
ステーブルコイン決済から暗号資産規制まで議題に
ブロックチェーンウォレットを開発するHashPortは2026年9月2日、KDDI、au Coincheck Digital Assets、一般社団法人Web X実行委員会と共同で、ビジネスカンファレンス「AI・オンチェーン金融サミット」を10月1日に開催すると発表しました。会場はTAKANAWA GATEWAY CITY内のKDDI高輪本社で、13時から20時まで行われます。
当日は、ステーブルコイン決済、海外送金、大企業向けウォレットなどの国内外の動向を、基調講演や事業者によるトークセッション、各社のプレゼンテーションを通じて取り上げます。暗号資産取引に関する規制の金融商品取引法への移行も議題に含まれており、AIとブロックチェーンを金融サービスへ組み込む際の技術、制度、事業運営を横断的に議論する構成です。参加登録は専用のイベントページで受け付けています。
技術・顧客基盤・暗号資産事業を持ち寄る4者
共催企業の間では、ウォレットを軸とした事業連携がすでに進んでいます。KDDIは2025年10月24日にHashPortと資本業務提携契約を締結し、第三者割当増資を通じて同社株式の20%超を取得しました。HashPortを持分法適用会社としたうえで、KDDIの顧客・決済基盤と、大阪・関西万博のデジタルウォレットを運用したHashPortの技術を組み合わせたサービスを開発しています。
提携後の2025年12月には、HashPort WalletとPonta、au PAYの連携が始まりました。利用者はPontaポイントをUSDCやcbBTCへ交換できるほか、USDCやcbBTCを使ってau PAYギフトカードを購入し、au PAYマネーライトへチャージできます。提携発表時点で約1億2,000万人のPonta会員と約3,900万人のau PAYユーザーを抱える既存の経済圏に、ブロックチェーン上の資産をつなぐ仕組みです。
au Coincheck Digital Assetsは、KDDIが50.1%、コインチェックが40.0%、auフィナンシャルホールディングスが9.9%を出資する合弁会社として2026年5月に始動し、HashPortと連携したノンカストディアルウォレットの提供を計画しています。HashPortがウォレット技術、KDDIが通信・決済基盤と顧客接点、au Coincheck Digital Assetsが暗号資産事業の知見を担い、Web X実行委員会が業界ネットワークを持ち込む組み合わせからも、サミットが事業者間の連携を意識した場であることがうかがえます。
AIによる送金や資産管理を具体化
「AI・オンチェーン金融」というテーマは、HashPortが進めるウォレット開発と直結しています。同社は2026年7月、ClaudeやChatGPTなどのAIエージェントとHashPort Walletを接続する「HashPort Wallet MCP」を9月に提供する予定だと発表しました。AIへの指示を通じて残高を確認し、暗号資産やステーブルコインの送受信、複数のチェーンに分散した資産の集約などを進められるインターフェースです。
AIエージェントは利用者の指示に応じて取引手順を組み立てますが、資産を移動する際にはPINや生体認証による本人承認が必要となり、秘密鍵も利用者が保持します。第1弾では残高の集約や運用先への送金、国内外の取引先への一括送金を予定し、2027年前半には旅行予約や買い物の支払いをAIが補助する「エージェンティック・コマース」や、会計・給与・請求システムとの連携へ広げる計画です。サミットで扱う大企業向けウォレットや海外送金はこの開発方針と重なっており、利便性と安全性を両立する運用設計が議論の軸になります。
制度整備後は接続方法と責任分担が課題に
日本では2023年6月、法定通貨に連動するステーブルコインの仲介などを対象とした電子決済手段等取引業の制度が始まりました。2026年7月23日には、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法へ移す改正法が公布され、情報公表や業規制、インサイダー取引規制が整備されました。関連規定は公布から1年以内に施行される予定で、ステーブルコインは電子決済手段として資金決済法の枠組みが維持されます。
au Coincheck Digital Assetsは7月にも、Pacific Meta、SMBC日興証券と「Onchain Finance Summit 2026」を共催し、ステーブルコイン、デジタル証券、RWA、AIエージェント決済を取り上げました。同イベントが金融機関や機関投資家を主な対象にオンチェーン資産を幅広く扱ったのに対し、10月のサミットではウォレット、決済、海外送金など、企業や利用者の取引に近い領域へ議論を進めます。金融・通信・Web3各社が相次いで協議の場を設けていることからも、国内の関心が技術の可能性から具体的な導入方法へ移っていることが分かります。
AIが送金や決済に関与するサービスを広げるには、本人確認や取引監視に加え、利用者がAIへ委ねる権限の範囲、取引の承認手順、問題発生時の責任を明確にする必要があります。10月1日の議論で接続方式や役割分担がどこまで具体化されるかによって、AI・オンチェーン金融の構想が継続的な事業へ進む道筋も見えてきます。
公式発表:HashPort

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