによって区画の所有や継承が可能になっても、利用者にとっては、墓が存在するメタバース空間そのものが長期にわたって運営されるかが重要な論点になります。

価格についても、10万円をデジタル空間の墓所に支払うことへの受け止めは分かれるとみられます。一方で、海洋散骨などを選び物理的な墓を持たない家庭や、遠方の墓を維持し続けることが難しい家庭にとっては、家族が繰り返し訪れられる場所をオンライン上に確保できることに一定の価値があります。

墓じまいや承継者不足によって供養の形が細分化する中、「墓を維持する」「墓を持たない」に加え、「デジタル上に墓を持つ」という選択肢がどこまで受け入れられるかは、今後の供養市場を見る上でも注目されます。10万円という価格と継承機能を備えたNFT区画が実際に利用者を獲得できるか、販売後の動向がデジタル供養の定着度を測る一つの指標になりそうです。


公式発表:HIKKY

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