
4チェーンで提供開始、創設5社が流動性を支援
Open Standardは2026年9月30日、米ドル連動型ステーブルコイン「Open USD(OUSD)」の提供を開始したと発表しました。Ethereum、Base、Solana、Tempoの4つのブロックチェーンで稼働し、企業や開発者が決済や国際送金、資金管理などに組み込めます。StripeやVisaなどを通じた導入経路も整い、6月に公表された構想が、企業の金融サービスへ実装する段階に入りました。
同社はCoinbase、Mastercard、Shopify、Stripe、Visaを創設パートナーとする独立企業で、参加企業は構想発表時の140社超から200社超へ拡大しています。創設5社は出資に加え、立ち上げに伴う短期的な流動性として合計10億ドル超を供給する計画を示しており、決済、EC、暗号資産取引の顧客基盤を持つ企業が供給と利用を支える体制です。
発行はStripe傘下のBridge Building Inc.が担い、準備金はBlackRock、Lead Bank、BNYで保有します。月次の準備金証明を公開する方針とともに、米ドルとの1対1の発行・償還を提供し、企業は選択したサービス提供会社で口座開設などの手続きを行います。利用には各社の資格要件や地域条件が適用されるため、自社の所在地と業務に合う導入先を選ぶことになります。
収益還元型の先行例を踏まえ、企業の継続利用を促す
OUSDは発行・償還手数料を無料とし、少額で予測しやすい取引手数料を課すモデルを採用しています。Stripeは法定通貨との交換時に生じる変動的な手数料を大規模利用の障壁に挙げており、交換を繰り返す送金会社や給与支払いサービスでは、その費用を抑えられるかが採算に関わります。OUSDは、こうした業務で利用する際の交換コストを軽減する設計です。
利用を広げる企業への報酬も、この設計を支える柱です。Open Standardは準備金収益を可能な限り参加企業へ還元する方針で、パートナー登録した企業は、自社サービスで生み出す供給量や利用状況に応じて報酬を受け取れます。株式を獲得する機会も設け、OUSDを流通させる企業の利益とネットワークの成長を結び付けています。
この仕組みには先行例があり、Paxosも2024年に投入した「Global Dollar(USDG)」を軸に、発行や保有、取引への貢献に応じて参加企業へ報酬を分配するネットワークを整えました。その流れを踏まえると、OUSDの注目点は、収益還元に大手各社の導入基盤を組み合わせたことにあります。企業が利用を増やす動機と、実際にサービスへ接続する経路を同時に整える取り組みと捉えられます。
Stripeの標準設定と既存業務への接続が導入の入口に
StripeはTempo上のOUSDをステーブルコインの標準設定に採用しました。企業はTreasuryで資金を受け取り、保有・送金でき、カード発行や決済受け付けにも利用できます。他の通貨やチェーンを選ぶ柔軟性を保ちながら標準設定に据えたことで、新たに金融サービスを構築する企業がOUSDを利用する接点が増えると考えられます。
開発者はBridgeの資金移動APIとPrivyの組み込みウォレットを通じ、交換から保管、支払いまでを接続できます。この基盤を活用する例として、金融プラットフォームのRampは、OUSD残高の保有や報酬、24時間の支払いに対応する口座を導入する予定です。企業の資金管理に組み込む計画が示されたことで、提供開始後の具体的な利用像も見えてきました。
VisaはVisa Stablecoin Platformで発行・償還や保有・移転を支援し、承認管理や監査ログを含めて既存業務への接続を想定しています。Mastercardも買収したBVNKを通じ、法定通貨や他のステーブルコインと併せてOUSDを提供すると発表しました。Coinbase経由の導入は10月1日からとされ、企業は各社の基盤を使いながら、自社の決済や資金管理に合う利用方法を選べます。
市場の期待を、継続的な決済利用へつなげられるか
既存勢との競争は、6月の構想発表時から市場の関心を集めました。The Blockは6月30日、USDCを発行するCircleの株価が同日の取引中に16%超下落したと報じています。一方、William BlairのアナリストはUSDCの流動性や決済基盤を評価し、競争への懸念は過大だとの見方を示しており、大手企業の参画をどう評価するかで意見が分かれました。
今回の提供開始によって、評価の焦点は構想から実際の導入へ移ります。企業の採用を左右するのは、交換費用や報酬に加え、口座管理や承認手続き、複数の決済システムを接続する負担を含めた運用全体です。Mastercardも資金移動に伴う業務の複雑さを課題に挙げており、各社の導入基盤がその負担をどこまで軽減できるかが重要になります。
OUSDの事業モデルは、収益還元で企業の採算に働きかけ、既存サービスとの接続で導入を促すものと整理できます。今後は創設5社の流動性支援が反復的な決済や送金へ結び付き、企業の資金管理に定着するかが焦点です。Rampのような導入計画が実際の業務利用へ進むことで、参加企業の規模と金融基盤の強みが、継続的な需要を生む力として検証されることになります。
公式発表:Open Standard

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