WEB3業界動向

KDDI、Pontaから暗号資産への導線をau PAY内に HashPortとの連携を決済アプリへ展開

サムネ


ポイント交換と残高チャージをau PAYから利用

KDDI、au Coincheck Digital Assets、HashPortは2026年9月30日、au PAYアプリ内で利用できる暗号資産ウォレット「αU wallet」の提供を開始したと発表しました。同日13時から、au PAYで本人確認を済ませた利用者を対象に提供しており、Pontaポイントによるデジタル資産の取得と、保有資産を使ったau PAY残高へのチャージに対応しています。

ポイント交換の対象は、ビットコインに連動するWBTC、イーサリアム(ETH)、日本円ステーブルコインのJPYCです。暗号資産取引口座を開設せずに月300Pontaポイントまで交換できる一方、日本円でWBTCやETHを購入する場合はCoincheck口座が必要になります。購入時は「Coincheck OnRamp」を通じてCoincheckアプリへ移動し、取得した資産をαU walletで受け取るため、ポイントによる少額の利用と、日本円での購入では手続きが異なります。

保有するWBTC、ETH、JPYCをau PAY残高へチャージすると、残高は第三者型前払式支払手段の「au PAY マネーライト」として扱われ、全国の加盟店で利用できます。支払いには既存のau PAY決済を使う構成で、ブロックチェーン上で保有する資産を、残高へのチャージを介して日常の買い物につなぎます。


先行するPonta連携から、利用者との接点を広げる

この仕組みを位置付けるうえで重要なのが、HashPortによる先行サービスです。同社は2025年12月1日、HashPort WalletでPontaポイントを米ドル連動ステーブルコインのUSDCやビットコイン連動資産のcbBTCへ交換する機能を提供しました。両資産でau PAYギフトカードを購入し、au PAY マネーライトへチャージする経路も同時に設けており、ポイントからデジタル資産を経て買い物へつなぐ取り組みは、すでに進められていました。

αU walletでは、その利用経路をau PAYアプリ内に配置し、交換対象に円建てのJPYCを加えています。先行サービスがHashPort Walletの利用者をau PAY決済へつないでいたのに対し、新サービスはau PAYを普段使う人にウォレットへの入口を提示します。両者を比較すると、今回の変化は、デジタル資産の機能を増やすことに加え、利用を検討する人との接点を決済アプリ側へ広げたことにあると捉えられます。

au PAYには、2026年5月18日に追加された「ビットコイン連動コース」もあります。こちらは価格変動をポイントで疑似体験するau PAY ポイント運用の一部で、αU walletでは実際の資産を取得・保有する段階へ進めます。価格の動きに関心を持った利用者が、同じアプリを起点にウォレットの利用を検討できるようになり、ポイント運用と資産保有の間に接点が生まれました。


Wallet Core

HashPortの共通基盤で、購入・管理・決済を接続

こうした構成を支えるウォレット基盤には、HashPortの「HashPort Studio - Wallet Core」が採用されています。同社はサービス開始と同じ9月30日に採用を発表しており、秘密鍵管理、取引への署名、送受金、残高照会などの共通機能をAPI・SDKとして提供すると説明しています。110万ダウンロードを超えるHashPort Walletなどの開発・運用経験を活用し、企業が既存サービスへウォレットを組み込む際の技術基盤を担います。

企画・運営を担当するau Coincheck Digital Assetsは、KDDI、auフィナンシャルホールディングス、コインチェックの合弁会社です。KDDIとauフィナンシャルサービスが提供するau PAYアプリに、Coincheckの購入経路とHashPortのウォレット技術を組み合わせています。同社の笠井道彦社長は、実運用の経験を備えた基盤を採用したことで、利用者のサービス体験の設計に集中できたと説明しており、購入・資産管理・決済を各社の既存基盤で支える役割分担が見て取れます。

ただし、利用者にとっては、アプリ内での操作の手軽さと資産管理の仕組みをあわせて理解する必要があります。αU walletは利用者自身が秘密鍵を管理するノンカストディアル方式のため、ポイントから取得した資産も自己管理の対象になります。決済アプリから初めてウォレットに触れる人が増えるほど、鍵管理や復元方法まで含めた案内の分かりやすさが、継続利用に関わると考えられます。


今冬の運用機能が、ウォレットを使い続ける理由になるか

HashPortの吉田世博CEOはCoinPostの取材に対し、ポイント交換からau PAYでの買い物までの体験を、大規模な会員基盤へ届けられる点に期待を示しました。これは先行するHashPort Walletの取り組みを広い利用者層へ展開できるという当事者の評価です。利用者との接点を増やした後は、取得した資産をどのような目的で保有・利用してもらうかが、サービスの定着を左右すると考えられます。

その次の展開として、2026年冬には、保有する暗号資産を活用して報酬を受け取れるステーキング機能などを追加する予定です。残高チャージを通じて買い物に使う経路に、資産を保有しながら運用する選択肢が加わります。一方、2023年3月から提供されてきた単独アプリ版αU walletは10月30日12時に終了する予定で、既存利用者にはリカバリーフレーズの保管と対応ウォレットへの移行手続きが案内されています。

au PAY内への導入によって、ウォレットを知る機会は日常の決済に近づきました。今後の注目点は、月300ポイントまでの交換をきっかけに、利用者が資産管理に慣れ、決済や運用へ利用を広げるかです。最初の登録から、その後も使い続ける段階へつなげられるかが、既存の決済基盤とデジタル資産を接続する取り組みの実効性を示すことになりそうです。


公式発表:HashPort aU Wallet、Wallet Core

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