
Web3で使われるトークンの役割と仕組みを整理
Web3の領域では、多くのサービスやプロジェクトで「トークン」が活用されています。サービスを利用するための機能を持つものから、コミュニティ運営への参加、資産や収益に関する権利を表すものまで、その役割はさまざまです。
トークンは用途によって法的な扱いも変わるため、名称だけを見て性質を判断するのは適切ではありません。この記事では、トークンの基本からユーティリティトークンとセキュリティトークンの違い、企業が活用する理由、日本における規制の考え方まで整理します。
トークンとは? ブロックチェーン上で価値や権利を表す仕組み
トークンとは一般に、ブロックチェーンなどの分散型台帳上で発行・管理されるデジタルな価値や権利を指します。サービス内で利用できるもの、コミュニティの投票に使われるもの、金融商品に関する権利をデジタル化したものなど、設計によって役割は大きく異なります。
ただし、「トークン」は単一の法的カテゴリーを示す言葉ではありません。日本では、その仕組みや権利の内容によって暗号資産や有価証券など異なる制度の対象となる場合があります。そのため、Web3サービスを見る際にはトークンの名称より、何に利用でき、どのような権利が付与されているのかを確認することが重要です。
ユーティリティとセキュリティトークン、違いは権利と用途
ユーティリティトークンは一般に、特定のサービスやネットワークで利用できる機能を持つトークンを指します。ゲーム内のアイテム購入やサービス料金の支払い、特典の利用、ガバナンス投票など、プロジェクトによって用途は異なります。なお、EthereumのETHはネットワークのネイティブ資産であり、トランザクションを実行する際のガス代の支払いなどに利用されています。
セキュリティトークンは、株式や社債、ファンド持分などの有価証券上の権利をデジタル化したものです。不動産を対象とした商品でも、信託受益権などの投資性を持つ権利をトークン化するケースがあります。日本では2020年5月に施行された改正金融商品取引法によって、ブロックチェーンなどを利用して移転できる一定の権利について制度上の扱いが明確化されました。
両者を見分ける際には、「ユーティリティ」や「セキュリティ」という名称そのものより、保有者にどのような権利が与えられるのか、どのような方法で発行・販売されるのかを見る必要があります。同じトークンという形式を採用していても、設計や経済的な実態によって適用される制度は変わります。
なぜ企業はトークンを活用するのか? 利用促進や資金調達にも活用
企業やプロジェクトがトークンを活用する目的の一つが、サービス内での利用を促す仕組みづくりです。特典やサービスへのアクセス権、投票機能などを組み合わせることで、ユーザーが継続的にプロジェクトへ参加する仕組みを設計できます。ゲームやコミュニティサービスでは、ユーザーの行動に応じてトークンを付与し、サービス内で再び利用してもらう形も採用されています。
資金調達や資産のデジタル化にトークンを使うケースもあります。過去にはICO(Initial Coin Offering)によるトークン販売が広がり、セキュリティトークンを利用して有価証券上の権利をデジタル化するSTO(Security Token Offering)も登場しました。トークンを使えば、ブロックチェーン上で発行や移転を記録できるため、既存の金融やサービスに新しい仕組みを組み込む手段として活用されています。
こうした利点がある一方、トークンを発行すれば自由に資金調達や流通を行えるわけではありません。日本ではトークンの性質によって資金決済法や金融商品取引法などが関係するため、企業側には発行目的や権利内容を踏まえた制度対応が求められます。
なぜトークンには規制が必要なのか? 投資家・利用者保護との関係
トークンに規制が設けられている背景には、投資家や利用者を保護する目的があります。ICOが世界的に広がった時期には、プロジェクトの内容や資金の使途を示したホワイトペーパーが公表されても、計画通りに開発が進まないケースや、トークンの価格が大きく下落するケースが問題となりました。金融庁もICOについて、価格下落や詐欺などのリスクを注意喚起しています。
日本では、トークンの仕組みや性質によって適用される法律が異なります。不特定の人との決済や交換に利用できる一定のトークンは暗号資産として扱われる場合があり、収益分配など投資性のある権利をトークン化した商品には金融商品取引法が関係します。セキュリティトークンについては、電子的に移転できる有価証券上の権利として、販売や勧誘、管理などに投資家保護のためのルールが設けられています。
このため、プロジェクトが「ユーティリティトークン」と呼んでいることだけで法的な扱いが決まるわけではありません。どのような権利を持ち、誰にどのような形で販売され、どのように流通する仕組みなのかまで確認する必要があります。
トークンを見るときは「用途・権利・規制」を確認
Web3で使われるトークンには、サービス利用、コミュニティ運営、インセンティブ、資産や投資権利のデジタル化など多くの役割があります。そのため、価格や名称だけを見ても、そのトークンがどのような仕組みなのかを十分に把握することはできません。
トークンを理解する際には、まず「何に使えるのか」を確認し、次に「保有することでどのような権利を得るのか」、さらに「どの制度の対象となる可能性があるのか」を見ると整理しやすくなります。ユーティリティとセキュリティの違いをこうした視点から捉えることで、Web3サービスやトークンを評価する際にも、その役割やリスクをより具体的に把握できます。

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