
9月25日に東京で開催、金融機関や上場企業など約300名を対象
Fracton Venturesは2026年8月27日、機関投資家や金融機関、上場企業を対象とする招待制カンファレンス「Ethereum Institutional Summit 2026」を、9月25日に東京都内で開催すると発表しました。定員は約300名、参加費は無料で、参加には事前登録と主催者による審査が必要です。開催時間は10時30分から18時30分までで、終了後にはクロージング・レセプションも予定されています。
議論するのは「ステーブルコイン×プライバシー」「Ethereum上のRWA・ETF」「オンチェーン・トレジャリー」「機関投資家・金融機関向けDeFi」の4領域です。第1弾登壇者にはEthSystems、ETHGas、Optimism、IPOR、MetaMaskの関係者が名を連ね、国内金融機関や上場企業からの登壇者も順次追加される予定です。
サミットは、Ethereum Japanが9月19日から27日まで展開する「ETHTokyo Week 2026」のCurated Eventとして開催されます。同期間中の9月25日からは「ETHGlobal Tokyo 2026」も始まり、国内外の開発者や企業関係者が東京に集まります。その中で今回のサミットは、金融機関や事業会社によるEthereum活用と、その導入に伴う実務課題に議論の焦点を絞ります。
Ethereumの機関利用、投資対象から金融インフラへ広がる
Ethereumを巡る機関投資家の関心は、暗号資産への投資に加え、金融商品の発行や決済、企業の資金管理へ広がっています。BlackRockは2024年、Securitizeを通じてトークン化ファンド「BUIDL」をEthereum上で立ち上げました。米国債や現金などを裏付け資産とする同ファンドは、既存の金融資産をパブリックブロックチェーン上で発行・管理する代表的な事例の一つです。
こうした利用拡大を受け、Ethereum Foundationも2026年7月、政府や機関向けにEthereumの仕組みや活用領域をまとめたガイドを公開しました。資産発行や取引決済、トークン化市場などを取り上げており、Ethereumエコシステムでも企業や公共部門による導入を意識した情報整備が進んでいます。
実際の導入を進める段階では、規制やカストディ、会計、リスク管理といった金融実務との整合が重要になります。CoinbaseとEY-Parthenonが2026年に機関投資家の意思決定者351人を対象に実施した調査では、85%が社内の資金管理や送金でステーブルコインを利用している、または利用に関心があると回答しました。資産運用会社の64%が自社資産のトークン化に関心を示す一方、67%は規制環境の不透明さをトークン化資産への投資を妨げる主要な要因として挙げています。
日本でもRWA・ステーブルコインの実装条件を具体化
日本では、Ethereum Japanが2026年3月に「Digital Assets Working Group」を設立し、企業によるRWAやステーブルコイン活用を想定した実務要件の整理を始めました。Fracton Venturesも同ワーキンググループに参加しており、権限管理や資産計上、KYC・AML、監査など、企業がオンチェーン技術を業務へ組み込む際に生じる課題を検討しています。
国内ではステーブルコインを決済や証券取引に利用する実証、RWAの取引基盤を構築する取り組みも進んでいます。技術そのものの検証から、既存の金融制度や企業業務にどう組み込むかへ論点が移る中、今回のサミットがプライバシーやカストディ、会計、コンプライアンスまで扱うのも、こうした実装上の課題を海外プロジェクトと国内金融関係者の双方から議論するためです。
Fracton Venturesは2021年の設立以降、海外Ethereumプロジェクトの日本展開や国内企業のグローバル展開を支援してきました。同社によると、インキュベーションプログラムを通じて50以上のプロトコルと創業者を支援し、「DAO TOKYO」の開催や「ETHTokyo」の共同主催にも携わっています。これまで構築してきた海外プロジェクトとのネットワークを、国内企業が抱える具体的な導入課題へ接続することが、今回のサミットの位置付けにもつながっています。
金融実務への導入、焦点は具体的な運用モデル
パブリックブロックチェーンを金融業務へ組み込むには、性能や取引速度といった技術面に加え、資産の管理主体やアクセス権限、取引情報の扱い、本人確認、会計・監査、規制上の責任分担まで設計する必要があります。RWAやステーブルコインの利用が実証から実際のサービスへ進むほど、企業、金融機関、プロトコル事業者の間でこうした条件をすり合わせる重要性も高まります。
サミットでは30席限定のClosed Roundtableも予定され、Chatham House Ruleの下で議論が行われます。同ルールでは参加者が得た情報を利用できる一方、発言者の身元や所属を外部で特定することはできません。公開セッションとは異なる環境を設けることで、社内制度や規制対応を含む導入上の課題について、より実務に踏み込んだ意見交換を想定しています。
今後は国内金融機関や上場企業を含む追加登壇者が順次発表される予定です。海外でトークン化ファンドやステーブルコインの金融利用が広がり、日本でも導入条件の整理が進む中、次の焦点はそれらを具体的なサービスや業務フローへ落とし込めるかに移ります。9月25日の議論で、RWAや決済を巡る課題整理から実際の導入モデルや海外プロジェクトとの協業へどこまで踏み込めるかが注目されます。

コメント